和紙の風合いを生かし、立体的な花を創る折花造形作家
伊藤智里
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和紙の風合いを生かし、立体的な花を創る折花造形作家
伊藤智里
#chapter1
「『折花ちさと流』は、正方形の和紙にハサミを入れず、立体的に折って創る花です。和紙のやさしいぬくもりに満ち、折る人の思いまで表れる、世界に一つだけの花をお届けします」
そう語るのは、「折花ちさと流」の考案者で作家の伊藤智里さん。バラや桜など100種類近くとバリエーションが豊かで、ブーケやコサージュといったアイテムから、テーブルフラワーやリースのような空間を彩るインテリアまで、用途に合わせて創作。作品は「本物の花のよう」と驚かれることが多く、世界の一流ホテルやレストランが加盟する「ルレ・エ・シャトー」の世界大会で、日本の伝統を伝えるブースに出展し、高い評価を受けました。
「枯れず、香りや花粉もないため、病院でも安心して飾ることができ、可憐な咲き姿に癒やされると喜ばれています。ひまわりやポインセチアなど、季節感を演出できるほか、自然界にはない色合いも表現できます。お気に入りの花を好きな色で花束にしたり、結婚式場の装花に用いたり、アレンジは多彩です」
図形や数学の要素を取り入れ、複雑に折り上げる方法もありますが、伊藤さんが提唱する「折花」は、紙をねじる、たたむ、カールさせるなど、取り組みやすい技法を用いるのが特徴で、水曜と日曜に教室を開催。茎や枝にはワイヤーを使い、自らの感性も生かせるので、手芸やアートが好きな人に向いているそうです。
「初級・中級・上級クラスを用意し、一人一人の希望やレベルに合わせて指導しています。折る、飾る、贈るといった楽しみがあり、作業に集中して自分だけの時間を持てて、完成した時の達成感もひとしおです」
#chapter2
幼い頃から、絵を描くことやものづくりに親しんできた伊藤さん。洋裁・和裁を学び、バッグや小物の制作、ビーズ手芸、消しゴムスタンプ作りなど、趣味として幅広く創作をたしなんできました。
「母を介護する中で、認知症予防の一助になればと一緒に始めたのが折り紙でした。鶴などをきっかけに興味が深まり、複数のパーツを組み合わせるくす玉を作るようになりました。母が入居する施設に贈ると食堂や談話室に飾ってくださり、手作りの愛らしさが好評でした」
華やかな色合いや巧みな造形が目を引き、天井からつるすことで、入居者が見上げて楽しむ機会も増え、施設も明るい雰囲気に。くす玉作りに夢中になった伊藤さんは、教本を数冊購入し、掲載されている作例をすべて制作。伝統的な折り方を独学で身に付け、花の構造に合わせて工夫を重ねながら、さまざまな花を折るようになりました。
「和紙に出合ったのは、出身地の新潟に帰ったとき。長岡市で300年以上続く小国和紙の工房を訪れ、手すきによる柔らかい質感や、雪さらしによる美しい発色に魅了されました。草木染めもあって折花に向いていると感じ、故郷で受け継がれる希少な紙で作品を作りたいという気持ちが芽生えました」
和紙を使うことで、花びらのふくらみや曲線、繊細な色味を表現できるようになり、生花のごとく躍動的でみずみずしい「折花ちさと流」を確立。ホテルなどの空間装飾を手掛け、日本の美を伝える伊藤さんの作品や活動はメディアでも取り上げられています。
#chapter3
「折り紙は歴史と由緒があり、今もいろんな場面で使われているんですよ」と伊藤さん。
折り紙の源流とされる「折形(儀礼折り紙)」は、平安から室町時代にさかのぼり、神殿や神棚に掲げる紙垂(しで)や、武家の礼法に基づく婚礼の祝儀袋など、相手に敬意を払う場に用いられてきました。鶴などの遊戯折り紙は、江戸時代に庶民の間に広まったそうです。
「折り紙は英語でも『ORIGAMI』と呼ばれ、日本を代表する文化・芸術の一つです。『お茶の水おり紙会館』の折り紙体験は外国人観光客にも人気だと聞きます。科学・工学分野でも活用され、宇宙探査機のアンテナなどにも折り紙の技術が生かされています」
日本の伝統的な和紙を使い、和の趣を大切にするホテルや旅館のロビー・客室、企業のエントランス・応接室など、四季折々の花で客人をもてなし、ブランド価値を高めてほしいと考えている伊藤さん。顧客や取引先へのプチギフトやノベルティーなどにあしらえば、オリジナリティーを打ち出すこともできます。出張教室では、折花の制作方法を伝えています。
「和紙は染め方や厚みも多種多様。作りたい花に合わせて素材選びなどをアドバイスし、板橋区の教室では販売もしています。参考になればと、生け花や盆栽風、春夏秋冬の時節を踏まえた作品をホームページやSNSで紹介し、教室には約150点の作品を展示しており、外からでも窓越しにご覧いただけます。『折花ちさと流』を通して、折り紙や折花の魅力を多くの方に知っていただければ幸いです」
(取材年月:2026年10月)
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Profile
和紙の風合いを生かし、立体的な花を創る折花造形作家
伊藤智里プロ
折花造形作家・指導者
折花ちさと流
和紙の色や風合いを生かし、ハサミを使わず立体的な花を創作。教室では好みや習熟度に合わせて指導します。個人向けの花束から、旅館や企業の空間を彩る装飾作品まで、用途に合わせて制作します。
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