盆入り前日に寄せて
仏像のあるくらし
昇竜観音(しょうりゅうかんのん)は、慈悲深き観音菩薩が、天に昇る龍とともに立つお姿で表された尊像です。
そのお姿には、「運気上昇」「厄除け」「立身出世」「心願成就」など、多くの祈りと希望が込められています。
台座には天へ昇る龍。古来、龍は水と天をつかさどる神聖な霊獣とされ、雲を呼び雨を降らせ、豊穣や守護の象徴として信仰されてきました。その龍が観音さまの足元に伏し、力強く天へ昇ろうとする様は、あらゆる障害を乗り越えて上昇していくエネルギーを象徴しています。
観音さまは右手に施無畏印を結び、その掌には「如意宝珠(にょいほうじゅ)」が輝いています。
これは、恐れを取り除き、人々の願いを自在に叶えるとされる宝の珠。観音さまの慈悲の力により、その願いが仏の智慧とともに叶えられることを意味しています。
左手には蓮華を捧げ、清らかな心で生きることの大切さを説かれています。
昇竜観音は、困難な時代を生きる私たちにとって、心の支えであり、未来へと導く光のような存在です。



