仏像のあるくらし 韋駄天
仏事と選挙――祈りと一票、そして必勝祈願の仏さまたち
選挙の時期になると、私たちは一枚の投票用紙を手にします。
そこには「よりよい社会になってほしい」「家族の未来が穏やかでありますように」という、言葉にしきれない願いが込められているのかもしれません。
仏事もまた同じです。
仏壇の前で手を合わせ、先祖を想い、静かに祈る時間。
それは過去と現在、そして未来を結ぶ、日本人の暮らしに根づいた大切な営みです。
一票を投じることも、祈りを捧げることも、
派手ではありませんが――
自分の心を未来へ向けて差し出す行為だと言えるでしょう。
そんな「願いの時」に、古くから必勝祈願として信仰されてきた仏さまたちがいます。
不動明王
燃え盛る炎を背負い、剣で迷いを断ち切るお姿は、
決断力と強い意志の象徴。
大事な局面に立つとき、
「ぶれない心」を授けてくれる守護仏として選ばれてきました。
毘沙門天
甲冑に身を包み、武器を携える毘沙門天は、
勝運と守護の象徴。
古来、戦いや勝負事の前には
必ず祈りを捧げられてきた存在です。
大黒天
打ち出の小槌と米俵を持つ大黒天は、
努力を実りへと導く福徳の神。
人の縁と運を呼び込み、
成功成就を後押しすると伝えられています。
祈りとは、勝つためだけのものではない
必勝祈願と聞くと、
「勝ちたい」という強い願いを思い浮かべます。
けれど本来の祈りとは、
心を整え、自分の進む道を確かめる時間でもあります。
仏前で静かに手を合わせ、
自分の思いを見つめ直す。
そして社会の中では、一票を託す。
どちらも――
よりよい明日を願う、私たち自身の姿なのかもしれません。
この季節、投票所へ向かう前や帰り道に、
ほんのひととき、仏壇の前で心を落ち着けてみませんか。
不動明王の決断力、
毘沙門天の勝運、
大黒天の福徳が、
大切な一日に、そっと力を添えてくれるはずです。
祈りと一票が、
明日をつくっていきます。



