仏像のあるくらし 韋駄天
仏法を守り、火を司る「荒神」
三宝荒神(さんぼうこうじん)は、仏・法・僧の三宝を守護する神として知られ、古くは寺院の火防・厄除の神として信仰されてきました。
やがてその力は家庭にも広まり、「竈(かまど)の神」「火の神」として、台所や家の守護神として祀られるようになりました。
荒神の「荒」は、荒ぶる心をも鎮め、清浄に導く力の象徴でもあります。
火の浄化と守りの象徴
この三宝荒神像は、**三面六臂(さんめんろっぴ)**のお姿で、力強くも慈悲深い表情をされています。
それぞれの手には、煩悩を断ち清める法具や火を制する象徴が刻まれ、邪を払い、家を清める力を表しています。
足元に波打つ炎は、「火を制し、浄化をもたらす」荒神の霊力を象徴しています。
火を鎮め、心を清める。清浄の守り神、三宝荒神
柘植材が生む、神聖な光
材質は、柘植材(つげざい)。
その緻密で滑らかな木質は、細部の彫り込みまで美しく映え、時間とともに黄金色へと艶を増していきます。
仏像彫刻に最も適した木のひとつであり、清浄さと高貴さを兼ね備えた素材です。
祀る場所と願い
火を扱う台所、工房、店舗などにお祀りいただくと、火難除け・家内安全・商売繁盛の守護となります。
また、怒りや焦りといった“心の火”を鎮めたいときにも、そのお姿は心の拠り所となります。
清らかな炎の力で、日々を明るく照らしてくれる守り神です。



