「新盆と旧盆 ― 地域と暦により異なるお盆のかたち」

お盆といえば、先祖の霊を家に迎え、供養と感謝を捧げる大切な行事です。
このお盆には「新盆（しんぼん）」と「旧盆（きゅうぼん）」という、暦の違いによるふたつの時期があることをご存じでしょうか？

◆ 新盆とは（7月盆）
「新盆」とは、新暦（太陽暦）にもとづいて 7月13日から16日 に行うお盆を指します。
東京や横浜、静岡の一部など、主に都市部でこの時期にお盆を迎える地域が多く見られます。

これは、明治時代の改暦により、日本全体が太陰暦（旧暦）から太陽暦（新暦）へと移行した際、政府の方針として「7月15日を盂蘭盆会（うらぼんえ）とする」とされたことが背景にあります。

◆ 旧盆とは（8月盆）
一方、「旧盆」は旧暦の7月15日を基準とし、現在の太陽暦に換算して 8月13日から16日 に行われるお盆です。
全国的にはこの8月盆が主流で、農村部や地方では今も広く守られています。

旧盆の時期は、農作業の繁忙期を避ける意味もあり、暮らしと風習に寄り添って受け継がれてきた形ともいえます。

◆ 暦が違っても、こころはひとつ
このように、「新盆」と「旧盆」は、どちらもお盆の行事であり、地域や歴史の流れによってその日程が異なるだけです。
ご先祖様を敬い、静かに心を寄せるという意味では、どちらも変わりありません。

現代では、帰省やお墓参りがしやすい8月盆に合わせるご家庭も増えていますが、大切なのは「ご先祖様を思う心」を忘れないこと。
その心が、お盆という行事を今日までつなぎ、これから先へも伝えていく力になるのです。