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感動して泣くことで心がスッキリ。ストレス解消とリラックス効果で人間関係も良好に

「涙活」でストレス解消に導く感涙療法士

吉田英史

「涙活」でストレス解消に導く感涙療法士 吉田英史さん
吉田英史さん涙活セミナー風景

#chapter1

意識的に感動の涙を流すことには、心のデトックスに

 吉田英史さんは、感涙療法士。大学、大学院で心理学を学び、高校教師、スクールカウンセラーを経て、現在は「なみだ先生」として、企業や学校、自治体、病院、福祉施設などで、“涙活セミナー”を行っています。
 
 感涙療法士は、「感動して泣くこと」を広め、ストレスを抱えた人の心の健康をサポートするのが仕事です。吉田さんが医師、脳生理学者でセロトニン研究の第一人者の有田秀穂さん(東邦大学医学部名誉教授)とともに創設しました。
 
 ストレスに対する涙の効用を、吉田さんは次のように話します。
「ストレスを抱えやすい現代社会において、人は自律神経が緊張や興奮を促す交感神経優位になりがち。涙を流すことは、脳がリラックスした状態である副交感神経が優位な状態へとスイッチを切り替えてくれるのです。意識的に涙を流し、心のデトックスを図る活動を“涙活(るいかつ)”と呼んでいますが、2~3分の涙活で、1週間はストレス解消状態が持続します」
 
 涙には、目を守るための“基礎分泌の涙”、玉ねぎを切った時に出るような“反射の涙”もありますが、ストレス解消には“情動の涙”を流すことが大前提だそうです。
「情動の涙を流した後は、反射の涙を流した後に比べて、血中のストレスホルモンが減少したというデータがあります。また、POMS心理検査でも、情動の涙を流した前と後とでは、敵意などが低下して、前向きになれるという結果も出ています」

 涙活セミナーでは、①泣ける動画の上映、詩や物語の朗読、②泣き言セラピー、③なみだ作文、④涙友タイムといったワークショップで、泣くことを促していきます。

#chapter2

泣きのツボを見つけて、涙を流して、ストレスを解消

 泣ける動画や物語は、“泣きのツボ”を見つけるのが目的です。人によって泣きのツボもそれぞれなので、家族もの、動物ものなどさまざまなタイプを用意。「泣きのツボは、何らかの体験とつながっていることが多いです。週に一度は自宅で涙活をしてもらいたいので、泣きのツボを見つけるのは大事です」と吉田さん。
 泣き言セラピーでは、涙の形をした用紙に“泣き言”を書いて、“涙千箱”に投函。集まった泣き言に対して、吉田さんがアドバイスします。
 なみだ作文は、体験談、創作を問わず、泣ける話を書いて発表。「皆さん、泣きながら読み上げ、それを聞いている人も涙を流しますね。参加者同士でストーリーを共有することで、共感力が高まり、それによって涙が出やすくなる効果もあります」
 最後の涙友タイムでは、参加者が輪になって涙活体験をシェアします。
「もらい涙という言葉もあるように、隣の人が泣いていると、自分も泣いていいんだと思えるようになる。泣きの空間が演出されるので、これまで泣けなかった人でも、ほとんどの人が泣けるようになります」

 こうした涙活セミナーのコンテンツは、認知行動療法など心理学の手法を取り入れ、吉田さんが綿密な設計で作り上げたもの。一連の涙活を順に体験することで、①泣きのツボが見つかった人も、見つからなかった人も、それは「なぜか」自分の内面を見つめるきっかけになる、②涙の作文を書きながら、自分の内面をさらに深掘りできる、③泣き言セラピーで、ストレスを言語化して吐き出すことで、心がスッキリする、④涙友タイムでは、泣いた後は本音が出やすくなるため、自己分析、自己開示が容易になる、といった効果があります。
「涙活によって、ストレスが解消されるだけではなく、前向きなり、それが明日を生きる原動力になると思っています」

吉田英史さん涙活セミナー風景

#chapter3

企業や学校からも注目される涙活セミナー

 「涙活を通して、ストレスを解消し、心の健康に意識を向けてもらいたい」というのが感涙療法士としての吉田さんの願い。
「特に男性は、『男は泣くものじゃない』と言われて育つせいか、泣けない人が多いです。しかし、中には、泣けなくて苦しい思いをしている人も。このストレス社会で、『泣くのはカッコ悪い』という先入観を除去していきたいですね」
 
 従業員50人以上の企業では、2015年よりストレスチェックが義務化。“なんとなく不調”を感じる層向けに、企業からは涙活セミナーが注目されています。
「泣き言セラピーで、若手社員の考えがわかって良かったなど、管理職からも好評です。共感力も上がることで、チームに一体感が出るなど、二次的な効果も報告されています」
 
 健康教育の一環として、学校に招かれることも多く、教育現場では涙活体験を共有することで、いじめがなくなったという事例も。「涙があふれる現場には、優しさがあふれる」と実感するそうです。

 吉田さんの涙活は、海外メディアからも注目され、海外進出も視野に入れます。「ストレス対策やメンタルヘルスケアの一貫として、涙活を世界に広げていきたいですね」

(取材年月:2019年3月)

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専門家プロフィール

吉田英史

「涙活」でストレス解消に導く感涙療法士

吉田英史プロ

感涙療法士

涙活事務局

認定資格「感涙療法士」を脳生理学者の有田秀穂氏とともに創設。「感動の涙」が副交感神経を優位にして心身をリラックスに導くことに着目して、感動して泣くことにより、ストレス解消に導く“涙活”をサポートする。

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