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Mybestpro Interview

子どもたちの優れた部分を伸ばす学校

心を癒すカウンセリングのプロ

安達嘉信

こころの宝石箱・安達嘉信氏
こころの宝石箱 フリースクール

#chapter1

米国の心理カウンセラー資格を取得

 島根大学に近い島根県松江市学園2丁目にあるフリースクール「こころの宝石箱」代表で心理カウンセラーの安達嘉信さんは、不登校や引きこもりの子どもたち、高校を中退した若者らの学習支援と心のケアをしています。「今のあるがままを認め、子どもたちの優れた部分を導き出して伸ばし、進む道を見つけてあげるのが私たちの役目」と新たに飛躍を図る生徒たちを温かく見守っています。
 
 一方で、大学時代からカウンセラーの仕事にも関心を抱いていた安達さんは、2006年にカウンセリングの技術が最も進んでいる米国で心理学などを学び、米国NLP(神経言語プログラミング)協会認定のNLPトレーナーの資格を取得、社内にカウンセリングルームを開きました。多くの悩み相談を受けるうちに、島根県内でも不登校の生徒が想像以上に多い実態を知り、「多様化した子どもたちの行動や敏感な感受性に対応できる新しいタイプの学校が求められている。不登校はだれもに身近な問題として、県内にそうした子どもたちとじっくり向き合える学校が必要」と決断。07年に島根県内では初の民間が運営する本格的なフリースクールを開校しました。
 
 学校名は「こころの宝石箱」。「不登校やひきこもりで悩む子どもたちが無理に学校に行こうとするから苦しいのであって、頑張らなくてもいい、今のままでいい、他人と比べなくていい。きっとみんなの心の中には既に宝石のように光るものがある、長所(宝石)があるのに気づかないだけ。それを一緒に見つけよう-という思いを表現したもの。学校では、できることに目を向けて自信をつけさせ、自然な形で新しい進路を見つけることを目指しています」と校名の由来を語ります。

#chapter2

自信を取り戻し笑顔で進む新しい道

 この学校には、高校卒業資格取得を目指し、通信制の「つくば開成高等学校」で学ぶ生徒の学習を支援する通信制高校サポートと、不登校の小中高生や社会に対応できない社会人を対象にしたフリースクールが開設されていて、通信制に40人、フリースクールに5~10人が週に数回通学、高校校長OBなど高校教員免許を持つ多くのスタッフが生徒たちを支援しています。
 
 安達さんら学校スタッフと仲間の笑顔に囲まれ、自分のやりたいことや居場所を見つけた生徒たち。学園祭など毎月イベントが行われていて、教室にも元気な声が響いています。中には小学校高学年から7年間の引きこもり体験を乗り越え、フリースクールに通いながら2カ月で回復、スタッフに創作折り紙の作品をほめられて自信を得て、生き物をテーマに作品展を開いた生徒もいます。
 安達さんは経営者としての側面のほか、子どもたちや両親などから悩みを聞いて心のケアを図りながら解決策をさぐり、目標を設定させる心理カウンセラー・セラピストという最も大事な役割を果たしています。
 
 「学校での不適応やネットいじめ、家庭環境など不登校の理由はさまざま。ストレスをためていろんな現象・行動が出て、子どもたちは悩み、自分は駄目と思い込んで殻に閉じこもってしまいます。カウンセリングを重ねることで、子どもたちそれぞれ優れた点があり、伸びる可能性があることに気付かせたい。あくまで主役は生徒ですから、わたしたちは子どもたちがその一歩を踏み出すためのお手伝いをし、寄り添うのが役目です。テレビの24時間マラソン走者を補助する伴走者のようなものです」。

こころの宝石箱・安達嘉信氏

#chapter3

マイナス行動にはそれなりの理由がある

 いじめ、家庭内の不和・親の別居などで、子どもが心理的に不安定になって不登校になり、家族が世間体を気にして昼間に子どもを外出させなかったため、引きこもりを招いていた例もある。「子どもの行動には、それなりの理由があって、親に心配を掛けることで愛情を自分に向けさせる意図があるように、子どものマイナス行動の裏には必ずプラスの理由があります。それに親たちが気付いてほしいですね。そして子どもたちにとって何が幸せかを考えてやることが大事。学校に戻すことがすべてではありません。不登校になった場合、あるがままを受け入れて、そこから新しい道をつくっていけばいいんです。」と周囲の理解の大切さを強調しています。
 
 また、安達さんは、不登校をテーマにした教育講演会や企業向けセミナーの講師として県外でも活躍しています。最近は経済情勢の厳しさを反映して、企業内でもリストラ問題や対人関係などで悩み、鬱(うつ)症状を訴える人が増えています。このため、ストレスをためない、鬱症状の社員への対応など労務管理の重要性を訴える「職場のメンタルヘルス」をテーマにした講演の機会が増えています。
 
 安達さんは「カウンセリングは特別なものではなく、ごく身近なもの。きちんと勉強して資格を取得した人に悩みを相談したり講演を聴いたりする機会を持ってほしいですね」と話しています。

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安達嘉信

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安達嘉信プロ

講師

フリースクール・カウンセリングルーム こころの宝石箱

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