管理会計で経営者を支援する税理士加茂川健司

管理会計で経営者を支援する税理士

加茂川健司

管理会計で会社の情報を整理します

　兵庫県川西市の加茂川税理士事務所プラスは、管理会計とエクセルツール（表計算ソフト）で中小企業経営者をサポートしています。管理会計とは、税務署や銀行に提出するためではなく、経営者が自社の経営に必要な情報を得るための会計のことです。
「管理会計の仕組み作りは難しいのですが、実行することは簡単です。私は企業ができるだけ少ない手間で管理会計を導入し実行できるようにエクセルツールを駆使して、この仕組みを提案しています」と、所長の加茂川健司さんは話します。
　加茂川さんの顧問の革小物製品の製造販売会社を例に説明します。同社は製品の適正な価格のつけ方がわかりませんでした。価格をつけるには商品を作る際に必要な材料の使用量と人件費の情報が必要ですが、同社の製品はオーダーメードで各製品の材料も作業時間も異なり、いちいち計算することは大変な手間がかかるため、正確な原価が把握できていなかったのがその理由でした。
　そこで、加茂川さんは同社のために、「製品カード」というエクセルツールを作成しました。この「製品カード」は、料理でいう＜レシピ＞のようなもので、あらかじめ登録した材料ナンバーと使用量をパソコンに入力。次に工程ごとの作業時間と単価を入力すると、簡単に原価の計算できるようにしました。これで会社は原価をもとに、市場動向も反映させた価格を決めることができるようになりました。
加茂川さんは「これだけではなく、工程と作業時間を整理できたことで、継続的にこれを見直し、コストダウンを図る仕組みができました。経営に必要な情報を少ない手間で整理することが管理会計の大前提で、私の作成するエクセルツールはこの情報の整理をたやすくできるようお手伝いします」と話します。

管理会計で整理した情報を利用して会社を発展させましょう

「管理会計で整理した、経営情報の数字が持つ意味を分析することで、会社はより的確な事業戦略を立てることができます」と加茂川さんは言います。実際に、顧問を務めるサービス業の会社は、この情報分析をもとに売り上げを1.2倍に増やすことができました。それはなぜでしょう？
　加茂川さんは常に「どの商品の売り上げが、どの時期に、どれほどあるのか」と、細かな情報を求めます。この会社は、全ての売り上げを一緒にして計上していましたが、加茂川さんはサービスの種類別に売り上げを分けて、それぞれに利益率も把握する仕組みを提案しました。すると特定のサービスの売り上げが夏場に集中していることが判明。同時にインターネットの検索件数も同時期に増えているため、この時期に積極的に広告を出すことを提案したところ、その会社は売り上げを伸ばすことができたのです。
　これまで大企業でしか分からなかったような市場情報が、現在ではインターネットを活用することで、十分ではなくとも多く得られるようになっています。加茂川さんは「このような市場のマーケティング情報と管理会計で得た自社の情報を比較検討することで、経営者はより的確な戦略を立てる際の助けとなります」と話します。

管理会計で事業の先行きの見通しをつけましょう

　「管理会計によって整理された情報は、過去や現在の状況を正確に映し出すだけではありません。詳細なデータを積み上げることで、将来の計画を立てることができます」と加茂川さんは強調します。
　加茂川さんは以前、顧問の会社から車検工場の出店計画の相談を受け、事業計画を作成したことがあります。加茂川さんは既存の車検工場の実績から、工場の設備や出店のための初期投資費用、ランニングコスト、及び車検に付随して生じる修理や整備の売り上げ発生率などの実績データを入手し、これらをもとに事業計画を作成しました。その際、車検単価と車検台数の数値に応じて、利益がいくらになるかをシュミレーションできるソフトを作り、事業の成否の判断基準を「車検車を何台誘致できるか」に絞り込みました。
　その上で、周辺地域の車両登録台数とライバルになる同業者数を調査し、どれだけの車検台数を獲得できるかを予測したところ、初期投資額の回収には、現状のランニングコストでは少なくとも10年以上かかることが予想されたため、出店計画を断念しました。
　加茂川さんは言います。「企業の取るべき戦略は3つしかありません。『コストリーダーになるか』『差別化をするか』『集中化をするか』です。事業規模の小さい中小企業にはコストリーダーになることは難しいですから、生き残っていくには、もうかる事業を選択し、限られたヒト、モノ、カネを集中的に投入して差別化していくことが必要です。この判断をより正確に行うためには管理会計は欠かせません」。加茂川さんは、いつも本当に役に立ち、必要とされるサービスは何かを考え、情報を低コストで簡単に整理し、経営者が意思決定しやすい環境づくりを続けています。

（取材年月:2011年11月）

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管理会計で整理した情報を利用して会社を発展させましょう

管理会計で事業の先行きの見通しをつけましょう

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