FPの知見を生かし相続・後見を多分野連携で支援するプロ
吉村成実
Mybestpro Interview
FPの知見を生かし相続・後見を多分野連携で支援するプロ
吉村成実
#chapter1
相続や遺言に関する専門的な支援を行い、山梨エリアの社会課題解決に取り組む「山梨県相続成年後見協会」。理事を務めるファイナンシャル・プランナー(FP)の吉村成実さんは、行政書士や弁護士など14名の専門家と連携し、総合的な支援体制を構築しています。
協会は約1,000名の賛助会員で構成され、13年以上にわたり活動を継続。市町村主催の講座や社会教育活動に年間20~25回の講師を派遣し、年間約250名に相続や成年後見の知識を届けています。「行政が担いきれない課題の受け皿として機能しています」と吉村さん。医師が在籍している点も特徴で、法律的な課題から医療・介護に関わる問題まで、一元的に対応できるのが強みです。
「相続や後見は誰もが直面する問題です。FP相談サービスでは、70~80代の親世代から50代の子世代、20~30代の孫世代まで、三世代の資産の流れを包括的に分析しています。どこにどのように残したいか、金融商品をどう配置すれば家庭の利益が最大化するかなど、具体的なアドバイスを行っています」
また、認知症による資産凍結や予想を超える介護費用といったリスクにも着目し、事前の備えを提案。「準備のないまま認知症を発症し、資産が動かせなくなり、施設入所でお金の減るスピードが速まる」といった事態に備えるための対策を伝え、暮らしに寄り添う支援を続けています。
#chapter2
吉村さんのキャリアの原点は、教育系大学での学びにありました。「教員を目指す学校に在籍していたため、教育心理学を学んでいました。もともと人と関わることに関心があり、『機械に代わられにくい仕事をしたい』という思いから、接客業を中心に就職活動を進めました」と振り返ります。
2010年に入社したインテリア販売会社では、仕入れから販売まで幅広い業務を経験。最初はラグマットだけを購入した顧客が、後に家一式の家具を依頼するまで関係を築くなど、信頼関係が成果につながったことも。こうした経験が、後のキャリアにおける「人と向き合う姿勢」の礎となっています。
2015年には、大手金融機関への転職を決意。金融商品の営業担当として山梨県内で活動。持ち前のコミュニケーション力と粘り強い努力によって、優秀な成績を収めます。
「全く異なる分野への挑戦でしたが、どの仕事もお客さまの役に立つという点は共通しています。金融商品や社会保障制度の学習に励むなかで、自分の生活にも密接に関わる分野だと気づき、身近な例に置き換えながら理解を深めました」
そして2020年、「FPパートナー」へ転職。きっかけは組織の方向転換や環境の変化により自身の役割が限定的になっていったこと。「お客さまにとってより価値のある提案やお役に立てる在り方とは何かを考える中で幅広い商品を取り扱える環境に魅力を感じました。幅広い会社の商品を扱い、どこの保険会社や証券会社にも属さない立場でお客さまに最適な提案をしたい」との思いを強め、ファイナンシャル・プランナーとしての道を選びました。
#chapter3
「多くの方と接している中で、金融商品や社会保障制度を十分に理解できていない方が多いと感じます。そうした不安を解消するための支援の重要性を日々実感しています」
印象的な支援事例として、複雑な事情を抱えた高齢夫婦の相続対策があります。
「相続人同士の関係が良好でないなど、家庭内の調整が難しい状況の中で、特定の親族に資産を残したいという希望がありました。しかし、遺留分の問題が発生する可能性もあり慎重な対応が求められました」
吉村さんは弁護士と連携し、遺言の整備に加えて、保有資産の一部を生命保険に移す仕組みを提案。相続発生時には保険金から遺留分を支払えるように設計し、法的リスクを軽減しながら依頼者の意向を実現したのです。
現在、特に力を入れているのが、生命保険の戦略的活用。「生命保険は相続時に固有の財産となり、分割協議の対象になりません。相続税の非課税枠を活用でき、確実に支払われる資金として納税や遺留分対策にも有効です」と話します。
「今後は金融教育にもより一層力を入れていく方針です。金融商品を販売するだけでなく、社会全体の金融リテラシー向上に貢献することが自分の使命だと思っています。特に若い世代に向けて、正しい知識を伝え、将来を主体的に考えられる人を増やしていきたいです」
「お客さまが自信を持って自分の将来設計ができるようになること」を最終目標に据え、包括的な支援を追求し続ける吉村さん。専門知識と人間性の両面を生かした丁寧な姿勢が、多くの顧客から信頼を寄せられる理由の一つになっているようです。
(取材年月:2025年10月)
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Profile
FPの知見を生かし相続・後見を多分野連携で支援するプロ
吉村成実プロ
ファイナンシャル・プランナー
特定非営利活動法人 山梨県相続成年後見協会
弁護士・行政書士・医師などと連携し、相続・後見の複雑な課題に多角的に対応。三世代にわたる資産の流れを分析し、認知症リスクや相続税対策を含めたライフプランを提案します
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