BtoB展示会向けLPのメリット

萩原貴

萩原貴

テーマ:ブース運営

BtoBの展示会は、企業間取引を目的としているため、来場者が抱える課題やニーズに対して、明確かつ具体的なメリットを提示することが重要です。そのための入り口となるランディングページ(以下LP)は、製品やサービスの魅力だけでなく、来場者が「自分の課題を解決できそうだ」と直感的に思える情報が求められます。ここでは、BtoB展示会向けLPの作成で押さえておきたいポイントと、有効活用の方法について解説します。

本コラムで説明しているLPなどを活用したウェブ施策をやったことがない企業にとってはハードルが高いと感じると思います。ウェブマーケターなどの外部専門家を活用するのが一番の近道ですが費用がかかります。設備投資を補助金で導入する際に展示会出展料とともにウェブ施策の費用も補助金事業費用に入れておくと割安で実施できるので、申請の際に忘れずに事業費用に組み込むようにしましょう。

LPとは?

企業が自社の商品・サービスを訴求し、特定のアクション(問い合わせ、資料請求、購入、会員登録など)を促すために最適化された1枚構成または少数ページ構成のWebページのことです。

ランディングページの主な目的

ランディングページの最大の特徴は、訪問者に「たった1つのアクション」を強く促すことにあります。

  • 問い合わせフォームの送信
  • 資料請求・カタログダウンロード
  • 無料トライアルやセミナー申し込み
  • 商談予約など

事業の目的やターゲットに応じて、設定するアクション(コンバージョン)を明確にし、そのゴールに向けてページ全体を最適化するのがランディングページです。

展示会用のLPを作成するメリット

1-1. 展示会ブースの素材を流用できるため作成の手間が少ない

展示会ブースというのは以下の図のようにLPと機能が似ています。展示会というのはLPを現実に落とし込んだものとも言えます。

ブースとLP

BtoBの展示会に出展すると、ブース用にポスター・パネル・パンフレットなど、製品やサービスを訴求するためのグラフィックや写真、文章を用意するケースがほとんどです。こうした展示会用にすでに作成した素材は、そのままLPにも流用しやすいため、ゼロから作り込むよりも作成の手間を大幅に削減できます。

  • ビジュアル・キャッチコピーの一貫性を保てる
  • 印刷物→オンラインLPへの“読み物”の移行がスムーズ
  • 展示会との相乗効果:同じデザイン要素を使うことで認知を深めやすい

1-2. Googleアナリティクス(GA4)で顧客の興味関心を“見える化”

BtoBの商談では、検討から購入・導入までのプロセスが長期化することが多く、担当者の関心領域を正確に把握するのは容易ではありません。そこで活用したいのが、Googleアナリティクス(GA4)によるアクセス解析です。アクセス解析については専門外なのでここで詳細の説明はできませんが、LP運営には必須のツールです。

  • どのコンテンツがよく読まれているかを把握
  • ページ滞在時間・CTAクリック率などから興味度合いを推測
  • オーディエンスの属性や行動データをもとに、広告やメール施策を最適化

オンライン上の行動データをもとに顧客の興味関心を見える化できるので、商談の優先度やアプローチ方法を検討しやすくなるのが大きなメリットです。

2. LP作成のコツ

2-1. 明確なターゲット設定と課題解決型の訴求

BtoB展示会の来場者は、どの企業も自社の課題解決を期待して足を運びます。LPで最も大切なのは、ターゲットとする業界・担当者のニーズや課題を明確に想定し、それに合わせたコンテンツを用意することです。

  • 課題提起:課題を端的に示すキャッチコピー、具体的事例を挙げる
  • 解決策の提示:製品・サービスの強みやメリットを定量的に示す
  • 導入のハードルを下げる:導入事例やサポート体制、費用対効果などを分かりやすく解説

2-2. シンプルな導線とわかりやすいCTA設計

展示会で興味を持った見込み客は、できるだけ情報をスムーズに確認できるLPを望みます。

  • キャッチコピーやファーストビューで魅力を端的に
  • *CTA(問い合わせ/来場予約/資料ダウンロードなど)*は1〜2種類に絞る
  • 文字量は必要最低限に抑えつつ、見出しや色分けなどで読みやすさを工夫

LP内で多くのコンテンツを盛り込む場合でも、情報ブロックごとに分割し、最後に誘導したいアクションを明示するようにしましょう。

2-3. 展示会ブースのイメージを活用し“認知の一貫性”を演出

先述のとおり、展示会向けに制作したビジュアルや文章をLPへ流用すると、ブースとLPのイメージを統一できます。来場者がブースで見たイメージをオンラインでも再確認できるため、記憶に残りやすく、安心感も高まるのがポイントです。

3. LPの有効活用と運用ポイント

3-1. 事前告知や広告・SNSとの連携

展示会用LPは、来場者に事前アクション(来場予約・資料請求など)を促す上でも効果を発揮します。

  • SNSでの告知:イベント情報を発信し、LPリンクを掲載
  • 広告出稿:検索連動広告やディスプレイ広告にてターゲットを的確に誘導
  • メールマーケティング:過去の顧客リストに展示会出展の案内を送付しLPへ誘導

これらを実施することで、展示会当日までに見込み客のリストアップや案件化の可能性を高められます。

3-2. 展示会当日のブース誘導に活用

ブースでの対面接客だけでなく、LPを活用して追加情報を提供する仕掛けも有効です。

  • QRコードの設置:パンフレットやブース内のパネルにLPへのQRコードを載せる
  • 事例・スペックシートのダウンロード:LPから詳細資料を入手できる導線を用意
  • その場で問い合わせフォーム入力:名刺交換だけでなく、オンラインフォームからの相談も受け付ける

こうしたオンライン・オフラインの連動により、来場者の興味度合いをデータとして可視化できる点もメリットです。

3-3. 展示会後のフォローアップ

BtoB取引は意思決定に時間がかかる場合が多いため、展示会後のフォローアップが欠かせません。

  • お礼メール/DMでLPへ再誘導:ブース来場者にお礼と追加資料の案内を送る
  • 定期的なLP更新や事例追加:導入成功事例の拡充や製品情報のアップデート
  • GA4のデータ分析:どのページが閲覧されているか、コンバージョン経路はどうかをチェックし、顧客の関心がどこにあるかを把握

これらを繰り返し行うことで、検討期間中の担当者との接点を保ちつつ、導入・購買へと結び付ける確度を高めます。

4. まとめ

BtoB展示会向けのLPは、ブース用にすでに作成したグラフィックや文章を流用できるため、少ない手間で制作・運用しやすいのが特徴です。また、Googleアナリティクス(GA4)を活用して顧客の興味関心を可視化できる点も大きなメリット。事前告知から当日の誘導、展示会後のフォローアップまで一貫して運用することで、興味度合いの高いリードを逃さず、商談化・受注につなげることが可能です。

  • 展示会のブースイメージやコピーの流用でLP作成のハードルを下げる
  • GA4を活用して顧客行動データを把握し、商談優先度や施策を最適化
  • ターゲットや課題を明確化し、わかりやすい導線とCTAを配置
  • 展示会の前後・当日を通してLPをフル活用し、リード獲得や商談創出を最大化

これらのポイントを意識し、効果的なLPを展開することで、BtoB展示会への出展効果をより高めることができるでしょう。

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Mybestpro Members

萩原貴
専門家

萩原貴(展示会ブースの企画・デザイン・施工)

株式会社クレイン

BtoB展示会ブースの企画・戦略から施工まで一気通貫対応。現場経験を生かした実践的な提案力と、顧客ファーストな姿勢で成果を追求。近年はコンサルティングにも注力し、展示会選びのアドバイスから伴走する。

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