おいしい井戸水を掘るプロ寺田欽一

おいしい井戸水を掘るプロ

寺田欽一

静岡県中部を知り尽くした井戸の専門家

「わが家の井戸水です。飲んでみて下さい」。そういってコップに入った水を出して下さったのは寺田欽一さん。静岡市駿河区の「平和設備工社」の代表です。水はすっきりとクセがなく、ほどよく冷えてのどの渇きが癒されるおいしさ。「井戸の水は、カルキが混じっていない天然のミネラルウオーターですからね。わが家では家の水はすべて井戸水でまかなっています」
　平和設備工社は先代が昭和38年から井戸工事に従事。平成8年からは寺田さんが家業を継ぎ、おもに静岡市内や焼津、藤枝、島田など、静岡県中部を中心に、井戸掘りを専門に手がけている「井戸のプロフェッショナル」です。
　ひと昔前は、どの家庭でも井戸から水を取って生活していました。上水道の整備などでしだいに井戸を使う家が減ってきている印象がありますが、寺田さんによると、今も年間120件以上、井戸掘りの依頼があるといいます。
「一般家庭はもちろん、高齢者施設など、たくさんの水を使うところや、これまでずっと井戸水を使ってきたから井戸水がいいと頼まれる方もいらっしゃいます。お茶や料理がおいしいのはもちろん、お風呂などでも肌にやさしく、何より経済的なんです。一度井戸を掘ってしまえば水道代はかからないので、下水道代のみ。地下の水は常に15～16℃。冬はあたたかく夏冷たい水が使えますよ」

確かな工事と水質検査で井戸水を供給

　まず井戸を掘ってほしいという依頼を受けると、寺田さんはまず住所を確認します。これまでの経験や知識から、静岡県中部の、どのあたりは水が出るか、出にくいか、すぐに分かるのだといいます。地域によって掘る深さは20～60mと幅があり、掘り方も異なるそうですが、工事開始から井戸水が使えるようになるまでは約2週間。「最初は濁ることが多いので、受け渡し後、日常生活にご迷惑をかけないようにしっかり仕上げをしてからお引き渡しします」
　井戸水を日常に使うとき、もっとも気になるのは水質と衛生面です。寺田さんはこの仕事を始めた当初から必ず、厚生省が定める13項目の水質検査（飲食店で使う場合は26項目）を課しています。施工業者に義務付けられているわけではない検査を欠かさない理由は「毎日人の口に入るものなので安心して使ってほしいから」。
「水が出ればそれでいい、ではないんですね。毎日そこで家族が暮らし、親子で楽しく食卓を囲む。そこにおいしい水があって、家族みんなで喜んでいただく。そう考えると、いいかげんなことはできないんです」
　実は井戸のトラブルは意外と多く、水質が悪い水で受け渡されてしまったり、掘削深度が浅いために枯渇してしまったり濁った水が出て困る、という相談も寺田さんのもとに持ち込まれるのだそう。「ちゃんと掘れば、いい水が出るのに…というケースもありますね」
　そういうトラブルも井戸離れの一因では、と寺田さんは考えています。「経験や専門知識がないまま井戸を掘り、結果、井戸に対していいイメージを持たない方がいらっしゃったらとても残念なこと。井戸はきちんと掘れば長く使えるものなんです。本当のよさを知っていただきたいですね」

暮らしに欠かせない水に「井戸」という選択肢を

　衣服や食事、住宅など、身の回りのことについて、多くの人が関心を寄せるのに、水はあまり意識せずに使っているのでは、と寺田さんは感じています。「井戸水は紛れもなく、その土地から出てくる地下水。水質検査の結果も明らかですので、安心して使っていただけるんです」
一昨年の東日本大震災後は、水道が破損して不便な生活を余儀なくされた方が多かったため、井戸が見直されてきているそうです。2009年、駿河湾沖地震がありましたが、そのときも寺田さんの施工した井戸には異常は見当たらなかったといいます。
「井戸を手がけたお客様からも、濁ったという連絡や問い合わせはありませんでした。防災上もとても有効なんです」
　少し前まではオール電化に井戸水は使えないとされていましたが、対応できるようになってきています。家を新築したり、建て替えたりするとき、オール電化やガスを選んだり、太陽光発電を考えたりするのと同じように、井戸が自然と選択肢に加えられるくらい、井戸水のことを知ってほしい。それが寺田さんの願いです。
「長く安心して使っていただきたいから、工事には10年間保証いたします。井戸に関心がある方、水について聞きたい方、どんな小さなことでもお気軽にご相談ください」

（取材年月：2013年4月）

経済的で安心の天然ミネラルウオーター。井戸水の魅力を伝えたい。

静岡県中部を知り尽くした井戸の専門家

確かな工事と水質検査で井戸水を供給

暮らしに欠かせない水に「井戸」という選択肢を

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