中山間地域の安全と再生を支える不動産のプロ
樋上有司
Mybestpro Interview
中山間地域の安全と再生を支える不動産のプロ
樋上有司
#chapter1
「地方の不動産取引では、歴史や文化の背景まで含めて“地域のコミュニティーを買う・借りる”という視点が欠かせません」
そう語るのは、「R&BAUHAUS東和」代表の樋上有司さん。岡山市を拠点に、土地・建物の売買や賃貸仲介、建築、住宅分譲など幅広い事業を展開しています。特に、自身が暮らす久米南町を中心に、過疎化が進む中山間地域の再生に力を注いでいます。
「買い手や借り手の方が、引き渡し後も安心して暮らせるよう、地域のルールや慣習を理解できるように橋渡しを行います。移住者が地域に溶け込めるよう、地域のコミュニケーションを大切にしています」
また、オーナーや投資家に代わって不動産の運営・管理を担い、美容院や飲食店、病院などの店舗開設支援、就農に向けたコンサルティングなど、地域でのビジネス創出にも取り組んでいます。
「都市部は金融商品としての側面が強いですが、地方では“人の営み”が不動産の本質です。地域の方々と密に交流することで、犯罪やトラブルの防止にもつながります。契約して終わりではなく、地域の安全を守る壁となることが使命だと考えています」
売り手や貸し手に対しては、リフォームを顧客任せにせず、必要な改修箇所を見極め、関連業者と連携して見積もりを提示。具体的な資金計画を示すことで、スムーズな取引を実現しています。
「購入希望者が最も不安に感じるのは、改築や修繕にかかる費用です。無理のない予算で理想の住まいに整える仕組みを整えることで、家選びや入居を後押しし、適切な手入れによって資産価値を高め、オーナーさまの利益にもつながります」
#chapter2
1955年、大阪市に生まれた樋上さん。実家が建築金物の製造業を営んでいたことから、幼い頃から建築の世界が身近にありました。
大学卒業後は阪神間で輸入家具も扱うインテリア会社に就職し、増改築に伴うコーディネートなど住宅関連の基礎を習得。その後、不動産業界へ転身し、三重県企業庁による800区画の別荘地開発や、関西の金融機関系法人が倉敷で手掛けた753区画の大型団地で販売責任者として販売や建築営業を含め顧客対応に従事しました。
「販売企画から販売統括まで担当し、完売を達成しました。売り手と買い手の間に立って調整するスキルが磨かれました」
1993年からは阪神間で不動産仲介や建築提案に携わり、富裕層の顧客と接する中で資産運用の知見も蓄積。1997年には妻の両親の介護のため岡山へ移住し、県内の建築・不動産会社で分譲開発や事業マネジメントを経験しました。
そして2005年、50歳の節目に独立し「R&BAUHAUS東和」を設立。
「社名の『R』はフランス語で芸術を意味し、『BAUHAUS』はデザインと機能美を追求したドイツの工業学校に由来します。『東和』は家業の名で、父の背中を追い、自分のルーツを忘れないために付けました」
#chapter3
古民家を現代の暮らしに合わせて再生するノウハウも持つ樋上さん。中山間地域で増える不動産の再生にも積極的です。
「近年は高齢者を狙った詐欺や悪質商法が増えています。地域の治安や安全を守ることを大切にし、身元・目的が不明瞭な相手には売らない・貸さないという姿勢を貫いています。不動産のプロとして、そして地域住民の一人として、地域の盾になりたいと考えています」
相続登記が未了のまま放置された家屋など、権利関係が複雑な物件も少なくありません。売却や賃貸に出す際は相続人全員の合意が必要で、時間も労力もかかりますが、長年の経験と専門家ネットワークを駆使して整理し、市場へ流通させています。
「母から『人のためになることをしなさい』と言われて育ちました。自分の損得を忘れて他者に尽くす“忘己利他(もうこりた)”の精神で、地域に貢献したいと思っています」
70代を迎えた今も第一線で活躍し続ける樋上さんは、「固定観念を持たない生き方」を大切にしています。
「何事も『こうあるべき』と決めつける必要はありません。私は冗談半分で“140歳まで現役”と言っていますが、元気なのに役割を持たずに過ごすのは苦痛です。年齢を重ねても自分ができることを見つけ、地域社会の発展に貢献し続けたいですね」
(取材年月:2026年5月)
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Profile
中山間地域の安全と再生を支える不動産のプロ
樋上有司プロ
不動産業
有限会社R&BAUHAUS東和
不動産開発から売買・賃貸仲介、建築、コンサルティングまで幅広く対応。中山間地域の不動産取引に精通し、地域の歴史・文化・慣習を踏まえた提案を重視。移住者支援や空き家活用にも力を入れています。
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