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浜松の食卓から。薬膳教室で変える健康への向き合い方

特別な材料はいらない、日常薬膳のプロ

曽谷由佳

曽谷由佳 そたにゆか
曽谷由佳 そたにゆか

#chapter1

常識を覆す「引き算」の出会い。花屋から薬膳の道へ

 「薬膳」という言葉を聞いて、皆さんは何を思い浮かべるでしょうか。土の香りがする苦い生薬、手に入りにくい珍しい食材、あるいは厳しい食事制限……。そんな「難しそう」という先入観を変えたのが、浜松を拠点に活動する『ふわり薬膳』の代表・曽谷由佳さんです。

 意外にも、曽谷さんの前職は花屋の社長。ご縁があって経営を任されたものの、「自分が本当に心から情熱を注げるものを、ゼロから立ち上げたい」という想いが膨らみ、食の世界へと舵を切りました。マクロビオティックやローフードなど、ありとあらゆる食のメソッドを学ぶ中で、ある事実に気づきます。それは「どんな食事法にもメリットとデメリットがある中で、薬膳だけはネガティブな情報が少ない」ということでした。2000年以上の歴史に裏打ちされた揺るぎない確実性。そこに、曽谷さんは薬膳の魅力を見出したのです。

 「ふわり薬膳」が提供するサービスは、単なる料理教室の枠を大きく超えています。一つは、家族や自分の健康のために基礎から学ぶ「1から学べる薬膳コース」。ここでは薬膳を、日々の献立にどう落とし込むかを学びます。そしてもう一つが、薬膳を誰かに教えたい人のための「薬膳講師育成コース」です。

 曽谷さんの薬膳教室がまたたく間に満席になり、住宅展示場などからも「ぜひここで講座を」と声がかかるようになったのは、その「圧倒的なハードルの低さ」にあります。
 「特別な漢方なんて使わなくていいんです。スーパーで売っている大根やカボチャ、その一つひとつに役割がある。それを知って組み合わせるだけで、いつもの肉じゃがだって立派な薬膳になるんですよ」と、曽谷さんは笑います。

 この「日常の延長線上にある」という安心感こそが、現代の忙しい大人たちの心に深く刺さったのでしょう。

#chapter2

浜松から世界へ。五感を研ぎ澄ます「二十四節気」の暮らし

 コロナ禍という逆風も、曽谷さんにとっては、より多くの人と繋がるためのチャンスに過ぎませんでした。対面での講座が難しくなったことを機にオンライン化へ踏み出すと、待っていたのは、北海道から沖縄、さらにはヨーロッパ、アメリカ、オセアニアまで、世界中からの声でした。海を越えて届く「体調が良くなった」「心が軽くなった」という声。その背景には、日本人が古来大切にしてきた、和食と暦(こよみ)の知恵がありました。

 「人間は太陽と共に生きている」。これが中医学の根本にある考え方です。曽谷さんは、太陽の動きに合わせた「二十四節気」を暮らしに取り入れることを勧めていますが、集大成とも言える一冊が、2026年3月11日にダイヤモンド社より発売されました。編集者からのリクエストは「薬膳っぽくない、難しい専門用語が一切出てこない本にしたい」というものでした。

 なぜ今、この本が必要なのか。曽谷さんが強調するのは、地球温暖化によって四季が失われ、夏と冬しかない「二期化」が進む現代への危機感です。季節の移ろいが見えにくくなった今だからこそ、太陽の動きに基づいた「二十四節気」のリズムを意識することが、心身を整える鍵になります。

 「雨が降らない時期が続いても、暦が『雨水』に差し掛かれば、不思議と雨が降り始めます。太陽の軌道は、何万年も前から変わっていません。人間もそのリズムに波長を合わせるだけで、無理のない状態に整い始めます。

曽谷由佳 そたにゆか

#chapter3

「食べ方は生き方」。食卓から身体を変える

 曽谷さんの元には、受講後に前向きな変化を感じた人たちが続出しています。長年悩みを抱えていた女性が食を整えることで健やかな日々を取り戻し、今ではふわり薬膳の認定講師として活躍しているケース。あるいは、心身のバランスを崩して職を離れざるを得なかった人が、食事を通して自分らしさを取り戻し、バリバリと現場へ復職した事例。これらは決して特別な話ではなく、食が持つ本来の力が引き出した、一つのきっかけになったかもしれません。

 また、曽谷さんが語る「食の本質」には、ハッとさせられるものがあります。それは、食事こそが人間の五感をフル活用できる行為であるということ。料理の匂いを嗅ぎ、彩りを目で楽しみ、噛む音を聞き、舌で味わい、箸や手で触れる。効率ばかりを重視してサプリメントやゼリー飲料で済ませるのではなく、丁寧に噛んで食べることこそ大切なのです。曽谷さんの講座を受けると、単にレシピを学ぶだけでなく、自分が「生きている」という感覚を、胃袋の底から再認識させられるのです。

 食とは、記憶であり、愛であり、そして未来への投資そのもの。もし、あなたが今、何となく元気がなかったり 将来に不安を感じていたりするのなら、まずは曽谷さんの言葉に触れてみてください。

 「適当でいい。でも、知っていることが大事」。その扉を叩いた瞬間、明日の食卓が、ふわりと軽やかに色づき始めるはずです。

(取材年月:2026年2月)

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曽谷由佳

特別な材料はいらない、日常薬膳のプロ

曽谷由佳プロ

薬膳講師

合同会社ふわり薬膳

薬膳=難しそうという先入観を覆し、身近な食材だけで心身を整える「日常の薬膳」を提案。知識ゼロからでも実践でき、誰でも無理なく健康管理ができる独自のメソッドは高い支持を受けています。

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