仏像のあるくらし 馬頭観音
勢至菩薩 ― 智慧の光で迷いを照らす導きの菩薩
阿弥陀三尊の右脇侍として知られる勢至菩薩(せいしぼさつ)は、慈悲の観音菩薩とともに阿弥陀如来をお守りし、衆生を西方極楽浄土へと導く存在です。
そのお姿は、穏やかな面差しの中に確かな意志を感じさせ、頭上には「智慧の光」を象徴する宝冠を戴きます。
「勢至」とは、智慧の勢いにより、すべての存在を悟りへと導く力を意味し、迷いや不安を光で照らし出す菩薩として信仰を集めてきました。
智慧と清浄を象徴する姿
勢至菩薩は、合掌する姿や頭上に水瓶(すいびょう)を戴いた姿、蓮を持った姿など様々な姿で表されます。
これらの姿には、衆生の煩悩を清め、澄んだ智慧を授けるという意味が込められています。
静かに座すお姿からは、内に燃える慈悲と、確かな導きの力が感じられます。
人生の道に迷うとき、勢至菩薩はそっと心を照らしてくださる存在です。
香る桧(ひのき) ― 清らかな佇まい
本像は、「桧(ひのき)」で彫り上げられています。
桧特有のやわらかな光沢と芳しい香りは、古来より神仏を祀る聖なる木として用いられてきました。
その滑らかな木肌と上品な淡色が、勢至菩薩の穏やかな表情をいっそう引き立て、見る者の心に安らぎを与えます。
総丈約20cmと、仏壇やリビングにも調和する優しいサイズ感です。
智慧の光を日々の祈りに
勢至菩薩は、観音菩薩が「慈悲」を司るのに対し、「智慧」を象徴する菩薩です。
悩みや不安の中にあっても、勢至菩薩のお姿に手を合わせることで、心が静まり、正しい道が見えてくる――
そんな、日々の祈りの中心にふさわしいお姿です。



