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Amazonのリーダーシップ理念に基づく、自走する組織のつくり方

働く人が主体的に「動く」自走組織をつくるコンサルタント

鬼島智

鬼島智 きじまさとし
鬼島智 きじまさとし

#chapter1

「社員全員がリーダー」をベースに行動指針を作成し、能動的に動ける人材を育む

 自社のあるべき姿や行動指針は、全社員に共有できていますか? 「会社として大事にしたい価値観が漠然としていると、人はどう動けばいいのかわかりません。行動指針として示すところから始めましょう」と呼び掛けるのは、「Onlives」代表の鬼島智さん。

 コーチングや研修を通して、経営者と働く人の意識を変え、「自走できる組織づくり」をサポートします。その基盤になるのが、前職であるAmazonの経営戦略「リーダーシップ・プリンシプル」の考え方です。
 「Amazonでは、『マネージャーであるかどうかにかかわらず、全員がリーダーである』という考えに基づく16の行動指針があり、サービス構築のみならず人事評価や採用選考でも活用しています。約5年半、その環境に身を置き、目標を達成するために何が求められているかを一人一人が考え・行動できる組織の強さを実感しました。この考え方をベースに、最短で結果を出せる組織へと導きます」

 コンサルティングでは、経営者へのコーチングにより、中長期的なビジョンや経営方針などを〝見える化〟。その上で社員研修を行い、行動指針を形にするワークなどを通して、社内に定着を図ります。さらに、1on1ミーティングにより、個々に伴走することが理想です。

 「人材を資産ととらえ、価値を最大限に引き出す〝人的資本経営〟が注目されていますが、中小企業で推進しているところは少ないです。働く上での価値観を、評価や採用にも連動させると、一貫した思いを経営に反映でき、人材の確保や教育、公平な評価制度の構築といったヒトの問題にも対応できます」

#chapter2

「自分軸」をつくるコーチングで、働く一人一人にもアプローチ

 鬼島さんは、ミッションメンタリング協会が認定する「マスター講師」として、個人向けのコーチングも手掛けています。コーチングでは、一人一人が生まれもった個性や能力を知り、「自分軸」を確立させることで、強みを生かして輝くことを目指します。
 「もともと自分は何が向いているのだろうと考えたことがあり、いろいろなメソッドを学ぶうちに、〝自分軸〟の考え方にたどりつきました。Amazonのリーダーシップ思考と、自分軸の見える化、それに伴うコーチングメソッドの3本柱で、企業と個人の両方をサポートできるところが私の強みです」

 Amazonでリーダー職を務めた際、部下に対する教育の一環として、「自分軸」を見いだすワークを取り入れたとか。
 「私自身の経験から、数字だけを見て『なぜできないのか』と問い詰める上司と、『目標達成には何が必要?』と個人の力に目を向けてくれる上司とでは、モチベーションに差が出ると感じていました。自分の軸を意識するように働きかけたことで、部下それぞれが能動的に行動できるようになり、複数人が昇進するほど成果を出しました」

 特にマネジメント層の意識を変えることが重要と指摘します。
 「上からと下からのプレッシャーにさらされ、マネージャー層がイキイキと働けていない企業は少なくありません。部下のため、会社のために何とかしようという気概のある中間管理職がいてこそ、組織はうまく回ります。管理職に特化した研修にも力を入れたいですね」

鬼島智 きじまさとし

#chapter3

オペレーター育成や、ECコンサルティングなど、幅広い経験を経て起業

 鬼島さんが人材育成に目を向けたのは、大学卒業後に入社した有料放送サービス会社での経験が始まりです。カスタマーセンターのスーパーバイザーとして、200人を超えるオペレーターの育成に携わりました。
 「経営学者、ピーター・ドラッカーによる『組織の中での役割を明確化する』という考え方を実践しました。サービスの加入獲得・解約阻止という2つのミッションを、オペレーターの得意・不得意によって業務を分け、彼らを管理するリーダーにも担当メンバーを割り振りました。電話応対の効率化が図れ、解約阻止率を3倍近くに向上。人のマネジメント法が変われば、結果につながることを目の当たりにしました」

 転職先のAmazonではECコンサルタントとして、数多くの事業者を支援。経験をもとに、2023年に設立した「Onlives」の社名には、「Only live once(人生一度きり)」の意味が込められています。
 「一度しかない人生の中で、縁あって出会えた方々の可能性をひらくきっかけになりたいと事業を始めました。働く人が幸せになるためには会社がいい方向に変わることが近道。会社の発展に貢献することで、日本を強くしたいという思いが根底にあります」

 組織力強化のため、「社内ブランディング」に取り組んでほしいと呼び掛けます。
 「経営理念が、形骸化していませんか。会社の価値観が社内に浸透しないのは、明文化されていないからです。社員の理解を深め、主体性を引き出しましょう」

(取材年月:2024年4月)

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専門家プロフィール

鬼島智

働く人が主体的に「動く」自走組織をつくるコンサルタント

鬼島智プロ

組織開発コンサルタント

Onlives合同会社

Amazonが実践する「リーダーシップ・プリンシプル」をベースに、自走組織作りをサポート。経営ビジョンと行動指針を「見える化」し、働く人の主体性を引き出します。コーチングによる社員の意識定着も支援。

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