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薬局メイドの薬「薬局製剤」も用意、地域に根差して笑顔を届ける“街の保健室”

安定した調剤・服薬サポートで地域に頼りにされる薬剤師

宮澤孝全

宮澤さん正面
のれん

#chapter1

処方箋調剤だけでなく、薬剤師が作る「薬局製剤」の販売、服薬指導・訪問服薬管理なども実施

 JR蒲田駅より徒歩7分。都道11号線沿いに面するビルの1階にある「こめ薬局」。
 かつての「すずらん通り商店街」の素朴な風情を伝える、白地に平仮名で「くすり」とのみ描かれた“暖簾”が目印です。

 「調剤薬局は、ただ処方箋のお薬をもらうためだけの場所だと思っていませんか?」と投げかけるのは、店主で薬剤師の宮澤孝全さん。

 店内には後発医薬品や漢方医薬品を含む2000品目以上の薬を取り揃え、近隣の個人病院から遠方の大学病院まで、幅広い処方箋に対応するだけでなく、服用に関する相談にも応じています。

 さらに2021年のオープン当初から医薬品の製造販売許可を取得し、胃腸薬や咳止め、下痢止め、解熱・鎮痛剤、かゆみ止めなどを薬局内で製造しています。

 「『診察時間内に病院に行けない』『常備薬としてストックしておきたい』という声に応えた取り組みですが、主成分以外の添加物を最小限にとどめ、市販薬と比べて安価なこともメリットの一つでしょう」
 
 複数の薬を服用方法や時間ごとに一包化したり、服用するタイミングごとに色分けするなど、飲み忘れがないような工夫のほか、オンライン予約や、スマートフォンのアプリなどを使用して服薬情報を管理する「eお薬手帳」にも対応。
 
 店頭業務以外に訪問診療にも携わるスタッフは、宮澤さんを含めて有資格者3人体制。医師や訪問看護師、ヘルパーとチームを組んで、定期的に在宅診療の患者や要介護者の自宅を訪問しています。

 「訪問先では、1回分の薬を入れるポケットがついたお薬カレンダーを提案して、仕分けやチェックを行うなど、医師の指示に基づいて薬の管理をサポートします」

#chapter2

「薬の専門家として、人々の近くでサービスを提供したい」と、慣れ親しんだ町に開業

 中学生時代にバブル経済の崩壊を経験した宮澤さんは、将来に危機感を覚え「専門技術を身に付けたい」と薬剤師を志します。

 「薬学部を卒業後、約20年間、いくつかの調剤薬局に勤務しました。薬剤師といえども組織の一員。企業として収益を追求するのは当然のことで、一般企業と同様に薬価差益を上げる努力や作業効率も重要視されました。ビジネスパーソンとしての心得も身に付けなければなりません」

 やがて管理薬剤師やエリアマネージャーとして責任のある立場になり、本社での会議への参加や書類作業が増えるにつれ「医療と全く関係のない場所に追いやられているようだ」ともどかしさを覚えるようになった宮澤さん。
 「もっと人に近く、薬の専門家としてのサービスを提供したい」との思いを年々募らせていきました。

 宮澤さんの家族は二代にわたって精米店を経営していましたが、父が店を閉じた後、ビルの1階部分を薬局として開業することに。
慣れ親しんだ西蒲田の地に、宮澤さんが理想とする薬局サービスを目指すべく、暖簾を掲げました。

 利用者は「薬局の前身の精米店時代から馴染みがある」という近隣の人から、遠方から処方箋をWEB上で提出する人などさまざま。

 「長年、米屋として親しんでくれたこの地に対する感謝を“こめ薬局”という屋号に込めました。私が店頭でのびのびと会話できるのも、店先でお客さんと気さくにやりとりする家族の姿を見て育ったからでしょうか」と笑います。

店内

#chapter3

スピード感を持って対応するかかりつけ薬局として“街の保健室”を目指す

 宮澤さんが開業したのは、コロナ禍の只中。ようやく混乱が落ち着くかに見えた矢先、原料不足による咳止め薬の欠品が相次ぎました。
 
 「コロナ禍ではいち早く検査キットを揃え、混雑回避のためにオンライン予約を導入したり、発熱外来の受け入れ医院の情報をお知らせしたりと、できる限りのスピード感でサポートに努めました。薬剤不足にも、医師と情報共有しながら代用できるものを探すなどの連携を図り、今できることをあきらめずに対応していきたいですね。」

 「正しい情報」という点でも、町の薬局の役割は大きいと言います。
 宮澤さんは世の中にあふれている情報の中から正確なデータや裏付けがあるものだけを発信することを心掛け、一般の人が理解できる言葉できちんと伝えるのも職務の一つと捉えているそう。

 蒲田薬剤師会に所属する宮澤さんは、防災訓練など地域の活動にも積極的に参加。
 コロナ禍で中断していた主催イベントも2023年秋に再開し、蒲田駅前の広場では『お薬相談会』を実施しました。
 
 「私が担当したのは骨密度を測定するブースでしたが、約6時間で訪れたのは100人以上。隣の脳年齢測定ブースも大盛況でした。皆さんの健康に対する関心の高さを目の当たりにしましたね」

 医療分野に限らず、先行きは何が起こるか想像もつきません。
 「リアルタイムでの地元の医療情報に詳しい“街の保健室”として、かかりつけ薬局を利用してもらえたらうれしいですね」

(取材年月:2023年11月)

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宮澤孝全

安定した調剤・服薬サポートで地域に頼りにされる薬剤師

宮澤孝全プロ

薬剤師

こめ薬局

安定した薬剤供給を心掛け、処方箋調剤や服薬指導と並行して、薬局内で常備薬などの製造も行う。2代続いた精米店の流れを汲み、地域になくてはならない「街の保健室」として情報を発信、人々の笑顔を支えます。

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