自然素材を生かしたこだわり住宅のプロ
中村伊伯
Mybestpro Interview
自然素材を生かしたこだわり住宅のプロ
中村伊伯
#chapter1
東日本大震災後、日本人のエネルギーに対する考え方は大きく変化しました。家づくりにおいても、「省エネ」「節電」「自然エネルギー」といったキーワードがこれまで以上に重要視されています。そんな中、注目されているのが、自然素材や自然エネルギーをうまく利用することでエネルギー使用量を削減し、快適な生活を実現する住宅です。
「優しく快適に暮らせる本物の家づくり」がコンセプトの工務店「匠家」では、国産100%の木材や珪藻土(けいそうど)など、日本の風土に合った自然素材を利用した家づくりを提案しています。その原点は昔ながらの木の家にありました。社長の中村伊伯さんは「昔の家は夏でも比較的涼しかった。木の床、土壁、畳、障子など、湿気を吸収してくれる自然素材に囲まれていたからです。そして自然素材は人間に対して温かく、やわらかい。特に木は、安らぎの空間をつくってくれます。その心地よさを、新しい技術と昔ながらの知恵を生かして提案しています」と話します。
地元の建設会社や工務店で設計や現場監督などに携わり、豊富な経験と知識を持つ中村さんが、昔の家づくりにたどり着いた理由。それは、住宅平均寿命が約30年と、欧米諸国に比べて極端に短い現在の日本の住宅事情に疑問を持ったことだといいます。「家づくりが工業化し、いつの間にか『つくる』から『買う』になってしまいました。けれども、もう一度原点に戻って、次世代に住み継げる家をつくりたかった。それこそが〝本物の家〟だと思うのです」と力を込めます。
#chapter2
匠家が使う木は、燻煙(くんえん)で乾燥させた燻煙木材です。まるで、いろりや土間の煙でいぶされた梁や柱のように、煙でじっくりいぶし上げた燻煙木材は、調湿効果をそのままに、割れや変形が少なく、害虫を寄せにくい効果があるといいます。アトピーやぜんそくの原因ともなる化学薬品処理をしていないので、すーっと深呼吸したくなる心地いい空間をつくりだすのです。
また、壁には化学のりを含まない珪藻土を使用。植物性プランクトンが海底に堆積し化石化した自然素材で、優れた吸放湿効果があります。さらに、壁内の結露を防ぎ、カビやダニの発生を抑える羊毛から作った断熱材サーモウールは、夏むし暑く、冬は寒い山梨の気候に最適です。一方、太陽熱や夜間の放射冷却といった自然エネルギーを利用して、室内を人にやさしい温熱環境に整える装置「そよ風」は、暖房エネルギー代が一切かからない次世代ソーラーシステムです。
「お客さまからはよく、子どもさんのぜんそくやアレルギーが軽減したと喜ばれます。それが、自然素材のやさしさなんですよ」と笑顔を見せる中村さん。
事務所に併設する体感ショールームでは、実際にその心地よさに触れることができます。そこは、木質ペレットを使ったペレットストーブの炎がやさしく揺れる癒やしの空間。サークルやママグループなどへの無料貸し出しも行っているので、気軽に訪ねてみてはいかがでしょうか。
#chapter3
匠家の新築現場では、建設途中の柱や梁、断熱材の状態を一般公開する構造見学会を開いています。「お客さまに実際に見て、触っていただくことで、匠家の家を知ってほしい」と中村さん。一方、営業から設計、現場の対応まで外注はせず、すべて社員が行っています。それは、素材から施工にいたるまで、最高レベルを求める匠家の「本物の家」に対するこだわりと自信の表れではないでしょうか。耐震性や断熱性、耐久性など国の厳しい審査基準をクリアすることで、補助金や減税などの優遇措置が受けられる「長期優良住宅」への対応も積極的に行っています。
匠家では、壁の珪藻土を施主自身に塗ってもらうよう勧めています。「ご家族の手形を付ける施主さまが多いですね。家族の思い出とともに、愛着を持って住んでいただきたい。われわれの一番の願いです」
長く暮らすほどに愛着が生まれる家。そこには自然を感じ、その恩恵を上手に利用した日本人の知恵があります。そんな家づくりが今、あらためて見直されているのかもしれません。
(取材年月:2011年10月)
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一級建築士
株式会社 匠家
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