仏像のあるくらし 馬頭観音
地蔵菩薩 ― 衆生を救う大地の慈悲
仏教の世界において、最も身近で親しまれてきた仏さまの一人が「地蔵菩薩(じぞうぼさつ)」です。お地蔵さまは、悟りを開いた仏陀となる道をあえて後回しにして、六道輪廻のすべての衆生を救い尽くすまで現世に留まると誓願された菩薩です。その慈悲深い姿は、日本の信仰生活に深く根づいてきました。
六道を巡り救う誓願
地蔵菩薩の本願は「六道能化(ろくどうのうけ)」と呼ばれます。地獄、餓鬼、畜生、修羅、人間、天界――六つの世界で苦しむ者を救済するために、姿を変えて現れると説かれます。特に、亡者が生まれ変わるまでの中陰(四十九日)を導く存在として、冥界の守護者のように人々から信仰されてきました。
お姿と持ち物
地蔵菩薩は、僧侶のように頭を剃り、質素な袈裟をまとった姿で表されます。右手には「錫杖(しゃくじょう)」を持ち、これは六道の扉を開いて迷える魂を導く道具。左手には「宝珠(ほうじゅ)」を持ち、闇を照らし人々の願いを満たす象徴です。華美な装飾を避けた姿に、ひときわ深い慈悲が感じられます。
日本での信仰の広がり
日本では平安時代以降、地蔵信仰は広まりました。特に子どもや水子の守り仏として親しまれ、村の辻や墓地、寺院の境内など、至るところに地蔵尊のお姿を見ることができます。子どもの健やかな成長を願って赤いよだれかけや帽子をかける風習は、今も各地で受け継がれています。
心に寄り添う仏さま
地蔵菩薩は、人々のすぐそばに立ち、苦しみをともに背負い、安らぎへと導いてくださる存在です。華やかな御堂におわす仏ではなく、道端に静かに佇みながら、誰をも拒まず見守り続けるお姿こそが、お地蔵さまの大きな魅力といえるでしょう。
こちらは、ツゲ材を用いて丁寧に彫刻された地蔵菩薩像です。
総丈約20㎝と、お仏壇やお部屋にお祀りいただくのに程よい大きさで、木肌のやわらかな風合いは年月とともに味わいを増していきます。
地蔵菩薩は、六道のすべての衆生を救うと誓願された慈悲の仏さま。右手には錫杖、左手には如意宝珠を持ち、迷いを照らし人々の願いを満たしてくださいます。
安置場所としては、専用の厨子にお祀りするのがおすすめです。厨子に納めることで埃や光から大切な仏像を守るだけでなく、荘厳さが増し、日々の礼拝がより心深いものとなります。
ご家庭のお守り仏として、また大切な方へのご供養・ご進物にも最適な一品です。



