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「思いの流通」をめぐらせ、経営と現場の対話を活性化

経営と現場のあいだに立ち流れを整える対話支援アドバイザー

浅沼正治

浅沼正治 あさぬましょうじ
浅沼正治 あさぬましょうじ

#chapter1

1on1ミーティングや共読会など、組織内の対話の場づくりをサポート

 日々の業務で数字や方法は共有できても、「何のためにやるのか」という本質的な考え方が現場に伝わっていないと感じることはありませんか。

 「モノコトフロー研究所」を主宰する浅沼正治さんは、物流会社の経営経験を生かして経営と現場のあいだに立ち、その「流れ」を整える対話支援に力を入れています。経営者からよく聞かれる悩みの一つが、現場と意思疎通がうまくいっていないこと。その背景には、情報や思いが行き交わらず、対話が不足している状況があるといいます。 

 「『なぜこの事業を行うのか』といった企業としての前提を改めて確かめ合うために、対話の場をつくることを提案します。まずはお互いの思いが通い合うよう、対話の機会をつくり、思いの流通をスムーズにすることが重要です」

 対話の機会としては、浅沼さん自身が実践していた1on1ミーティングをはじめ、さまざまな手法をアドバイスします。
 「仕事の話に終始するだけでは、お互いの思いまで伝わりません。また、職場でどこまで素の自分をオープンにしていいのか迷う人もいるでしょう。例えば、同じ本を読んで感想を語り合う共読会のように、イベント的な工夫を凝らすのも一案です。『こんな風に考えているのか』『こんな見方をするのか』など、人間性が出るやりとりの中で、関係がほどけていきます」

 対話を機に、一人一人が働きやすさや仕事の楽しさを実感でき、成果にもつながると強調します。
 「今は数字や目標ありきで組織を動かすのではなく、人が主役の時代。働きやすさや仕事の楽しさを実感できる、時代にあった組織にアップデートすることで、売り上げなどの結果もついてきます」

#chapter2

物流会社の経営者を経て、「モノやコトの流れ」を研究する場を立ち上げ

 浅沼さんが掲げる「思いの流通」の背景には、長年「流通」の世界に身を置いてきた歩みがあります。オフィス用品ディーラーでの法人営業や文具店の店長を経て、メーカー系物流子会社の設立に参画。経営者として20年にわたり、組織運営に携わってきました。川上から川下までの豊富な知識を生かして、業界の構造やトレンドをテーマにしたセミナーに登壇する機会も少なくありません。

 自身の経営者時代を振り返り、優れた人材との出会いに恵まれたと話す浅沼さん。現場の職人やドライバーなどプロフェッショナルが多くを占める中、自身は素人の気持ちで向き合うことを大切にしてきたそうです。
 「素人とは、常に素直さや謙虚さを持つこと。その姿勢が、コミュニケーションの潤滑油にもなりました。設立から会社の規模が拡大しても意識的に対話の場を持ち、一人一人と深い関係性を築くことができました」

 社長退任後の2025年、個人事業として立ち上げた「モノコトフロー研究所」は、その名の通り、「モノやコトの流れ」を研究することをコンセプトに掲げています。モノの流れの改善にも取り組む中で、人の思いや人間関係といった、形のないコトの流れにも関心を持つようになったといいます。

 「もともと一つのことを深く掘り下げたいタイプなので、退職を機に、広い意味での流通を自分なりに読み解きたいと思いました。『研究所』と名付けたのは、流れから物事を捉える視点や経験を、必要としている人の役に立てたいという思いからです」

浅沼正治 あさぬましょうじ

#chapter3

経営者の思考整理をサポートする壁打ち相手として伴走

 浅沼さんが目指すのは、正解を示すコンサルタントではなく、経営者の思考整理を支える壁打ち相手として伴走することです。
 「会社経営において、すべての企業に共通する唯一の正解や法則はありません。その時々の課題に、どう向き合うかの連続だと考えています。そのため、経営者の思考を丁寧に整理し、本人が納得できる解決策を一緒に探していくアドバイザーとしての役割を大切にしています」

 活動の幅は対話支援にとどまりません。2024年創刊の雑誌「イコール」の出版事業に参加し、そこから派生したZINE制作にも関わっています。企業向けには「社内ZINE」の制作支援も手掛けており、社員が自ら企画・執筆する点が特徴です。

 「完成物そのものよりも、仲間と同じ目標に向かって『0から1を生み出す体験』を共有することを大切にしています。環境を整えること自体を目的とするのではなく、その過程で一人一人が当事者として関わり、関係性や対話の質が育つことに、組織にとって長く残る力が宿ると考えています」

 これからの時代、商品やサービスの流通を考えるのと同様に、社内の「思いの流通」を整えることは欠かせない要素です。目の前の課題解決にとどまらず、未来へ向けた時代デザインにつながる取り組みでもあります。

 「形式的なコミュニケーションではなく、真剣でフェアな対話ができる環境づくりをお手伝いします」と浅沼さん。経営者に寄り添いながら、対話を軸にした前向きな組織づくりをともに考える存在です。

(取材年月:2026年1月)

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専門家プロフィール

浅沼正治

経営と現場のあいだに立ち流れを整える対話支援アドバイザー

浅沼正治プロ

経営アドバイザー

モノコトフロー研究所

経営と現場をつなぐ「思いの流通」を整え、対話を通じて社内コミュニケーションの活性化を支援。目の前の課題解決にとどまらず、未来へ向けた時代デザインにつながる組織づくりを伴走します。

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