心身を健康に導く丹田呼吸法のプロ藤麻美子

心身を健康に導く丹田呼吸法のプロ

藤麻美子

「手軽さ」と「効能」が評判を呼ぶ独自の丹田呼吸法セラピー

　「健康」に対する興味・関心が、世代を問わず高まっています。そうした中、手軽に実践でき、効果が実感できるーと注目を集めているのが、「丹田呼吸法セラピー」。「毎朝3分、深い呼吸を10回」という、簡単な動作を継続するーというのが基本です。

　「深い複式呼吸をすることで、体の不調が改善され、免疫力が高まって病気になりにくくなります。心が癒やされているときに出る脳波『α波』や、心の安定をもたらす神経伝達物質『セロトニン』が増えるので、心の状態も改善します。丹田呼吸法を実践することで、人生が前向きに変わった方も多いんですよ」と語るのは、山形県を拠点に、「丹田呼吸法セラピー」の普及活動を精力的に進めている藤麻美子さん。自身の健康問題を解決しようと、試行錯誤の末に編み出した「藤麻美子式丹田呼吸法」は、新聞や雑誌などのメディアで取り上げられ、大きな反響を巻き起こしています。

　藤さんに共鳴し、丹田呼吸法セラピーを学んだ人たちが、各地で講座を開いて普及に努めています。藤さん自身も、各地で講演やセミナーの講師を務めています。「仲間の輪がどんどん広がることも、丹田呼吸法セラピーを身に付けた効用かも知れません」と笑顔を見せます。

「交通事故の後遺症克服」から、人生が好転

　「丹田」とは、下腹部の、おへそから握りこぶし1つ分ほど下がった位置のこと。東洋医学では「全身のエネルギーの中心」ともいわれています。

　そこに意識を集中し、深い腹式呼吸を繰り返すことで、体内に酸素をたっぷり取り入れるのが、「丹田呼吸法セラピー」の基本動作。簡単で、時間もかからないため、「いつでも、どこでも、何歳からでも」行える良さがあります。

　さらに、腰痛や肩こりの軽減、イライラの解消などに役立つ「丹田フラダンス」も行うことで、丹田呼吸法の効果をより高いものにしてくれます。好きな音楽を流したり、アロマを併用するのも効果的とのこと。実はこれらのメソッドは、藤さんがさまざまな健康法を学び、実践してきた中から体系的に組み立てたものなのです。

　高校教師を務めていた30代後半の頃、通勤中に交通事故に遭い、ひどいむち打ち症に。主治医には「これ以上治療しても良くならない」と言われました。その時に教わった肩こり体操を手始めに、ヨガや瞑想などさまざまな健康法を試し、模索する中で出合ったのが、古くからある「丹田呼吸法」でした。

　実践するうちに、腰痛や肩こり、頭痛といった症状がなくなったばかりか、子供の頃から悩まされていた虚弱体質が解消し、風邪をひきにくくなりました。そして何よりも、何事にも明るく前向きに取り組むことができるようになり、願っていたことが次々と実現するなど、人生が大きく変わっていったのです。

　「今思えば、あの交通事故は、私自身の生き方を変えなさいーという、天からの啓示だったかもしれません。丹田呼吸法セラピーを確立する過程で、私自身の心の持ち方、考え方も大きく変わり、今につながっているのですから」。

真の「幸せ」めざし　「心」にもアプローチ

　丹田呼吸法セラピーの大きな特徴に、「心」の部分に対する作用があります。深い腹式呼吸を行うと、リラックスしている時に出る脳波「α波」が観測されることに加え、「幸せホルモン」とも呼ばれる神経伝達物質セロトニンの量も増えることが、さまざまな研究で実証されています。

　体の状況が好転することで、ネガティブ思考から脱却し、さまざまなことに気づくことができるようになります。家族や周囲の人たちと衝突することが多かったという藤さんも、思考を変えることで人間関係が改善し、仲間や共鳴する人が増えて今に至っています。

　そうした経験を基に、心に作用する独自のカウンセリング手法「ミラーワールドワーク」を編み出しました。自分の周りの全ての事象を「自分を映し出す鏡」と捉え、自分の感情と向き合いながら、誰もが持っている「考え方のくせ」を是正していくーというもの。丹田呼吸法と一緒に行い、心身ともに良い形でコントロールすることを目指します。

　ミラーワールドワークに関しては、2019年から本格的な普及に取り組んでいます。学んだ人からは「良い方向への気持ちの変化」が感じられた、との感想が寄せられているとのこと。

　「心と体の双方が健康になることで、みんなが幸せになってほしい。丹田呼吸法セラピーは、きっとお役に立てると思うので、今まで以上に多くの人たちに伝えていきたい」。仲間の輪の中心で、藤さんが目を輝かせながら語ってくれました。

　疲れた時。イライラした時。苦痛を感じた時。丹田に気持ちを込めて、深～く呼吸をしてみませんか？　何かが変わるかも知れません。

（取材年月：2019年12月）