展示会とは?
BtoB展示会(ビジネス向けの展示会)は、自社の商品・サービスを業界関係者に向けて効果的にアピールできる絶好の機会です。展示会に出展することで、新規顧客や協業パートナーなど“ビジネスチャンスの種”を多数獲得できます。では、そのような展示会においてよく耳にする「リード」とは具体的にどのようなものを指すのでしょうか。
リードとは?
BtoBビジネスにおける「リード」とは、将来的に自社の顧客になり得る見込み客の情報や企業・担当者のデータを意味します。展示会で言えば、自社ブースに来場して名刺交換をしてくれた人や、製品やサービスに興味を示して問い合わせを行ってくれた人などが「リード」と呼ばれる対象になります。
リードの獲得方法
BtoB展示会でリードを獲得するために、主に次のような方法が取られています。
1.名刺交換
展示会では、来場者と対面での名刺交換が最も基本的なリード獲得手段となります。名刺が集まることで見込み客リストを作りやすくなり、セールス活動の基盤が出来上がります。
2.事前アプローチ
展示会主催者や協力企業から、来場が見込まれるターゲットリストを事前に取得できる場合があります。これを活用し、展示会に招待するメールや電話アプローチを行うことで、高い興味をもった層をブースへ誘導できます。
3.ブースでのデモ・サンプル提供
実際のサービス・製品を体験できるデモを用意し、見込み客に具体的なイメージを持ってもらうことでリード獲得の精度が上がります。体験後のアンケートや、製品資料のダウンロードフォームなどで顧客情報を取得する手段も有効です。
リード分類でよく使われる主なカテゴリ
1. 潜在層・準顕在層・顕在層・明確層
- 潜在層: まだ課題やニーズに気づいていない、または解決策を検討していない段階。
- 準顕在層: 自社商品・サービスによって解決したい課題があるが、解決策が不明瞭な段階。
- 顕在層: 自社商品・サービスによって解決したい課題があり、具体的に検討を始めている段階。
- 明確層: 具体的な導入時期や予算感を持ち、比較検討や導入準備に入っている段階。
上記4つはリードのニーズ顕在度合いによる分類ですが、実務ではさらに細かく分類されることもあります。
2. MQLとSQL
近年、マーケティング・オートメーション(MA)ツールの普及とともに、
MQL(Marketing Qualified Lead)とSQL(Sales Qualified Lead)
という考え方も一般的になりました。
1MQL(Marketing Qualified Lead)
マーケティング活動で獲得し、一定の条件(スコアや行動など)を満たしているリード。まだ営業担当による直接アプローチまで至らないケースも多く、追加の情報提供やセミナー等で興味・関心を高める段階。
2.SQL(Sales Qualified Lead)
営業部門がアプローチすべきと判断(= 商談化の見込みがある)したリード。MQLより検討度合いが高く、「具体的に導入検討している」「導入決裁者と面談可能」などの条件を満たす。
MAツールを活用して、MQLをどう育成してSQLに昇格させるかが、BtoBマーケティングでは大きなテーマとなっています。
3. BANT条件による分類
BtoB商談の可否を素早く見極めるフレームワークとしてBANTがよく使われます。
- Budget(予算)
- Authority(決裁権)
- Need(ニーズ)
- Timeframe(導入時期)
これら4つの観点から、以下のように優先度やスコアリングを行い、リードの分類を細分化します。
- Aリード: 予算・決裁権・具体的なニーズ・導入時期が明確
- Bリード: ニーズは明確だが、導入時期や予算がまだ不透明
- Cリード: 漠然とした検討段階、あるいは予算なし/権限なし
4. ホットリード・ウォームリード・コールドリード
もう少し感覚的に「温度感」で捉えることもあります。
1.ホットリード(Hot Lead)
今すぐ導入/購入を考えており、競合他社との比較検討が進んでいる段階。
2.ウォームリード(Warm Lead)
今すぐではないが興味関心があり、将来的に導入する可能性が高い。
3.コールドリード(Cold Lead)
現時点では導入の意思が薄い、あるいは「すぐに必要ではない」と感じている。
これらの「温度感」を把握することで、優先度をつけてアプローチができます。
5. 新規リード・休眠リードなどのステータス分類
マーケティングや営業活動のプロセス全体で見たときには、リードを以下のようにステータスで分類する場合もあります。
1.新規リード(New Lead)
初めて名刺交換や問い合わせを受けたばかりで、アプローチが未実施の状態。
2. オープンリード(Open Lead)
すでにファーストコンタクトを取り、コミュニケーションが始まっている状態。
3.再アプローチリード(Recycle Lead)
過去に接触があったが、時期尚早で見送りになったリードを再度検討段階にもっていく状態。
休眠リード
長期間アクションがなく、再アプローチの優先度が低くなっている状態。定期的なナーチャリング施策が必要。
失注リード(Lost Lead)
競合他社導入や予算取り消しなどで、当面商談化が見込めなくなった状態。
リードを活用するためのポイント
展示会で獲得したリードは、獲得して終わりではありません。次のステップとして重要になるのが「リードナーチャリング(育成)」と呼ばれるプロセスです。
1.即時フォローアップ
展示会後は時間が経つほど記憶が薄れてしまいます。できるだけ迅速にお礼メールや関連資料を送付し、連絡を途切れさせないことが大切です。
2.セグメントと優先度付け
リードの興味・検討度合いに応じて分類し、優先度をつけてアプローチを行います。例えば、「資料請求まで行った人」「名刺交換のみの人」「デモ体験をした人」などでアプローチ内容を変えることで、効率的にフォローができます。
3.マーケティング・オートメーション活用
メール配信やスコアリングなどを自動化するMAツールを利用することで、リードとの接点を継続的に育成でき、営業担当者がアプローチすべきタイミングを見極めやすくなります。
まとめ
BtoB展示会におけるリードとは、将来的に顧客になり得る見込み客やその企業情報を指します。展示会は直接的なコミュニケーションが取れる場であり、製品やサービスの魅力をダイレクトに伝えられるため、大量のリード獲得のチャンスとなります。さらにリードの状況に応じて対応を変えることでより効率的な営業活動が可能となります。
しかし、展示会後のリード活用はスピーディなアフターフォローが必須となります。分類にこだわりすぎるあまりアフターフォローが進まないといったことがないようにしましょう。分類作業を行う社内体制やシステムが整っていない場合、ひとまずお礼メールを名刺交換した方全員に一斉送信といったかたちでも良いです。徐々に自社のやり方を磨いていきましょう。



