PROFESSIONAL
STORIES

Mybestpro Interview

個性を尊重する服薬指導、在宅ケアで地域の健康を支えたい。

一人一人の気持ちに寄り添う服薬指導のプロ

栗原憲二

栗原憲二 くりはらけんじ
栗原憲二 くりはらけんじ

#chapter1

「離れて暮らす両親が心配…」。そんな人にこそ頼ってもらえる薬局に。

 医師が発行した処方せんを基に薬を調剤し、薬の使い方などの情報と併せて提供してくれる調剤薬局。富士市の保険調剤薬局「ふじやま薬局」は整形外科医院の門前薬局として来店する人への調剤、服薬指導はもちろんのこと、在宅診療を行う医療機関と連携し、個人宅や介護施設へ出向いて対応する在宅ケアにも力を入れています。

 薬剤師として勤務する栗原憲二さんは「少子高齢化が進む中、一人暮らしの高齢者が増えており、在宅で薬剤師が担えるケアの必要性を実感しています」と話します。例えば、薬の飲み忘れがあったり、薬の種類が多く服薬が面倒に感じてしまったり。一緒に暮らす家族が居なければ薬の飲み忘れに気づかないこともあります。そんな悩みに対応できるのが薬剤師の在宅ケアです。

 「薬は用法用量を守って飲むことが大切です。例えば、複数の薬であれば、同時に飲めるよう薬を一包化することもできます。訪問する中で、その人の生活や個性、悩みに応じた服薬方法を考え、医療機関に提案します」と栗原さん。

 これまでの活動の中で、処方された薬を多く余らせてしまうケースや薬局で受け取った薬をベットの下に落として見失ってしまうケースもあったそう。「どのように薬を飲んでいるのか、困っていることはないのか。訪問して発見できることもあります。医療機関やケアマネージャーと情報を共有し、連携しながら在宅ケアに取り組んでいます」

 核家族化が進む中、高齢者世帯は増加傾向にあります。「離れて暮らす高齢の両親がきちんと薬を飲めているのかなど不安に感じたら、気軽に相談していただきたいです」

#chapter2

高齢化で増加する在宅ケア。薬剤師だからできるサポートを目指す。

 ふじやま薬局ではターミナルケアにも注力しています。病気が進行した終末期に「住み慣れた自宅で最期を迎えたい」と考える人は少なくありません。

 在宅での看取りを希望する人には多くの場合、訪問診療や訪問看護によって在宅ケアが行われますが、終末期には症状の急変や身体的な痛みに対応する薬の管理が必要になります。このような場面で薬剤師の在宅訪問は重要な役割を果たします。

 ふじやま薬局は24時間365日、稼働体制を整えて、緊急時には医療機関やケアマネージャー、本人、家族からの連絡で薬剤師が対応しています。どの薬剤師でも対応できるようチームで情報を共有しながら取り組んでおり、栗原さんは「薬を必要とする人には、一人一人違ったニーズがあり、その人にあった薬剤業務をいつでも提供できることが大切です」と話します。

 また、個人宅はもちろん、グループホームや有料老人ホームなど介護施設への訪問も行っています。在宅ケアでは、地域の医療機関やケアマネージャー、薬局の連携が大切です。服薬はもちろん、食事を3食きちんと摂れているのかなどの生活の様子を互いに共有することが適切な在宅ケアにつながるからです。「薬剤師は薬の知識しかないと思われがちですが、口から入ったものがどのように排泄されるのかを含めて総合的に考えることが薬剤師の仕事。これからも”移動する薬局”として、利用者の気持ちに寄り添える取り組みをしていきたいです」

栗原憲二 くりはらけんじ

#chapter3

全く違う業種からの転職。東日本大震災を経て45歳で薬剤師に。

 2019年に45歳で薬剤師国家試験に合格した栗原さん。薬剤師になる前はプロテスタント教会の牧師として北陸や東北地方で働いていました。2011年の東日本大震災発生時は福島県に住んでおり、その後2年間は被災者支援活動に従事。支援物資を車で被災者に届ける活動などに取り組みました。

 その後、家族で香川県に引っ越したことをきっかけに新たな道を進みたいと薬学部への進学を決めた栗原さん。広島県出身の栗原さんの実家は薬局で、薬がずらりと並ぶ風景は子どものころからなじみのあるものでした。「いま思うと、若いころは反骨精神もあって薬学の道に進まなかったのかもしれませんね」と栗原さん。学生時代にはゴスペルサークルに所属し、アコースティックギターも習得。現在も趣味としてギターを続けています。

 国家試験に合格し香川県内の病院で働いた後、妻の実家のある静岡県富士市で薬剤師として勤務をはじめました。ふじやま薬局に勤務してからの3年間で、富士・富士宮エリアを車で4万Kmほど走行しました。その距離は地球一周分に匹敵するほど。調剤薬局での勤務を通じ、在宅ケアの重要性をより感じるようになったそうです。

 「服薬するご本人はもちろんのこと、離れて暮らす家族の不安や悩みもなくせるよう、薬剤師の行う在宅ケアを知っていただき、皆さまの生活の質の向上に努めていきたいです」

(取材年月:2023年4月)

リンクをコピーしました

Profile

専門家プロフィール

栗原憲二

一人一人の気持ちに寄り添う服薬指導のプロ

栗原憲二プロ

薬剤師

ふじやま薬局

店舗は整形外科並びに内科、透析医院の処方の授受を受けているため、普段から幅広いお薬を取り扱っています。在宅では、個人宅並びに施設担当。富士・富士宮地区を幅広く車で訪問させていただいております。

\ 詳しいプロフィールやコラムをチェック /

掲載専門家について

マイベストプロ静岡に掲載されている専門家は、新聞社・放送局の広告審査基準に基づいた一定の基準を満たした方たちです。 審査基準は、業界における専門的な知識・技術を有していること、プロフェッショナルとして活動していること、適切な資格や許認可を取得していること、消費者に安心してご利用いただけるよう一定の信頼性・実績を有していること、 プロとしての倫理観・社会的責任を理解し、適切な行動ができることとし、人となり、仕事への考え方、取り組み方などをお聞きした上で、基準を満たした方のみを掲載しています。 インタビュー記事は、株式会社ファーストブランド・マイベストプロ事務局、または静岡新聞社が取材しています。[→審査基準

MYBESTPRO