アフターフォローが成否を分ける
企業間取引(BtoB)の展示会は、新規顧客の獲得や既存顧客との関係強化において非常に重要な場です。こうした場では、来場者に「自社を記憶に残してもらう」工夫が欠かせません。その手段のひとつとして活用されるのが“ノベルティ”です。とはいえ、数多くの企業が出展するなかで自社のブースに立ち寄ってもらい、印象を残すには工夫が必要です。そこで本コラムでは、BtoB展示会で活用されるノベルティの種類や使い方のポイント、そして金額の相場感についてご紹介します。
1. ノベルティの役割とは?
ノベルティはただ単に「配るもの」ではなく、企業が来場者との接点を作るための“きっかけ”や“思い出のフック”となります。BtoCのイベントとは異なり、BtoBの展示会では来場者がビジネス目的で訪れるため、ノベルティにもビジネスらしい付加価値や使い勝手の良さが求められます。実用性やオフィス環境で使えるもの、あるいは特定の業界にマッチするものを選ぶことで、渡したあとも長く使ってもらえる可能性が高まり、自社の認知度向上につながります。
2. 種類別ノベルティと特徴・相場感
文房具系(ボールペン・付箋・メモ帳など)
特長:ビジネスシーンで日常的に使いやすく、頻繁に目に触れる。
相場感:ボールペン:1本あたり数十円~200円程度(数量や質によって変動)付箋・メモ帳:1つあたり数十円~100円程度
活用ポイント:ロゴや企業名を印刷することで、自社のブランディング効果を狙う。商品の質感やデザインにもこだわると“おしゃれ”な印象を与える。
USBメモリ・モバイルバッテリー
特長:IT関連企業やデジタル系のサービスと相性が良く、ビジネスパーソンにはありがたい実用性が高いアイテム。
相場感:USBメモリ:1個あたり200~1,000円程度(容量や形状で変動)モバイルバッテリー:1個あたり500~2,000円程度(容量・ブランドによって差が大きい)
活用ポイント:渡す際にカタログデータや会社案内をUSBに入れるなど、後日の営業フォローにも活用できる。
エコバッグ・トートバッグ
特長:繰り返し使え、展示会で配布されるパンフレットや資料を持ち帰るのにも便利。相場感:不織布の簡易エコバッグ:1枚あたり100~200円程度キャンバス生地のトートバッグ:1枚あたり300~800円程度(デザインや素材の質によっては1,000円以上も)
活用ポイント:企業ロゴやメッセージを印刷し、デザイン性を高めると日常使いしてもらいやすい。
デスク周りグッズ(クリーナークロス・マウスパッドなど)
特長:オフィスや在宅勤務の机まわりで目にしやすく、日常的に使用されやすい。
相場感:クリーナークロス:1枚あたり数十円~100円程度マウスパッド:1枚あたり100~300円程度(素材・印刷クオリティで変動)
活用ポイント:IT関連ならクリーナークロスなどを選ぶなど、自社サービスとの関連性をアピール。スペースを取りすぎないコンパクトサイズが好まれやすい。
タンブラー・マグカップ
特長:長期間使える実用性があり、社内や家庭での利用シーンも多い。
相場感:プラスチック製タンブラー:1個あたり300~500円程度ステンレス製タンブラーやマグカップ:1個あたり500~1,500円程度
活用ポイント:品質やデザイン性にこだわると長期的に使ってもらえ、PR効果が高い。予算と照らし合わせながら優先度の高い来場者に配布する戦略も。
食品系(ペットボトルの水・名入れチョコレートなど)
特長:展示会場での「ひと息」や「おみやげ感」を演出でき、手軽に受け取ってもらいやすい。
相場感:ペットボトルの水(ラベル名入れ):1本あたり50~100円程度名入れチョコレート・キャンディ:1個あたり数十円~100円程度(デザインや数量によって変動)
活用ポイント:ペットボトルの水ラベルにロゴやキャッチコピーを入れてPR効果を高める。特に会場が乾燥しがちな場合、喜ばれやすい。
チョコレート・キャンディ等パッケージや包装紙に企業ロゴやメッセージを入れる。休憩時の話題作りや来場者とのコミュニケーション促進に活用できる。
3. 効果的な使い方のポイント
ターゲットセグメントの明確化
BtoB展示会では、来場者の業種や職種、立場などに応じて興味関心や求めるものが異なります。展示会ごとにターゲットを明確にし、「この業界の方に喜ばれるものは何か?」と考えてノベルティを選定することが重要です。
会話のきっかけとして活用
ノベルティはあくまで「相手との接点を作る手段」。来場者に“ただ配る”のではなく、ブースに立ち寄ってもらったり、資料説明や商談への誘導のタイミングで渡すほうが印象に残ります。
食品系の場合:「休憩にどうぞ」「お疲れのところに」など一言添えて渡すと会話の糸口にしやすい。
自社サービスとの関連性を意識
ITサービスを提供している会社ならUSBメモリやクリーナークロス、環境配慮型サービスをPRしたい会社ならエコバッグなど、自社のサービスやテーマに合わせると統一感が出て話題にしやすいです。
食品系の場合も、ラベルやパッケージに企業カラーやメッセージを反映しておくと、後の話題づくりに役立ちます。
配布方法や数・予算のコントロール
配布数量・在庫管理:展示会会場では大量にノベルティを配ることになるケースもあるため、事前に配布数量を見積もり、予備をどれくらい用意するか考える必要があります。次回展示会でも使用可能にするため、オリジナル印刷をする場合は特定の展示会名や年数を入れしないようにしましょう。
予算の組み方:1つあたりの単価が上がるほど「記念品」や「高級感」を演出しやすくなりますが、全体予算とのバランスが大切です。
重要顧客向けの差別化:特に重要な見込み客や商談相手には、ワンランク上のノベルティを用意するのも効果的。
食品系の管理:賞味期限や衛生面、持ち帰りのしやすさにも配慮が必要です。
4. まとめ
最近では様々な商品が低価格で売られているため、ノベルティにいくら力を入れても受け取る側が強く印象に残ることは少なくなっています。水のペットボトルやお菓子などの消え物でもQRコードを印刷することで受け取り手にアクションを起こさせるきっかけを作ることでもできます。ノベルティ自体の商品価値よりも別の機能に目を向けるとより良いブース運営ができるようになります。



