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犬や猫のオーラルケア製品を通して伝える、口の健康を守る大切さ

人と犬・猫のオーラルケアをサポートするプロ

山村敏

山村敏 やまむらさとし

#chapter1

「気づき」をテーマに、犬・猫それぞれにあわせたケア用品を開発

 歯みがきで口の中を清潔に保つことが重要なのは、人もペットも同様です。山梨県甲府市に本社を置く「マインドアップ」は、人や犬・猫用のオーラルケア製品を開発し、国内外で販売しています。

 「犬や猫も長生きするようになりましたが、加齢とともに歯が弱くなっているのが現状です。栄養バランスが考えられたペットフードは、歯に残りやすく、特に犬や猫は、歯に歯石がつきやすいのです。家族の一員になったペットの健康を守るため、きちんとお口のケアをしてあげてほしいですね」と話すのは、代表取締役会長の山村敏さん。

 同社は、犬用の口腔ケアブランド「犬口(けんこう)ケア」と、猫用の「猫口(にゃんこう)ケア」を展開。体の大きさによって選べる歯ブラシやポイントブラシ、スケーラーなど、約60アイテムをそろえています。2025年春に、超小型犬用の柔らかい毛先の歯ブラシを発売するなど、毎年新製品を開発しています。

 「もともと人用のオーラルケア製品からスタートし、当社製品を愛犬用にも使っている飼い主さんがいると聞き、犬猫のケアに着目しました。当初から犬と猫の飼主さんの特性を考え、費用は掛かりますが、別のブランドで市場に投入し、犬猫の歯ブラシの市場を開拓してきました」

 山村さんは、「気づき」をテーマに製品づくりを行っています。
 「細かくセグメントし、ターゲットを絞った使いやすい製品を世に出すことで、日本人にオーラルケアの大切さを伝え、〝デンタルIQ〟アップにつながればという思いで次々に製品を作っています。ある調査によると、犬猫の歯みがきをしている飼い主さんは、最近でも20%にとどまっています。飼っている犬や猫が歯みがきをしていることは、子どもたちへのオーラルケアの大切さを伝えることにつながります」

#chapter2

人用のオーラルケアでは30年以上のロングセラー商品も

 山村さんは、アジアを中心に海外展開も進めています。最近もシンガポールやベトナムで、ペット関連の展示会に出展しました。
 「展示会では、当社製品を使ったお客さまがペットの歯を見せに来てくれたこともありました。また、『あと歯が3本しかないが、残った歯を守りたい』と熱心にケアされていた猫の飼主さんもいらっしゃいました」

 海外では、ユニークな商品にも引き合いがあるそう。その一つが、飲み水に入れておくと6種のイオンが発生し、口腔環境を改善する「マルチイオン放出プレート」です。
 「直接内容を説明すると、興味を持ってもらえることが多いです。この商品に限らず、YouTubeやTikTokでも情報を発信しています」

 創業から続く人用のオーラルケア製品「歯石屋(はいしゃ)くん」シリーズは、30年以上続くロングセラーです。中でも歯ブラシでは取れない汚れなどを取る2種類のピックを組み合わせた清掃具「ピック&ピック」は、累計販売数100万本超を誇ります。
 「自社工場を持たないファブレスという事業形態で、当時空洞化していた製造会社に仕事を依頼することで、中小企業に貢献できるビジネスモデルを取り入れました。主な販路は東急ハンズからで、そこから広がっていきました」

 また、オーラルケアへの関心を高めるために開発した、18金製の爪楊枝にダイヤモンドをあしらった〝マイつまようじ〟の「金の爪楊枝 Fuji」は、テレビや雑誌でも話題になりました。
 「山梨はジュエリー産地でもあるので、地域活性化にもつながると考えました。繰り返し使えてエコになり、コミュニケーションのきっかけにもなります」

#chapter3

「向上心」をテーマに、自己実現ができる場として会社を設立

 山村さんは、大学卒業後、自動車部品の製造設計に従事し、品質管理の知見も深めました。その後、数社で経験を積み、独立。あるオーラルケアメーカーの経営者との出会いから、歯ブラシの企画販売のサポートに携わりました。
 「歯科大学での臨床実験の窓口を担い、学術論文のお手伝いをするなど、口腔ケアに関する知見やノウハウを身に付けました」

 1991年に「マインドアップ」を設立し、自社製品の開発に乗り出すことに。〝MIND UP〟は山村さんの造語で、〝向上心〟の意味を込めたとか。
 「向上心を持って自己実現できる場をつくりたいという思いで会社を立ち上げました。また世界では社名自体がブランドになるため、海外でも伝わる名前になりました。これまで『こんな商品があってよかった』と思っていただけるような、誰かの役に立つ製品づくりを心掛けてきました。使いやすさには自信があるので、会社を後世に残していきたいですね」

 犬猫の歯みがきができない理由に、「噛まれるから」「嫌がってかわいそう」などの声が多いそうです。
 「もし自分の子どもだったら、歯みがき習慣をつけてもらいたいので、あきらめないですよね。たとえ噛まれても、愛情があれば続けられるはずです。犬や猫も、最初は口を触られることを嫌がりますが、習慣づけると慣れてきます。お口のケアをきちんとすると、健康長寿につながります。大切な家族の一員である愛犬や愛猫の健やかな毎日を守りましょう」とメッセージを送ります。

(取材年月:2025年3月)

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専門家プロフィール

山村敏

人と犬・猫のオーラルケアをサポートするプロ

山村敏プロ

経営全般、製品開発・設計

株式会社マインドアップ

人および犬・猫のオーラルケアの製品開発で、30年以上の実績があります。「気づき」をテーマに、口の構造などに合わせた設計など、多様なニーズに応える製品づくりを追求。アジアを中心に海外展開も進めています。

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