一級建築士の資格を持ち専門的な建築紛争の経験豊富な弁護士
福島敏夫
Mybestpro Interview
一級建築士の資格を持ち専門的な建築紛争の経験豊富な弁護士
福島敏夫
#chapter1
「建築や建物に関するトラブルで悩んでいる方の手助けをしたい」と話すのは、「公房法律事務所」代表弁護士の福島敏夫さん。オフィスビルや施設、マンション、一戸建て住宅など、法人・個人問わず年間100件以上の建築にまつわるトラブルの相談を手がけています。
福島さんは、弁護士になる以前、建設会社での実務経験があり、建築士や施工管理技士といった資格を取得。建築の専門知識を有し、図面や仕様書といった工事関係資料を正確に理解できるのが強みです。「数多くの場面に向き合ってきたため、年々どのような事案でも少しずつ解決の見通しを立てられるようになってきました」と話します。
企業法務では、工務店や建設会社、設計事務所など建築関係の事業者からの相談に対応。その範囲は、関東や東海、北陸など全国に及びます。
「工期途中で契約を解除された」「追加工事の費用を支払ってもらえない」など発注者とのもめごとが発生し、建築分野で実績のある福島さんを頼りに訪れるケースが多いそう。さらに「業界特有の用語が通じるので、話がしやすい」と、そのまま顧問契約を結ぶに至るとか。
「一般的な売買契約とは異なり、家やビルなどの建築契約にまつわる問題は工程や内容が多岐にわたります。争う金額が大きく、一度こじれると取り返しがつかなくなる場合が少なくありません。いざというときのお守りとして、顧問弁護士を活用してほしいですね」と話します。
工事請負契約書のリーガルチェックや、追加工事時の書類作成支援などを行い、法的トラブルを未然に防ぐことにも力を入れています。
#chapter2
福島さんは、住宅における個人の困りごとにも応じています。特に多いのは、壁のクラックや雨漏り、傾きといった建物の欠陥「瑕疵(かし)」。「マンションの外壁タイルが浮いてきたが責任の所在は?」と管理組合からも問い合わせが入ります。施工不良か経年劣化かを見極め、原因を特定。瑕疵と判断される場合は、施工会社に対して、修繕や賠償金を求めるなど交渉に臨みます。
「弁護士費用がかかるからと、自分たちで何とかしようとする管理組合もあります。ただ、相手業者も素人ではありませんから、結果的に住民側に不利な条件で合意しているケースも見受けられます。契約書や示談書を交わす前に念のためプロにチェックを依頼することもお勧めです」
法律家になる前、福島さんが建築士を選んだのは、建設業を営んでいた父の影響でした。大学では工学部で都市計画を学びながら、ボランティアサークルで障がいがある子どもたちを支援。「子どもたちと楽しく遊ぶことは自分にとっても楽しく、人の役に立てる喜びも知りました」と振り返ります。
卒業後は、建築と福祉の両方に関わりたいと、大手ゼネコンに就職。新入社員のときに阪神・淡路大震災が起き、復興工事の施工管理に携わりました。「倒壊したビルを解体して新たなビルを建てるという建築工事のプロセスを一通り現場で経験できたことが今の私の建築紛争を手がけるうえでの大きな糧になっています」。
その後、当初志望していた医療福祉分野でのコンサルティング業務に従事。病院の建て替えや老人ホーム建設のサポートなどを行いました。
#chapter3
建築の世界で活躍していた福島さんが、一転して、弁護士を目指したのは、父の言葉がきっかけでした。
「両親が体調を崩し、親のために何かできることはないかと思案していたとき、幼い頃に父が『兄は医者になるから、弟のお前は弁護士になれ』と冗談めかして言っていたことを思い出しました。ちょうど司法改革で、社会人経験者に法曹界への門戸を開く流れもあったので、法科大学院で一から挑戦しました」
努力が実り、法律事務所などで実務を積む中、次第に一級建築士としての知見も生かしたいと考えるように。「意欲はあったものの、具体的なプランはありませんでした。そんなとき周囲から、一級建築士の資格を持っているのだからダブルライセンスをアピールして建築紛争を中心に手がけてはどうかと後押しがあり、進むべき道が開けた気がしました」
「弁護士になってからの方が、建築にますます興味を持つようになりました」とにこやかな表情を見せる福島さん。相談の中で、建築士などの専門家とさまざまな建築の話をすることも楽しみとか。将来的には、街づくりを通した社会に貢献する活動にも取り組みたいと語ります。
いつも心にとどめているのは、司法修習の最終講義で教官が説いた「弁護士は人助けをする仕事」という教え。「もともと仕事を決めたルーツは、学生時代のボランティアにあります。困っている方の力になりたいという気持ちは強いですね」。「誰かのために」という思いが、福島さんの原動力になっています。
(取材年月:2022年1月)
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Profile
一級建築士の資格を持ち専門的な建築紛争の経験豊富な弁護士
福島敏夫プロ
弁護士
公房法律事務所
大手ゼネコンでの実務経験をもとに、複雑困難な建築問題を数多く手がけています。建築関連業種の企業法務や個人からの相談に対応。欠陥建物や請負契約に関する紛争など、年間100件以上の建築相談に応じています。
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