ブースサイズから考える目標設定
BtoB展示会は、ビジネスマッチングや販売促進においてとても重要な場です。しかし、大手企業に比べて予算や人員が限られる小規模ブースにとっては、出展効果を最大化するための戦略が必要となります。ここでは「名刺獲得」にフォーカスし、いかに効果的に展示会を活用できるかを解説します。
1. 目的を明確化:名刺獲得に割り切る
展示会では「認知拡大」「製品・サービスのデモ」などさまざまな目的を持ちがちですが、小規模ブースの場合は名刺獲得に特化する戦略が有効です。展示会終了後に継続的なアプローチを行い、商談化・成約につなげるためには、まずは興味を持ってもらった来場者との接点(名刺情報)が重要になります。
2. 目立つブースづくり
大規模ブースのように豪華な装飾は難しくても、以下の工夫で十分に目立つことができます。
明確なキャッチコピー
短いフレーズで来場者の興味を引き、何を提供しているのかを具体的に瞬時に伝えましょう。キャッチコピーは抽象的になりがちですが、具体的に誰に何をどのように商品やサービスを提供しているのかを具体的にします。
抽象的なコピーの例) 「心を動かす空間づくり」「心に響く、その瞬間。」
社名(サービス名)の読み方を明示
意外に読めない社名やサービス名が多いため、必ずふりがなや英語表記などで正確な読み方を提示し、来場者の混乱を防ぎましょう。
社名掲示に「株式会社」の表記を省くケースが多いですが法人格がついているだけでも信頼感は増します。
逆についていない場合、相手は個人事業主、合同会社などの会社形態と誤解を与えたりする可能性もあります。
相手が自社のことを全く知らない状況と想定して社名掲示をしましょう。
小道具・デモンストレーション
製品やサービスを見たり体験できる要素を用意し、足を止めてもらえるきっかけを作ることが重要です。
予算が許せばモニターを設置して紹介動画を流す方が良いです。動画がなければ実績写真をスライドショーで流すだけでも効果があります。
スタッフの統一感
スタッフが揃いのユニフォームやバッジを身につけるだけで、視認性・企業イメージを高められます。これらは使い回しが効くので、一回で廃棄になってしまうブース装飾よりは投資効果が高いです。
3. 名刺を集めやすくする仕組み
出展の目的を「名刺獲得」に割り切るのであれば、ブース内外の仕組みをしっかり整えておきましょう。
ノベルティの活用
来場者に受け取ってもらいやすい実用的なノベルティを準備し、交換条件として名刺をもらう仕組みを作る。
実用に耐えられるノベルティにしようとすると高額になってしまうこともあるので、ノベルティはお菓子や水などの消え物で十分です。
QRコードでの名刺交換
紙の名刺に加えて、デジタル名刺交換ツールの利用も検討し、情報収集を効率化します。
展示会によってはバーコードリーダーを有料でレンタルしてくれます。来場者が首から下げている来場者バッジのバーコードを読み取り、後日読み取った来場者の情報が事務局から送られてくる仕組みになっています。会期中はとにかくバーコードを読み取ることに集中し、後日見込み客にアプローチするのが良いでしょう。
コンパニオンを雇う
会場の雰囲気づくりや商品・サービスのPRを手伝い、来場者の目を引くことで名刺交換のチャンスを増やす役割も期待できます。費用対効果を十分に検討しながら活用を検討しましょう。ブース装飾は抑えながらもコンパニオンを活用するというのも一つの手です。来場者への声掛けは勇気がいるものです。コンパニオンを雇うことで不慣れな従業員への見本にもなります。
事前アポイントや告知
展示会前にSNSやメール配信などで、「この展示会でこんな情報・特典を用意している」と告知すれば、ターゲットの来場を後押しできます。
4. トークスクリプトと名刺交換
小規模ブースではスタッフ数も限られます。短時間でのアプローチを想定した、スクリプト化されたやり取りがあると効率的です。
簡潔な自己紹介
「〇〇の課題解決を行っている△△です。現在どのような悩みをお持ちでしょうか?」など、来場者の課題をうまく引き出す導入を用意しましょう。
興味を引く提案・質問
「□□にご興味はありませんか?」など、相手が“欲しい情報”を自然に思い出す問いかけをします。
名刺交換の流れ
最終的には「後ほどご案内を送らせていただきたいのですが、よろしければ名刺を頂けますか?」とスムーズに提案しやすくします。
5. フォローアップが鍵
展示会終了後こそが勝負。フォローアップの質が商談化を大きく左右します。
即日お礼メール
展示会当日または翌日にはお礼メールを送り、企業名やサービス名を印象づける。ブースの写真とともに送ると来場者の記憶を想起しやすいです。
定期的なアプローチ
メールマガジン、ウェビナー招待、商談提案など、複数の形で段階的にコンタクトを取ることで関係を深める。
まとめ
予算や人員が限られる小規模ブースであっても、「名刺獲得」に目的を絞ることで十分に成果を上げることができます。展示会は名刺を集めるだけでなく、後のアプローチを通じてビジネスチャンスを拡大させるきっかけです。明確な戦略と準備、そして積極的なフォローアップを徹底すれば、費用対効果の高い展示会出展を実現できるでしょう.



