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悠久の時をかけて紡いできた知恵と技を伝え、丁寧な日々の暮らしから生きる力を引き出す

アトピーや不妊の悩みに寄り添い薬膳の啓蒙を進める漢方の専門家

植松光子

植松さま正面
店舗外観

#chapter1

アトピーや不妊、病名のつきにくい不調の相談に、オリジナルの漢方処方と手厚いケア

 未知の感染症に日常生活を脅かされ、改めて自己免疫力の大切さを実感した人も多いのでは。
 埼玉県川越市にある「漢方薬膳サロン ウエマツ薬局」は、体の本来の働きを正常に戻すことで免疫力を高め、体調不良の改善を目指す漢方専門薬局。アトピーや不妊をはじめ、不眠や頭痛といった病名のつきにくい体の不調、赤ちゃんの健康相談など多くの人が足を運んでいます。
 
 代表の植松光子さんは55年以上の薬剤師経験に加え、東洋医学の専門家として中国政府が認める「中医師」の国際ライセンスを持つ漢方のベテランでもあります。
 
 同サロンに足を踏み入れると漂ってくるのは、どこか気持ちを静めてくれるような香り。難しい名称が記された生薬の棚が壁面を埋め尽くしています。納められた数百種類の中から、一人一人の症状に適したものを選定して調合。2台の生薬分包機がフル稼働しています。

 「初めての人には個室でヒアリングをいたします。症状が起こった時の状況、原因と思われること、その後の経過、食欲、便通、睡眠などを聞きながら、舌の色や形、皮膚の様子を丁寧に見ます。さらに病院での検査データなどを参考にしながら、問題の原因を探ります。アトピーやニキビなど肌の悩みには、スキンケアルームで実際に洗顔やクリームの付け方などを指導しています」と植松さん。 

 自分だけの漢方薬が準備できるまで2階のサロンで待つ時間は、利用者にとって心安らぐひと時。薬膳スイーツや薬膳茶が用意され、サービスとして楽しめることも。また、薬膳アドバイザーや栄養士のスタッフとのたわいないおしゃべりの中から、食生活や子育てのアドバイスをもらったり、日々の思いを打ち明けたりと、リラックスして過ごすことができます。

#chapter2

「生まれて初めてかゆくない日を経験」の言葉を励みに、正しい漢方と薬膳の知識を提供

 植松さんが東洋医学に興味を持ったのは、ちょうど自宅に小さな薬局を併設した頃。二女のアトピーが漢方で改善した経験からでした。
 薬剤師の仕事のかたわら数々の講習会に参加するものの、日本の漢方教育に物足りなさを覚えるばかり。都内に中国国立北京中医薬大学と提携した、中医学教育校が開校したのを機に入学し、本格的に中医学(漢方)を学びます。中国政府公認の国際中医師試験に、当時日本人女性で初めて合格。「漢方薬を提供し薬膳の啓発を行うサロン」としてリニューアルしました。
 
 「皮膚は内臓の鏡。アトピーの場合、皮膚や胃、腸が侵入した異物を消化・解毒できず、細胞の過剰攻撃が原因で起きる場合があります。五臓が本来の働きを取り戻すのを助け、結果的に肌トラブルを抑えるというのが中医学の考え方です」と植松さん。「中でも食事は重要」と、薬膳指導に力を入れています。サロンでは中医学や薬膳に関するセミナーを開講。アトピーと食事に関する執筆も数多くの共感を呼んでいます。

 印象深いのは、やせこけてかき傷だらけの様相で訪れた19歳の青年が、数カ月の指導ののち「生まれて初めてかゆくない日を経験した」と語った言葉。

 「『将来、自分のようにわが子がアトピーになるかもしれない』と不安を訴えた彼が親となり、3人の子どもたちは元気いっぱい。野球チームの監督として、たくましく子どもたちを導く壮年期を過ごしています。長い年月を経て、彼の幸せな人生の一場面に立ち会えた喜びは言うまでもありませんが、正しい漢方の処方と薬膳ならよくなるという証を見届けられるのもうれしいことです」

店舗内部

#chapter3

万人に効く漢方薬ではなく、一人一人の生きる力を引き出すお手伝いを

 「生薬を混合し煎じてできる成分、働きが、単味ずつ煮出したものよりなぜ効くのかは、今日でも化学的に解明されていません。具だくさんの『けんちん汁』の作り方をイメージしてみれば理解しやすいかも」と植松さん。

 「いろいろな食材を1つの鍋で煮るからこそ、こっくりとしたけんちん汁特有の味わいが出せるのです。分量通りの野菜を別々に煮ても、同じようなうま味が出ないのはなぜでしょう」と問いかけます。
 「人も生薬となる動植物も自然界の一部。無限の巡り合わせや微妙なバランスで成立しているものほど、まだ科学で解明できるものではないのかもしれませんね」

 植松さんは朝のラジオ体操のほか、弓道や太極拳を実践中。太極拳は趣味の集まりに飽き足らず都内の道場へ通うこと15年以上。中医学への知識欲と同じく、その真摯な姿勢はどの場面でも変わりありません。

 体操帰りの道すがら、農家の朝採り野菜を調達するのも植松さんの日課。
 「新鮮な素材からは、それだけで良い『気』が吸収できそうでしょう。いくつになっても活動的な毎日を送るためには早く寝ること、楽しいことを見つけて無理せず自然に過ごすことが何より大切だと思うのです」と優しい笑みを浮かべます。

 悠久の時をかけて先人たちが紡いできた知恵と技。植松さんは丁寧な日々の営みが生きる力となることを伝えています。

(取材年月:2021年7月)

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専門家プロフィール

植松光子

アトピーや不妊の悩みに寄り添い薬膳の啓蒙を進める漢方の専門家

植松光子プロ

薬剤師

有限会社ウエマツ薬局(漢方薬膳サロン ウエマツ薬局)

症状や悩みに合わせた生薬を煮出す「煎じ薬」を取り扱う漢方専門薬局。「ほっとできるサロン」としてアトピーや不妊のほか心身の悩みに寄り添い、薬膳の知識や適切なスキンケアをアドバイス。

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