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若き経営者にM&Aの新たな扉を開く時代へ

朝野一博

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近年、日本のM&A市場は大きな変革を迎えています。この5年でM&A仲介業者が爆発的に新規参入し、譲渡案件の情報量も飛躍的に増加しました。しかし、その一方で成立しない案件も多く、「塩漬け」となった譲渡案件が増えているのが現状です。大手のM&A仲介業者はこの問題に対し、同業他社との協業や案件のFA(ファイナンシャル・アドバイザー)としての役割を通じて、成立に向けた新たな取り組みを進めています。

未成立案件が増加する一因として、M&A仲介業者の高い報酬体系が挙げられます。高額な成功報酬が設定されているため、譲渡案件の価格も上昇し、結果として買い手が見つからないケースが増えています。

一方で、売主側もM&Aに関する情報が豊富になり、自社の売却価格に一定の目線を持つことが可能な時代となりました。情報の非対称性が減少したことで、売主はより戦略的に売却を検討することができます。

現在、M&Aで買収戦略を立てられる企業は、多額の現金を投資でき、長い社歴を持つ企業が中心です。しかし、明確なビジョンと高い志を持つ若い経営者たちは、年商や投資資金が限られているため、M&Aに挑戦する機会がほとんどありません。

これからのM&A市場や仲介業者は、こうした若き経営者に対しても機会を提供すべきです。実際には、買収資金の調達が大きな課題となることが多いため、段階的な買収や仲介業者による資金提供などの新たなスキームが求められます。具体的には、M&A仲介業者が一時的に一部の株式を取得し、同時に若い経営者にも一部の株式を取得していただき、経営を任せる方法を考えております。そして、仲介業者はその経営支援で生み出された利益からリテイナーとして報酬を得る仕組みを構築するのです。
ファンド的な要素を取り入れたスキームを検討中です。

このように、仲介業者は従来の成功報酬型のモデルを見直し、取引内容に応じた柔軟な報酬体系を導入する時代が来ています。若き経営者たちにM&Aの扉を開くことで、新たなビジネスチャンスと市場の活性化が期待できます。

M&A市場が真に活性化するためには、多様なプレーヤーが参入できる環境作りが不可欠です。志高い若い経営者たちが活躍できるフィールドを提供することで、日本経済全体の発展にもつながるでしょう。

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朝野一博
専門家

朝野一博(M&Aアドバイザー)

株式会社シードアドバイザリー

建設業を専門に、M&A仲介をサポート。業界400社以上のコンサル実績と約9000社のネットワークを生かし、精度の高いマッチングを導きます。将来のM&Aを見据えて株式価値を高める「MSV」サービスを提供

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