仏像のあるくらし 烏枢沙摩明王
寺の門に立つ、二体の守護者 ― 仁王像
お寺の山門に立つ、力強い二体の像。
それが仁王像です。
仁王像は、仏の教えと寺院を守るために立つ守護神で、向かって右が阿形(あぎょう)、左が吽形(うんぎょう)。
口を開いた阿形は「始まり」を、口を結んだ吽形は「終わり」を表し、この二体で宇宙のすべてを示すとされています。
筋骨隆々の姿、踏みしめる足、にらみつける眼差し。
その迫力は、邪を退ける力の象徴であると同時に、人の弱さや迷いを断ち切る強さそのものです。
一見すると怖い表情ですが、仁王像は怒りのために立っているのではありません。
大切なものを守るため、静かに、しかし確かに門前に立ち続けているのです。
現代を生きる私たちも、日々多くの不安や迷いと向き合っています。
仁王像はそんな心の門に立ち、「ここから先は、清らかな心で進みなさい」と語りかけてくれているのかもしれません。
仏像とは、拝むだけの存在ではなく、生き方を映す鏡。
仁王像の力強さは、私たちの内にある「守る力」を思い出させてくれる存在なのです。



