フラワーコーディネートのプロ
新鞍久典
Mybestpro Interview
フラワーコーディネートのプロ
新鞍久典
#chapter1
花は、部屋に飾るだけで、日常を豊かに彩ります。自分のためや大切な人に贈るときなどに素敵なアレンジを提案してくれるのが、日本で花に関する唯一の国家資格「一級フラワー装飾技能士」を持つ新鞍久典さん。富山市水橋にあるショッピングセンター「ミューズ」内のフローリスト「ボンマルセ」の代表を務めています。新鞍さんが花屋の道に進んだのは、実父の決断がきっかけでした。
「ミューズの開店が決まった時、その設立に携わっていた父の一言で、私が花屋の店長として出店することが決まりました。当時、私は父が営むホームセンターの店長として園芸などに携わっていたので、まさか花屋の店長になるとは夢にも思っていませんでした(笑)。開店に向けて、富山市の「花飾人」を主宰していた松井富美子先生に師事し、半年間の講習を受ける中で先生からお褒めの言葉をいただけたことが自信になりましたね」
1994年の開店後、切花や花鉢などの販売に加え、フラワーアレンジメント教室もスタート。「人に教えるには高い知識や技術が必要」と、2001年に一級フラワー装飾技能士を取得しました。一級の受験には7年以上の実務経験が必要で、その合格率は50%を切るといわれています。2014年からは、未来のフローリストを育成する「フラワー装飾技能検定富山県協議会」の会長に就任。来年度からは、検定員として育成に携わっていく予定です。
現在は、より深い知識を得るために、農林水産省が定めた花屋のための新しい資格認定制度「花シェルジュ」の一期生を目指して、資格取得の勉強に励む日々。花への情熱と探究心は、留まりません。
#chapter2
来店客は、40〜60代の男女を中心に、20〜70代と幅広く、男性客が多いのが特徴です。その人気の理由は、生花の質の高さと花持ちの良さにあるといえるでしょう。
「量より質を重視し、地元や国産の花の中から、質の良いものを優先的に仕入れています。また、過剰な入荷を防ぐことで、鮮度を保つようにしています。お客様からよく「長持ちするね」と言われるのは、入荷直後の花の水揚げに切花延命剤をプラスして、花の持ちを最大限に引き出しているからだと思います」
生花はもちろんのこと、生花を特殊加工したプリザーブドフラワーも人気です。「プリザーブドフラワーは、新鮮で美しい色と形が長く保てることから、大切な人への贈り物として人気が高いですね。また、お供え用の依頼もいただいています」
ゆとりのあるレイアウトと商品ディスプレイ。お客様の立場に立った店舗づくりも魅力です。「初めての人でも出入りしやすいよう、オープンな造りにしました。通路を広くしているので、車椅子の方も安心してご利用いただけます」
#chapter3
地元の50〜60代の女性に人気が高いのが、月2回のフラワーアレンジメント教室です。今日のテーマや使用花材、花の挿し方や向きなどが丁寧に書かれた新鞍さん考案のレシピに沿って、フラワーアレンジメントを楽しめるのが魅力。生徒同士でおしゃべりを楽しみながら、花に触れる喜びを味わえるとあって、10年以上続けている生徒の方々がたくさん。その事実こそが、この教室の楽しさを物語っているといえるでしょう。
「幼い頃、庭に野の花を植えたときに、花を見ると和み、花に触れると楽しいことを知りました。それが、私の原点です。花を通して、誰かの助けになれるのなら、できる範囲でその役をお受けできたらと思っています。花文化を発信していきたいですね」
約5年前からは、幼稚園・保育園の園児を対象にした花の教室を実施するなど、「花育」にも力を注いでいます。「命あるものに触れる花育は、感謝の気持ちを育むなど、子どもたちの心身の成長に良い影響をもたらします。もっと身近に花を感じてもらい、育てる心、飾る習慣を培う活動をしていきたいですね。また、小中学校・高校の児童や学生さんにも花と触れ合う機会がもっと増えればと思っています。将来的には、学校などで花のアレンジメント教室やガーデニング講習会などが当たり前に行われるような、そんな時代の一端を担えればと考えています」
年齢を超えて「花のある暮らし」が広まれば、その数だけ笑顔も増えていきそうです。
(取材年月:2020年11月)
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フラワーコーディネートのプロ
新鞍久典プロ
フラワーコーディネーター
フローリスト ボンマルセ
日本で花に関する唯一の国家資格を持つ新鞍さん。量より質を重視した商品を揃え、用途に適した提案によって、花のある暮らしを広めている。また、フラワーアレンジを通して、中学校など次世代へ「花育」にも尽力。
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