野菜や果物の魅力を伝える食文化のプロ
山口美香
Mybestpro Interview
野菜や果物の魅力を伝える食文化のプロ
山口美香
#chapter1
「食の王国」としばしば称される山形県。個性豊かな食材と、生活の中で育まれた調理法が、独特の豊かな食文化をつくり上げています。
中でも、野菜や果物といった青果物が、多くの人たちを魅了しています。品質の高さはもちろん、地域の中で大切にされてきた「在来作物」が多いことも、山形の食文化が注目を集める一つの理由となっています。
山形市内のスーパー2店舗で青果部門の運営を担っている「グリーンショップはらだ」で、社長代行を務める山口美香さんは、県内でただ一人の「野菜ソムリエ上級プロ」として、在来作物をはじめとする地元産青果物の魅力を広く伝える活動に取り組んでいます。
「山形のおいしいものを、もっと知ってもらいたい」「食べることの楽しさ、大切さを理解してもらいたい」。強い思いが、幅広い活動の原動力になっています。
#chapter2
「野菜ソムリエ」とは、一般社団法人日本野菜ソムリエ協会が認定する民間資格。野菜や果物に関する幅広い専門知識を持つ「食のプロ」です。2020年7月の時点で約5万9千人が資格を取得しています。「野菜ソムリエ」「野菜ソムリエプロ」「野菜ソムリエ上級プロ」の三つのレベルがあり、山口さんは最上級の「上級プロ」です。
山口さんが野菜ソムリエを志すきっかけは、「『野菜ソムリエ』のいる八百屋さん」を紹介した雑誌記事でした。知人が見せてくれたこの記事に興味を持ち、紹介されていた東京のお店を見学しました。
幅広い知識や、産地の事情などを詳しく説明しながら販売する姿に感銘を受け、「自分のお店もそのような形にしたい」と思い立ちました。養成講座を受けに仙台に通い、ほどなく「野菜ソムリエ」の資格を取得。1年後には「野菜ソムリエプロ」となりました。
勉強に取り組む中、野菜や果物を見る目線が変わってきたことに気づきました。「もっと学びを深め、自信を持って情報発信ができるようになりたい」。意欲が沸き、2012年には「上級プロ」の資格取得に至りました。
ほかにも、さまざまな食に関する資格を取得し、幅広く深い知識を身に付けました。それとともに、運営する店舗も、おいしい食べ方を紹介しながら品物を並べるなど、「提案型」に転換していきました。「野菜ソムリエのいる青果売り場」がアピールポイントになり、幅広い支持を集めるようになりました。
山形市内で「野菜ソムリエ」の養成講座も運営し、後進の育成にも尽力。「グリーンショップはらだ」の従業員も資格を取得し、日々の接客に生かしています。こうした姿に手ごたえを感じながら、山口さんは「さらに頑張らないと」と意欲を新たにしています。
#chapter3
野菜ソムリエ上級プロとして精力的に活動する中、山形の在来作物との出合いがありました。県が在来作物の保全と普及、消費拡大に取り組むことになり、そのための会議に招かれたのです。
「おいしくて魅力的だけれど、大量に作れない、売れないという理由で、消滅の危機に瀕していることを知りました。それなら、生産者の収入になるよう、うちで扱いたいと強く感じました」。そう思い立った山口さんは、在来作物を店舗で積極的に扱うようになりました。生産者の元に通い、思いに触れ、より明確なメッセージを伝えられるようにもなりました。PR大使に任命され、首都圏のイベントで在来作物の魅力を伝える役目を担うことも。
そんな山口さんが心を痛めているのが、近年指摘される「食の乱れ」。いつまでも健康で元気に過ごすために、食事は欠かせない営みです。一方、「おなかを満たせばいい」とばかりに、偏った食生活を送る人が少なくありません。それが親から子へと受け継がれるのは、決して望ましいことではありません。
「旬の野菜や果物のおいしさ、素晴らしさを、より多くの人たちに知ってもらう。このことを通し、社会に貢献していきたい。山形はおいしい青果物の産地ですから、地元の人たちに、もっともっと良さを広げていきたい」。「グリーンショップはらだ」が山形市の中心商店街に、イートインスペースのあるお店を出す計画が進んでいます。青果物、オリジナルのスイーツやハーブティーなどを販売し、ワークショップを開催する構想もあります。「食のプロ」山口さんが発信する元気が、さらにパワーアップしそうです。
(取材年月:2020年9月)
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Profile
野菜や果物の魅力を伝える食文化のプロ
山口美香プロ
野菜ソムリエ上級プロ
株式会社グリーンショップはらだ
山形県内でただ一人の「野菜ソムリエ上級プロ」、また食に関するさまざまな知識を、店頭での販売や講演活動などに生かしています。
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