先端医療と中国伝統医学を融合し多角的な診療を行う医師
岡部哲郎
Mybestpro Interview
先端医療と中国伝統医学を融合し多角的な診療を行う医師
岡部哲郎
#chapter1
「治療を続けているのに改善が見えない」「検査では異常が見つからない」など、長引く不調や難治性の症状に悩み、不安を抱えながら日常を過ごしている人は少なくありません。東京・銀座にある「岡部漢方内科」には、緑内障や神経疾患、自己免疫疾患、慢性的な倦怠感など、全国各地から相談が寄せられています。
院長を務める岡部哲郎さんは、東京大学医学部卒業後、東大病院や海外の研究機関で長年にわたり研究・診療に携わってきた医師。がん細胞の研究や分子標的治療の研究開発など、先端医療の分野に身を置く一方、中国伝統医学についても学び、東大病院総合内科で漢方診療に携わってきました。現在は、西洋医学と中国伝統医学、それぞれの知見を踏まえた診療を行っています。
「医療技術は日々進歩しています。ただ、現在の医療だけでは十分に対応が難しい症状や疾患が存在するのも事実です。治療法が確立されていない疾患や、原因が明確ではない不調に対しては、異なる視点から体の状態を捉えることで、回復の糸口が見つかることもあると考えています」
岡部さんが大切にしているのが「病気だけではなく、人そのものを見る」という姿勢です。
「当院では、検査データや医学的知見をベースとしつつ、問診に時間をかけ、脈や舌、腹部の状態なども丁寧に確認します。体質や自律神経の状態、生活習慣などを含め、患者一人一人の状態を総合的に見たうえで、多元的な視点から考察しています」
常時20〜30種類前後の生薬から、組み合わせや処方内容を調整。一人一人に合わせたオーダーメード診療を実践しています。
#chapter2
10代の時に慢性疾患の診断を受けた岡部さん。症状と長く付き合う覚悟とともに、「病気の研究に携わり、その成果を患者のために生かしたい」との思いを胸に、東京大学医学部へと進学します。
長年にわたり、第一線で研究と臨床に従事。細胞レベルでの研究分野では、肺がんに対する分子標的治療の研究開発に携わるなど、先端医療の研究に従事してきました。そんな岡部さんの「医療の可能性を求める歩み」に大きな影響を与えたのが、中国伝統医学の第一人者との出会いでした。
「当時は、近代西洋医学とさまざまな医療を融合する統合医療の考え方は一般的ではありませんでした。しかし、『病気を克服したい』という一念で医療の道を歩んできた私にとって、根拠を見極めずに可能性を排除するという選択はありませんでした」
台湾の著名な漢方医のもとで学びを深め、東大病院では漢方外来の責任者として診療や研究に携わりました。難治性疾患に向き合う診療経験を積み重ねる一方、国内外の学会に論文を発表するなど、2011~2015年までは日本東洋医学会の理事を務め現在に至るまで、中国伝統医学の啓発活動にも取り組んでいます。
「検査技術や診断精度が力を発揮する領域もあれば、中国伝統医学だからこそ見える側面もあります。目指しているのは『複数の医学的アプローチによって、より深く一人を診る』という患者さま中心の医療です」
尽きることのない探究心に背中を押され、2014年には同院を開業。セカンドオピニオンを担う役割を意識すると同時に、統合医療の実践の場として診療を続けています。
#chapter3
「例えば、視野が欠けていく緑内障という目の病気があります。眼圧が高いことから起こる『高眼圧緑内障』では点眼薬や手術が主な治療法ですが、眼圧が正常でも視神経が関係するとされる『正常眼圧緑内障』では、神経系へのアプローチという観点から、中国伝統医学の知見を踏まえた診療を検討することがあります」
ほかにも、脊髄小脳変性症やシェーグレン症候群、てんかん、認知症、うつ病など、さまざまな疾患や症状に対して、複数の視点から心身の状態を総合的に捉えながら診療に当たっています。
岡部さんは、こうした診療経験や研究成果を学術論文にまとめ、海外の学術誌で発表するだけでなく、一般向けの書籍執筆や情報誌への寄稿、ブログ、SNSなどを通じて、中国伝統医学や統合医療に関する情報を発信しています。
「コロナ禍では、原因も治療法も分からず社会全体が混乱したことは記憶に新しいでしょう。検査結果に異常がないにもかかわらず、今なお後遺症に悩む人も少なくありません。専門病院で治療を受けていても改善が見られない人や、原因が分からず悩んでいる人にも、異なる視点から体を見つめる選択肢があることを知ってほしいのです。だからこそ、生きる希望や気力を失いかけている人には、別の可能性があることを伝えたい。一つの考え方だけにとらわれず、患者さまにとって何が必要かを問い続けたいですね」
(取材年月:2026年5月)
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Profile
先端医療と中国伝統医学を融合し多角的な診療を行う医師
岡部哲郎プロ
医師
岡部漢方内科
先端医療の研究者・医師としての経験と中国伝統医学への知見を併せ持ち、難治性疾患や原因不明の症状の背景を探る多角的な視点と、一人一人に向き合う姿勢で統合医療に取り組んでいます。
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