DXは終わりのない旅。小さな成功体験を重ねよう!(岡山県の中小企業経営者さまへ)
「ITツール入れたのに、結局使われてない…」
ある会社の社長さんが、こうこぼしていました。
「補助金もらって導入したシステムなんじゃけど、
結局誰も使わんようになってもうてなあ…」
このような話、実は珍しくありません。
「便利そうだったから」「補助金が出るから」と導入したITツールが、
いつの間にか社内で“使われないまま”になってしまう。
それ、もしかすると 「手段の目的化」にハマってしまった状態かもしれません。
「ツールを入れること」が目的になっていない?
たとえば、「見積作成の時間を減らしたい」という課題があるとしましょう。
本来の目的は、「他の業務に時間を回せるようにすること」なのに、
途中から「この新しいツールをどう使いこなすか?」という話にすり替わってしまう。
結果として、社員は「なんでこれ、覚えないかんの?」とモヤモヤし、
ツールの導入そのものが“負担”になってしまうこともあります。
手段(ツールの導入)が目的になってしまう。
これが「手段の目的化」という落とし穴です。
ツールを選ぶ前に「何に困っているか」を整理してみたら…
従業員15名位のある会社さんでは、賃借に関する契約情報をExcelで管理していました。
ところが、案件の増加とともに管理が煩雑になり、こんな課題が表面化してきました。
- 契約満了や更新時期の見落としが心配
- 賃借料や支払い管理の手間が増えている
- 空き物件の検索に時間がかかる
- 契約書や写真のファイルがあちこちに分散している
当初は「何か使いやすいツールがないか」と探していましたが、
まずは「何に困っているのか?」を業務ごとに洗い出し、整理してみることに。
その結果、自社の業務フローに合ったITツールを導入。
必要な機能に絞った仕様にすることで、社内に定着しやすい仕組みを整えることができました。
導入後は、
- 契約情報や写真・図面などを一元管理でき、探し物の時間が大幅に削減
- 空き物件の検索がスムーズになり、営業対応が早くなった
- 契約満了前に通知が届くリマインダー機能で、更新漏れの不安も解消
- 将来的には、商談管理にも活用し、営業活動の見える化や社内連携にもつなげていく予定
といった改善が進みました。
社長さんからは、
「ツールを入れることが目的になっとったけど、
ほんまに必要なのは“やり方を整えること”だったんじゃな」
という嬉しいお言葉も。
この取り組みはまさに、「手段の目的化」に陥らず、“何を変えたいか”に立ち返った好事例です。
大事なのは「ありたい姿」を忘れないこと
DXを進めるうえでいちばん大事なのは、
「何のためにやるのか?」という目的を明確にすることです。
- 手間を減らしたいのか
- ミスを減らしたいのか
- 情報共有をスムーズにしたいのか
それによって、「そもそもツールが必要なのか?」「もっと簡単な方法でもいけるんじゃないか?」という視点が持てるようになります。
目的がしっかりしていれば、「ウチにちょうどいいやり方」が見えてくるんです。
ツールに振り回されず、「使い方」を選ぶ力を持とう
ITに不慣れな会社ほど、「まずは入れてみる」から始めてしまいがちです。
でも本当は逆で、先に「自分たちがどうしたいか」を描くことの方が大事。
「改善したいことは何か?」
「本当に困っていることはどこか?」
その答えが見えていれば、ITは“道具”として、きっと役に立ってくれます。
まとめ:「何のためにやるのか?」を、常に問い続けよう
- ツール導入がゴールではない。大事なのは“何を変えたいか”
- 「使いこなすこと」が目的になると、社員の負担になる
- 「ありたい姿」を描くことで、自社に合った選択ができる
- DXは、目的からブレないことがいちばんの近道
次回は、今ある業務のムダをなくし、会社の持続力を高める「守りのDX」について
ご紹介します。
日々の小さな作業、見直してみたら…意外と「なくせる」ことがあるかもしれません。



