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社会に役立ちたい気持ちを形にしませんか

NPO・社団・財団の設立・運営の専門家

堀之内卓

堀之内 卓(ほりのうち すぐる)さん
NPO法人について、熱く語る堀之内さん

#chapter1

NPO法人はアイデアと熱意があれば可能性が無限に広がります

 NPOヘルプデスク「堀之内行政書士・社会保険労務士事務所」はJR東西線新福島駅を出てすぐのビルにあります。堀之内さんは特定非営利活動法人(NPO法人)に関して熱く話してくれました。

 大学生のころ、海外インターンシップを支援する国際学生組織(アイセック)に携わり、卒業後は日本酒メーカーを経て、NPO法人のサポートを専門に行う東京の事務所で経験を積みました。現在の事務所を開いたのは2005年です。主にNPO法人の設立と運営のサポートをしています。

 「何か社会の役に立ちたい」という思いは誰にもあります。身近な問題に取り組んだり、遠くは海外の人を支援したりするなど、いろいろな形でそれらを実行する方法があります。「それらは1人でもできるのですが、できることは限られてきます。やはり仲間は多い方がいいですね。そして仲間が10人集まれば法人化することもできます。最近は定年退職後の第2の人生として、NPO法人を立ち上げる人が多いですね」と、堀之内さんは言います。
 
 法人化すると、社会的な信用が増し、団体として事務所を設置したり、銀行口座を開設できるなどのメリットがあります。行政や企業の補助事業や委託事業を受ける要件に法人格を求められるケースも多いそうです。「それから、株式会社などの営利法人に比べて、『社会貢献活動』を担う存在として行政に働きかけやすいという強みも見逃せませんね」と堀之内さん。最近の行政は「協働」が一つのテーマで、NPO法人をパートナーに迎えて、より効果的な行政サービスを展開することを望んでいると言います。

#chapter2

目的は明確に、事業継続資金の手当てを忘れずに

 一般に非営利だから収益を上げてはいけないという誤解があるようです。「そうではありません」と説明してくれました。
 「社会貢献活動をするにも、人件費や諸経費は必要です。スタッフには給料を払えますし、本来の目的の事業以外にも活動経費に充てるための収益事業も認められています。ただ、“収益”が上がっても、株主配当のように構成員に分配したり、財産を還元したりしてはいけないというのが“非営利”の意味で、“無償”とは違うのです。なお、残ったお金は翌年に全額繰り越します」

 法人化するには事務所を置く各都道府県(事務所が2県にまたがる場合は内閣府)に届ける必要があります。書類も多く、認証されるまでは、書類を受理してもらってから3~4か月かかります。それまでの準備を含めると半年ぐらい前から取りかかったほうがいいでしょう。これを代行するのが行政書士の仕事です。事務所を開いてから、福祉分野を中心に数多くのNPO法人の設立を支援してきました。

 内閣府によると、今までに誕生したNPO法人の数は、法施行から今年2月末で3万9千にのぼっています。中には解散した法人もあり、その数は約3400。「手続きが面倒なので解散していないという法人もあると思うので、実質的に解散状態にある法人はこの数倍になるのではないでしょうか」と堀之内さんは見ています。その原因は「目的が絞り切れておらず、何でもやろうとして、その結果何もできない。事業継続のための資金のメドが立っていない」の2点に集約されるそうです。意気込みだけでは続けられないのです。

セミナー風景

#chapter3

究極の目標は社会起業家作り

 堀之内さんは、一般企業との橋渡しにも力を入れようと考えています。企業との接点をより強く持つために、社会保険労務士として一般企業の問題解決にも当たっています。「企業には企業の、NPO法人にはNPO法人の得意分野があります。今まではどちらかと言うとNPO法人の側は企業から一方的に支援を受けるという形が多かったのですが最近は、お互いにメリットがある“WIN-WIN”の関係を築くようになってきました」。企業とNPO法人がお互いの特徴を生かせば、より大きな成果を得られるのです。

 お金をかけずに海外に車いすを届けるのに、海外旅行者に手荷物として持っていってもらったり、入れ歯を回収してリサイクル業者に販売した売上げで、世界の子供たちを支援したりするなど、ユニークなアイデアで社会貢献を実現しているNPO法人がたくさんあります。「設立後も継続して事業を行えるように、設立段階からきちんとビジネスモデルを構築し、資金調達方法も考えていかなくてはなりません。私はそれをサポートしていきたいのです」

 堀之内さん自身も、健康における笑いの効果の追求、演芸文化の普及継承、棚田の再生など、いくつかのNPO法人や団体の活動にもかかわっていて「経験からアドバイスできるのも私の強み」と言い切ります。「企業とNPO法人の得意分野を結びつけることで相乗効果を生み、さらに大きな社会活動を目指してほしい。社会起業家がどんどん育つ環境を作りたい」と最後まで熱く語ってくれました。

(取材年月:2010年4月)

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