ブースサイズから考える目標設定
ここではブースのプランニングについて解説をしていきます。自社で行う場合でも図面などがあった方が社内共有がスムーズに進みます。コンペなどで企画会社に依頼する場合でも提出してくる資料は会社によって異なるため、欲しい資料を的確に依頼するための共通認識として用語の確認をしましょう。
与件整理
展示会出展の企画者は、出展の流れの中で出展者が現状どの段階にいるのかをまず確認し、段階的にプランを形にしていきます。一番重要なことは、出展者の目標を達成させることです。常に目標を確認 しつつ予算内で目標に沿った提案を進めていきます。予見整理に必要な内容は以下となります。
目標と基本情報の整理
- 出展の目標は何か(名刺獲得〇〇枚、商談〇〇件獲得など)
- 商品のターゲットは誰か
- 予算はいくらぐらいいか
- ブースのサイズ(小間サイズ)はいくつか
- 製品(サービス)に関しての共通認識
- どの範囲の製品(サービス)を展示するか、どの点に重点を置くか
- どのように展示するか(実機展示をするか、映像や写真で代替するか)
- 競合製品に対し、何が新しく、改良され、そしてどの点が優勢なのか
- Web制作は必要か(LP の制作など)
- 製品(サービス)の需要と一致する点は何か
- 最新の経済的・技術的トレンドは考慮されているか
ブースデザインや運営に関わるポイント
- 社風や製品(サービス)に合致したデザインコンセプトや色彩の確認
- グラフィックデザインは必要か
- 何を用いて説明するか(パネル、絵、映像など)
- 実用的な商品説明ができるか(実機デモ・プレゼンテーションの実施)
- 予備や運用のための設備(電気やガスなど)は必要か
- 商品展示と商談にそれぞれどのくらいの空間が必要か
- ストックルームは必要か
- ノベルティは必要か
コンペをする場合、可能な限り上記を詰めた状態でRFP(Request for Proposal / 提案依頼書)に落とし込み依頼をしましょう。不明なものは企画会社にその旨を伝え提案してもらうと良いです。
ブースプランに必要な資料
ブースプランに必要な資料は以下のものがあります。コンペをする場合何も言わないとパースのみ提出してくる企画会社もあります。何が必要かを明確に依頼しましょう。逆に提出資料が多すぎる場合プランニング料が高額になってしまったうこともあるので必要なものだけを指示します。資料はプロジェクトメンバーや外注デザイナーなども見られるようにして情報共有をしやすくなるようにします。
- 与件整理資料(RFPなど)
- ゾーニング図
- スケジュール(打ち合わせ日から展示会終了までの工程表)
- 図面(平面図・立面図)
- パース
- 企画書
- 見積書
以下にそれぞれの資料の解説をしていきます。
与件整理資料
予見整理したした内容を資料にまとめて書き出したものです。パワーポイントや マイクロソフトwordなど書くこ とが多いです。与件整理で述べた情報をかいておきます。
ゾーニング図
ゾーニングはブースで必要な要素をどのように配置するかを書いたもので、デザインよりは機能的な要素をどこに配置するのかを描いた簡単な図面です。要素としては、以下のものがあります。
- 受付ゾーン
- 製品展示ゾーン
- プレゼンテーション(ブース内での講演・動画・説明パネルなど)ゾーン
- 商談スペース
- ストックスペース
- 受付ゾーン
- 製品展示ゾーン
- プレゼンテーション(ブース内での講演・動画・説明パネルなど)ゾーン
- 商談スペース
- ストックスペース
どこから来場者が入ってきてどのようなルートで製品・サービスを見て名刺交換や商談に繋げるのかを意識して配置します。ブースの企画は大枠から固めていくので、ゾーニングから始めます。 ゾーニング図はパワーポイントや Adobe イラストレーター、手書きなどでも作成します。
ブースの構成は Web サイトの LP の構成と類似しています。通路にいる来場者は大きなグラフィックやキャッチコピーを見て興味を持ちブースに入ります(LPのトップ画像に相当)。その後製品・サービスの紹介(特徴・優位性など)を確認して検討に値するかを判断していき ます。その時に出展企業が信頼できるかどうかを確認するために実績や会社概要などをチェックし、料金がいくらぐらいかも確認します。その場で最終的な判断はできなくでも検討の可能性があれば名刺交換をしたり、カタログを持ち帰ったりすることで連絡先を確保します(LPのコンバージョンと同等)。この流れの途中で可能性が消えれば離脱となりますので、いかにこの流れをスムーズにできるブース構成になるかをゾーニングで検討します。
特に、商品やサービスの訴求方法は以下の内容を押さえてゾーニングに盛り込んでください。
商品やサービスのプレゼンにあたっては来場者の五感に訴える必要があり、以下の順で記憶に残りやすい傾向があります。動画やグラフィックなどはブースの一番目立つ場所(角、通路側など)に置くよう にします。
実際に操作をするなど来場者の体験を伴うもの(触覚、視覚、聴覚)
出展者による製品・サービスのプレゼンテーションを見る(視覚、聴覚)
製品/サービスの説明動画を見る(視覚、聴覚)
製品・サービスの説明パネルを読む (視覚)
ゾーニング図の時点で複数作成し、十分に検討をした方が後々スムーズに計画を立てら れます。
スケジュール(打ち合わせ日から展示会終了までの工程表)
スムーズに進めるためにスケジュールを作成します。スケジュールはエクセル、Adobe イラストレータ ーで作成することが多いです。スケジュールに含める内容は以下のとおりです。
- 施工日
- 出展者準備日(通常 2 日目施工日)
- 展示会会期
- 展示会撤去日
- 施工日から逆算した発注期限(ブース造作、グラフィックデザイン、LP 個別に記載)
- 出展者から受け取る素材データなどの期限
- 定例打合せ日程
図面(平面図・立面図) / パース
図面とパースはどちらから作成しても構いません。 ゾーニング図に基づいて平面図を描くことも可能ですが、構成によっては内容がほぼ同じになってしまうため、出展者にとってはあまり意味のない資料になってしまう可能性があります。大きくて複雑なブ ースの場合、パースは平面図がないと描くのが難しくなります。立面図は平面図とパースが定まってい ないと描くのが難しい箇所があるので、手をつけやすいものから始めるのが良いです。デザイナーに依頼する場合、与件資料を共有し、より良いアイディアを引き出すようにします。

企画書
企画書では、パースや図面ではわかりにくい企画の細かい点を記載してわかりやすくします。
- ブース企画の優れている点や特徴
- 使っている素材の特徴
- コンパニオンや MC の運営計画
- 来場者の導線を描いたもの
- ノベルティの提案内容
見積書
見積書はブース施工や企画に関する金額を書いたものです。多くみられるのがブース装飾 一式いくらといった表記をしている見積もりです。何にお金を払っているのかわからなかったり、後から見返したときに何をしたのかがわからないことになることが非常に多いため、詳細に書いてもらうよう依頼しましょう。
まとめ
いかがでしょうか。展示会ブースのプランには様々な資料が必要となりますが、この中で一番判断が難しいのがパースです。パースではとても綺麗だったブースが実際に建ててみるとイマイチだった、、、ということが多々あります。展示会のブース施工は内装とは違い常に時間に追われながら施工するため、組立運搬のしやすいテレビのセットのような作りとなっています。その分、閑散期や繁忙期により仕上がりが左右されたり、施工者や管理者の実力の差が出やすでやすくなっています。企画会社から提案を受ける場合はパースだけで判断せずに実際に使用する素材を見せてもらったり工場に足を運んで確認をしてみてください。





