建材や工法にこだわり本質的な健康住宅を作るプロ小池孝治

建材や工法にこだわり本質的な健康住宅を作るプロ

小池孝治

家の中で深呼吸をしたくなる、空気がきれいな家「ディーブレスホーム」を提案

　「私どもは、ご家族が末永く笑顔で暮らしていけるように『空気』『水』『換気』『寝室』にこだわった住宅をご提案しています。中でも、お住まいの空気を整えることは、心身ともに健やかに過ごすために一番大切なことだと考え、『きれいな空気』づくりに力を入れています」

　そう語るのは、山梨県南アルプス市の「住空間工房」の代表・小池孝治さん。家の中で思わず深呼吸をしたくなるような、新鮮な空気を提供したいと「ディープ」と「ブレス」を組み合わせた「ディーブレスホーム」をコンセプトにした家づくりをしています。

　快適な空気環境のために使用しているのが、北海道稚内の珪藻土。植物プランクトンが化石化したもので、小さな穴を持つ多孔質で調湿機能に優れているのが特長。人が心地よいと感じる湿度40〜70％を保つので、夏はサラッと冬はしっとりします。

　「昨今はキッチンに浄水器を備えるご家庭が増えていますが、肌に触れる浴室や洗面でも浄水が使えるようにしています。また、暑さ、寒さへの対策として、外気を室内の温湿度に近づけて取り入れる換気システムも導入しています」

　小池さんが特に重視しているのが、1日の3分の1を過ごす寝室です。
　「床材を研究した結果、屋久杉にたどり着きました。杉は、抗菌、防カビ、誘眠・鎮痛作用があり、室内塵ダニの繁殖を抑えるのにも有用。樹脂分を多く含む屋久杉はこれらの能力が強いとされています。壁には珪藻土を、床には屋久杉を施すことで、清らかな空気に包まれ『良質の眠り』を取っていただくことが当方の目指すところです」

「健康住宅」に取り組み、化学物質やアレルギーについて猛勉強

　2003年に会社を設立した頃、建材から発生する化学物質などにより体調不良を引き起こす「シックハウス」が社会問題となっていました。小池さんは、珪藻土や無垢材を用いた「健康住宅」をPRしました。
　「ある親御さんから、化学物質に過敏で重度のアレルギーを持つお子さんのお部屋をご用命いただきました。ところが、施工後もお子さんの状況は変わらず、自然素材を使えば十分だと思っていたのでショックを受けました」

　知識を養い、理解を深める必要性を痛感した小池さんは、化学物質やアレルギーについて猛勉強しました。適した建材を求めて全国行脚をする中で見つけたのが、稚内珪藻土と屋久杉です。

　「しかし珪藻土に化学物質が混じると、感染に対する防御力などを高めてくれる常在菌がすめなくなります。水道水で練るだけでも、塩素が入っているのでダメになってしまうんです。そこで、山梨県小菅村の石を粉末にして添加しました。ミネラル成分を多く含んだ石には、水道水の塩素を除去する働きがあるとのことで採用しました」

　材料や作業工程を一つ一つ見直し、建築職人の意地を掛けて「本質的な健康住宅」に取り組みます。試行錯誤を繰り返し、依頼主が納得する部屋を完成させました。
　「お子さんが笑顔でのびのびと過ごす様子を見て、それまでの苦労が報われましたね。このお子さんとの出会いが、私の人生を変えました。同じように不調を抱えている方を助けなくてはいけないと、志も新たにビジョンを描くことがきたんです」

建築職人として、多くの人にぐっすりと眠れる住空間を届けたい

　アレルギーの子どもの部屋を手掛けた縁から、小池さんはその子の祖父母の寝室リフォームも請け負いました。
　「人は寝る時に体の熱を放出して睡眠を得ますが、体温が低下すると免疫力も落ちるので、弱いところに影響が現れやすいんです。家を100％自然由来の素材で仕上げることは難しいですが、せめてお休みになる空間を整えることで、予防につなげたいと思いました」

　完工後は「お薬に頼らなくてもぐっすり眠れるようになった」と、うれしい報告が舞い込んだそうです。

　「当方には、アレルギーや体調不良、ご病気に悩む方から、さまざまな相談が寄せられます。建築屋の範囲を超えていますが、これが使命だと肝に銘じています。化学物質がもたらすトラブルを知りながら、見て見ぬふりをしていたら、私たちは加害者になってしまいます。一人一人のお声に耳を傾け、お力になりたいと考えています」

　体に害を及ぼす家には住みたくないと多くの人が望み、ニーズに応える業者が増えれば、「きっと世の中が変わっていく」と力を込める小池さん。より多くの人に気持ちよく安眠できる住環境を届けるため、全国の工務店に呼び掛け、建築資材や工法を共有する協力体制を構築していくことも検討しています。

　「私はあくまでも建築職人。建物をつくるのが仕事ですから、お客さまが元気で幸せに暮らせる住まいをかなえるために全力を尽くします。地域の皆さまから『なくなると困る』と言ってもらえる存在であり続けたいですね」

（取材年月：2023年10月）

「空気」「水」「換気」「寝室」にこだわった、家族が健康・笑顔で過ごせる家づくりが強み

家の中で深呼吸をしたくなる、空気がきれいな家「ディーブレスホーム」を提案

「健康住宅」に取り組み、化学物質やアレルギーについて猛勉強

建築職人として、多くの人にぐっすりと眠れる住空間を届けたい

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