盆栽・サボテン・多肉植物生産販売専門店の店主
浦部陽平
Mybestpro Interview
盆栽・サボテン・多肉植物生産販売専門店の店主
浦部陽平
#chapter1
浦部陽向園は、大阪の池田(豊能)の地で営まれている盆栽・サボテン・多肉植物の専門店。コアな園芸ファンが喜ぶマニアックなものから、初心者向けの育てやすいものまで幅広く取り扱っていますが、浦部陽向園の最大の武器は商品の品揃えではありません。品揃えは顧客の要望を実直に叶えてきた賜物であり、もっとも大切なのは顧客とのつながりだと語るのは店主の浦部陽平さん。顧客がどんな目的でその商品を買い、どんな環境で育てるつもりなのか会話を通して読み解き、かゆいところに手が届くサービスを提供することこそが浦部陽向園の1番の魅力です。
「こんなことを言うとカッコをつけるようで恥ずかしいですが、正直に言って儲けは二の次です。生活に困らない程度稼げれば十分です。それよりも私は店主である前に1人の園芸ファンなので、園芸仲間との会話を楽しみたいだけなんです」
園芸ファン歴は小学生の頃からだとか。浦部さんの父親も同じく園芸の仕事に携わっているのですが、あるとき植木市で売れ残った幸福の木をプレゼントされたそうです。浦部少年は子供心にも何か良いなと思ったそうで、そこから植物を集めるようになりました。「普通はおもちゃとかを集めると思うんですが、自分は植物だったので、ちょっと変わった子どもだったかもしれません」と語るのは浦部さん。
#chapter2
今は楽しむことを第一に考えている浦部さんですが、ここに至るまでは紆余曲折がありました。実は、利益第一で考えていた時期もあったようですが、稼ぎが大きく増えても何も変わらず、虚しさだけが残ったそうです。そこから考え方が大きく変わるきっかけとなったのが、浦部陽向園が営む農地の成り立ちにあります。
浦部陽向園で扱っている商品のいくつかは、この農地で種から育てられたものですが、もともと自社で大量生産することで利益をあげることが目的でした。ただ、そのための農地の取得には農業経験が必要だったことから、農業学校に仕方なく通い始めるのですが、それが浦部さんに大きな影響を与えることになります。それは小松菜の育て方を学んでいたときのことでした。種を撒いても、すぐに芽を出すわけではありません。正直、これでは商売にならないので時間の無駄だと、心の中では思いながら学んでいたそうなのですが、3か月が経過して、土から顔を出した双葉を目にしたときの衝撃は凄まじかったそうです。
「まるで自分の子どもを産んだかの衝撃でした。今、店の商品のいくつかは自分で育てていますが、1から丁寧に育てると愛おしさが違います。自分の子どもだと思うからこそ、どこに出しても恥ずかしくないものを作らなければならないと思っています。だから品質にも自信があります」
#chapter3
商売人である前に1人の園芸ファンとして顧客と楽しみを分かち合いたいという考えが根底にある浦部さんですが、その相手はコアな園芸ファンに限った話ではありません。初心者にもやさしい店づくりを心がけており、浦部陽向園のポリシーの1つは「育てやすさ」。例えば、園芸は手間がかかるイメージがありますが、どんな人にも気軽に楽しんでもらえるようにシンプルな手入れ方法の追求や、根腐れしにくい土の配合や鉢探しに力を入れてきました。また、アフターケアにも力を入れています。
浦部陽向園は商品を売って終わりではありません。育て方をしっかり伝えるのはもちろんのこと、季節の変わり目など気になる時期に電話をかけて状態を確認したり、近くに立ち寄ったときは様子を見に行くこともしばしば。もちろん相手を見て態度を変えるような無粋なことはしません。賞を受賞するようなコアな園芸ファンもいれば、ささやかな趣味として楽しむ程度の人まで分け隔てなく対応します。これらはとても手間のかかることですが、浦部さんはそうは思っていないようです。
「楽しいからしています。好きでしているので自分のためです。利他を追求すると利己に辿りつくかもしれませんね」
(取材年月:2019年10月)
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盆栽・サボテン・多肉植物生産販売専門店の店主
浦部陽平プロ
盆栽・サボテン・多肉植物の生産販売業
浦部陽向園
コアな園芸愛好家から初心者まで楽しめる豊富な品揃えと、顧客とのつながりを第一に考える盆栽・サボテン・多肉植物の生産販売専門店
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