困っている人の役に立ちたい―強い思いを胸に

広く門戸を開く法的トラブル解決のプロ

大江修司

#chapter1

「法テラス」案件に積極的に取り組む

　日常生活の中には、さまざまな「法的トラブル」の種が潜んでいます。

　「特殊詐欺」のような事件に巻き込まれたり、交通事故に遭ったり、はたまた、相続問題でこじれたり、借金が膨らんで経済的に行き詰まったり…。法治国家において、多くのトラブルは「法律」にのっとって解決を図ることになります。しかし一方で、専門知識がないこと、日本では司法機関が「身近な存在」ではないこと、などから、不公平な解決を強いられるケースや、問題を放置するケースが多々あるといわれています。法による適切な紛争解決を、誰もが図れるような環境整備が望まれます。

　とはいうものの、「誰に相談したらいいの？」「弁護士って敷居が高いでしょ？」といった疑問や不安を抱く人も多いはず。それに対し、山形市に事務所を構える弁護士の大江修司さんは「まずは何でも、お気軽に相談してください」と強調します。

　費用が心配な人でも、収入などの要件が該当すれば、「法テラス」の愛称を持つ日本司法支援センターの扶助を受けることができます。大江さんは「法テラス」の契約弁護士でもあり、扶助制度が適用される案件は優先して対応しています。「困っている人の役に立ちたい。経済的に大変な方ならば、なおさら」という気持ちが、活動の原動力になっています。

#chapter2

丁寧な聞き取りから、適切な解決の道を探る

　大江さんに依頼する際、最初は電話による問い合わせが多いといいます。最近は、ホームページで大江さんのことを知り、連絡する依頼者が多いとのこと。その後、面談を行い、実際に話を聞いた上で、解決に向けた動きが始まります。

　面談では、抱えているトラブルがどんなもので、これまでどのような経過をたどってきたのか、どのような解決策を望むのか、などを、もつれた糸を解きほぐすように丁寧に聞き取っていきます。問題点が明らかになったら、関連する法律などをもとに、解決策をアドバイスします。その際、複数の案を提示し、より望ましい方策を探っていきます。道筋が見えたら、必要に応じた法的な手続きに移行します。法テラスの要件に該当しない場合でも、費用をあらかじめ明示することで、不安を取り除くよう配慮しています。

　「依頼する人の立場で、その人の利益になることを第一に考えながら、相手方にもメリットが感じられるような『ウィン・ウィン』の形に持っていければいいですね」。
　個人の依頼者からの、債務整理や、離婚など家族問題の解決に関する案件を多く扱っている、とのこと。それまでの人生をリセットし、再出発を図るための環境を整えている、ともいえます。「おかげさまで、新しい一歩を踏み出すことができます」と、依頼者に感謝されることもしばしばです。

#chapter3

「弱者のために」貫き続ける初志

　「弱者の立場に立った仕事がしたい」と、法曹界を志した大江さん。4度目の挑戦で司法試験に合格し、司法修習を終えた後は弁護士として、山形県内で地に足のついた活動を続けてきました。そうした中で心掛けてきたのが「できるだけ敷居を低くする」こと。「弁護士といえば敷居が高い、気軽に相談しにくい、というイメージを持たれがち。でも、決してそんなことはなく、より多くの人たちの力になりたいと思っています」。

　民事裁判の書類をインターネットで提出できるようになるなど、法曹の世界もデジタル化が進んでいます。手続きの迅速化が図られれば、法的な問題解決に対するニーズがさらに高まると考えられます。弁護士に求められる役割も、より幅広くなっていくでしょう。大江さんのような「敷居の低い弁護士」は、今後さらに必要とされる存在といえます。

　「戦後最大」といわれた悪徳商法詐欺事件の被害者救済に奔走するなど、「弱者のために」との初志を貫き通している大江さん。「法テラスは、収入の低い人が弁護士の力を活用するための、有用な制度。今以上の周知に努めながら、積極的に対応していきたい」と力を込めます。

　トラブルを抱え、法にのっとった適切な解決を目指している人は、大江さんに相談してみてはいかがでしょうか。

（取材年月：2022年6月）

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