商業施設・スーパーの電気代はなぜ下がらない?電力の内訳と、窓から入る熱を減らす対策

青柳真理江

青柳真理江

LEDに替えた。
設定温度も見直した。
それでも、店舗や施設の電気代が思うように下がらないという声をよく聞きます。

照明や温度の運用でできることは、多くの店舗がすでにやり切っています。
残っているのが、窓から入ってくる日射の熱です。

窓の施工をしている立場から、商業施設とスーパーの電力が何に使われているかを公的データで確かめます。
そのうえで、売場を暗くも暑くもせずに空調の負荷を減らす、窓の対策を整理します。


小売店・スーパーの電気は何に使われているか


卸・小売店の電力消費の内訳(資源エネルギー庁)

資源エネルギー庁の「夏季の省エネ・節電メニュー」に、業種別の電力消費の内訳が載っています。
いずれも夏の17時頃の数字です。

設備卸・小売店食品スーパー
空調26.2%24.3%
照明21.8%16.3%
冷凍・冷蔵6.9%9.9%
ショーケース6.6%37.8%
その他38.5%10.9%


空調は、どちらの業種でも電力の4分の1前後を占めます。
食品スーパーでは、止められないショーケースと冷凍・冷蔵に次ぐ大きさです。

電力消費のピークは、卸・小売店で9時〜21時頃、食品スーパーで9時〜17時頃です。
空調が最も働いている時間は、窓から日射が入る時間と重なっています。

※出典:資源エネルギー庁「夏季の省エネ・節電メニュー(事業者の皆様)令和8年度版」
食品スーパーは、ほかに複合機0.5%・パソコン0.2%があります。

使用量は横ばいでも、料金は上がっている


スーパー1店舗あたりの年間電気料金は、回答企業の平均で約2,200万円(中央値約2,160万円)です。

電気使用量は前年比101.4%とほぼ横ばいなのに、電気料金は105.1%に上がっています。

使う量を抑えても、単価の上昇に打ち消されている状態です。

※出典:全国スーパーマーケット協会ほか2団体「2025年 スーパーマーケット年次統計調査報告書」(2025年10月)

運用の対策は、すでに伸びしろが小さい


同じ調査では、照明のLED化は81.5%、太陽光発電は43.7%の企業がすでに実施しています。
効果の分かりやすい対策から、順に手が打たれてきました。

資源エネルギー庁の資料には、対策ごとの建物全体に対する省エネ効果も載っています。

対策卸・小売店食品スーパー
店舗の照明を半分程度間引きする11.7%8.2%
室内温度を26℃から2℃上げる2.4%1.1%


※一定の条件の下での試算結果で、建物の利用状況により異なります(同資料の注記)。

照明の間引きは効果が大きい一方、商品の見え方に直結します。
設定温度を2℃上げても、食品スーパーでは建物全体で1.1%です。

同資料にも「熱中症にご注意ください」と注記されています。
売場を暗くするか、お客様と従業員に暑さを我慢してもらうかの二択になりがちです。

国のメニューにある「日射を遮る」という対策


資源エネルギー庁の同じ資料の「空調」の欄には、もう一つ対策が載っています。
日中の日射を、ブラインドやフィルム、ひさしなどで遮るという項目です。

設定温度を上げるのは、入ってきた熱を我慢して受け入れる対策です。
日射を遮るのは、そもそも入ってくる熱を減らす対策です。

住宅の例では、夏に室内へ入る熱の約73%が窓からとされています。
※夏の冷房期の数値です。

商業施設は、共用部のガラスが空調を重くしている


商業施設は、開放感を出すために大きなガラスを使います。
エントランスの全面ガラス、吹き抜けのアトリウム、モール通路の連続窓などです。

こうした共用部は、売上を生まないのにガラス面が最も大きい場所です。
光熱費は共益費としてテナントに転嫁されることが多く、上がり続ければテナントの不満にもつながります。

入口付近に合わせて空調を強めると、奥の区画が寒くなります。
入ってくる熱そのものを減らさない限り、冷やしすぎと暑さの同居は解けません。

スーパーで窓の対策が効くのは、ガラス面の大きい場所


スーパーで窓の対策が効く場所

スーパーは、売場の中心部に窓がない店舗がほとんどです。
窓の対策は店舗全体を一律に下げるものではなく、ガラス面の大きい場所を選んで効かせる対策です。

  • 入口・風除室:自動ドア周辺の大きなガラス面
  • イートインコーナー:暑さが滞在時間やクレームに直結
  • 2階以上の売場・テナント区画:面積の大きい窓を持つ店舗が多い
  • バックヤードの事務所・休憩室:従業員の作業環境と熱中症対策に直結
  • 窓に面した青果・日配の売場:直射が当たると商品の劣化にもつながる


窓の対策を4つ比べる


窓の対策4つを比べる(費用・耐用年数)

項目節電ガラスコート遮熱フィルム内窓(二重窓)Low-Eペアガラス
費用の目安税込13,200円〜/㎡(税別12,000円〜)18,000円〜/㎡40,000円〜/㎡45,000円〜/㎡
耐用年数の目安15年以上が目安5〜10年長い長い
ガラスの交換不要不要不要(内側に増設)必要
曲面・型ガラス施工できる貼れない--


※節電ガラスコートは税込価格です。耐用年数は屋内施工の場合の目安です(メーカー調べ)。

※他工法は税別の一般的な目安です(当社調べ・2026年時点)。実際の金額は施工業者・現場により異なります。

内窓やペアガラスは性能面で有力ですが、店舗のファサードを変えることになります。
費用も工期も大きく、テナントの場合は管理会社の承認が下りないこともあります。

節電ガラスコートが商業施設・スーパーに向いている理由


節電ガラスコートは、今あるガラスの内側に専用の塗料をローラーで塗る工法です。
ガラスもサッシも交換しません。

太陽の赤外線を吸収し、室内への熱の流入を抑えます。
近赤外線を80%以上、紫外線を99%以上カットします。

営業を止めずに施工できる


大型の資材を運び込む必要がないため、区画や窓面を区切って部分ごとに施工できます。
営業時間外の作業にも対応します。

時間外の施工には割増がかかります(6〜9時・18〜23時は25%、23〜6時は50%)。
金額に関わるので、先にお伝えしています。

ファサードと売場の見え方を変えずに済む


膜厚は約8μmと、遮熱フィルムの50〜150μmに比べて非常に薄い塗膜です。
施工後の可視光透過率は75%以上を保ち、仕上がりはごく薄い水色です。

紫外線を99%以上カットするので、窓際の商品・POP・什器の色あせを抑えることにもつながります。

効果と、施工できない窓について


環境省の環境技術実証事業(ETV)では、夏の冷房時の空調負荷を約25%低減した試験結果がございます。
効果を発揮するのは、日差しがある日中が中心です。

熱線吸収ガラス・網入りガラス・ペアガラス(Low-E複層ガラス)は、熱割れの可能性があります。
熱割れのリスクが高いと判断した窓は、施工をお断りしています。

一方で、型ガラスや曲面ガラスは、フィルムは貼れませんが節電ガラスコートは施工できます。

施工中は除光液のような臭いが出るため、食品売場や飲食テナントの近くは施工エリアと時間帯を相談して決めます。

電気代はどのくらい下がるのか


一番多いご質問ですが、店舗全体の電気代が何%下がるかは、一律の数字ではお伝えしていません。
窓の対策が効くのは、ガラス面のある区画の空調負荷に限られるためです。

窓の少ない店舗と、全面ガラスのイートインや共用部を持つ施設では、結果がまったく変わります。
導入前の個別シミュレーションは、ご要望に応じて法人のお客様のみ承っています。

温度でみた目安は、次のとおりです(いずれもメーカー公表の一般値)。

  • 直射熱を5〜15℃近く遮熱
  • 窓際の温度差8〜10℃
  • 室内全体で2〜3℃の温度低下が見込めます


「入口付近だけ暑い」「イートインの窓際が暑い」という場所の解消には、体感で分かりやすい効果が出やすい部分です。

導入実績


DAISO様では、全国1,100店舗以上で導入されています(メーカー本部を通じた導入実績)。
節電ガラスコートは、世界30カ国以上・施工面積100万㎡超の実績があります。

費用の目安


  • 節電ガラスコート:税込13,200円〜/㎡(税別12,000円〜)
  • 最低施工面積は10㎡で、これを下回る面積でも10㎡分(税込132,000円〜)を申し受けます
  • 諸費用(養生・運搬・現場経費等)・出張費・高所費は別途お見積りです


窓の面積が50㎡なら、施工費は13,200円 × 50㎡ = 660,000円〜(税込)です。
これに諸費用などが加わります。

よくあるご質問


Q. 吹き抜けの高い位置のガラスも施工できますか?


A. 高所の施工にも対応しますが、高所費は別途お見積りです。
足場や高所作業車が必要になる場合があるため、図面を拝見したうえでご案内します。

Q. テナントで入っていますが、施工できますか?


A. ガラスを交換せず内側に塗る工法なので、内窓の増設やガラス交換より承認が得やすい傾向があります。
ただし判断は建物の管理者によりますので、事前にご確認ください。

Q. 冬はどうなりますか?


A. 冬は結露の抑制が期待できます。
結露の発生を50%以上抑制します(メーカー公表値)が、完全に防ぐことはできません。

窓の写真・図面をお送りください


窓の写真・図面・サイズをお送りいただければ、施工できるかどうかと概算のお見積りをお返しします。
お見積りは無料です。

ガラス越しの熱の違いを確かめられる体感キットもご用意しています。
稟議やテナントへの説明の材料としてお使いいただけます。

【法人の方】お問い合わせフォームから、窓の写真・図面を添えてご連絡ください。
https://glasscoat-paint.com/contact?utm_source=mbp&utm_medium=column&utm_campaign=retail-electricity

ガラスの種類による熱割れの目安は、熱割れ計算シミュレーター(無料・約1分)で確かめられます。
https://glasscoat-paint.com/thermal-crack?utm_source=mbp&utm_medium=column&utm_campaign=retail-electricity

スーパーの電気代の内訳と対策は、公式サイトのコラムでも詳しく解説しています。
https://glasscoat-paint.com/column/supermarket-electricity-cost-window?utm_source=mbp&utm_medium=column&utm_campaign=retail-electricity

リンクをコピーしました

Mybestpro Members

青柳真理江
専門家

青柳真理江(窓ガラス遮熱・断熱コーティング)

LARTH株式会社

多様な現場での経験をもとに、全国の塗装業者への研修講師も務める確かな技術が強みです。また住宅は主に女性社員が対応。不安の解消に努めるとともに、奥さまのみの在宅時でも安心してお任せいただけると好評です。

プロのおすすめするコラム

コラム一覧に戻る

プロのインタビューを読む

窓から住まい環境を改善する窓ガラスコーティングの専門家

  1. マイベストプロ TOP
  2. マイベストプロ東京
  3. 東京の住宅・建物
  4. 東京の住宅その他
  5. 青柳真理江
  6. コラム一覧
  7. 商業施設・スーパーの電気代はなぜ下がらない?電力の内訳と、窓から入る熱を減らす対策

青柳真理江プロへの仕事の相談・依頼

仕事の相談・依頼