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いつも・いつまでも親子のそばに 成長に応じた「切れ目のない」子育て支援を目指し活動

幅広い親子を支える「切れ目のない」子育て支援のプロ

漆間文代

漆間文代 うるまふみよ
漆間文代 うるまふみよ

#chapter1

子どもたちのよりどころとなる学童保育やフリースクール、母親向けの教室などを開催

 「いつだって、子どもたちとお母さんたちのよりどころでありたい」と語るのは、「子育て応援ワクワクピース」の理事長を務める漆間文代さん。子どもが大きくなるにつれて変化していく悩みに寄り添うため、〝切れ目のない支援〟を目指し活動しています。

 「当方では、ヨガや心理セラピー、リトミック、お料理やお菓子づくりなど、さまざまな教室を開催しているので、就学前の小さいお子さんがいるママたちも、興味のあるテーマを選んで気軽に参加できます。小学生になれば学童保育を利用してもらえますし、学校に行きたくない『登校渋り』の子どものために、フリースクールも用意しています」

 主軸となっているのは学童保育で、大分市の稙田地区を拠点に約100人が登録しているそうです。「平日の放課後は70~80人が集まります。学校の授業を終えた子どもたちは、地域の公民館でまずは宿題。それからおやつを食べ、小学校のグラウンドへと飛び出していきます」

 オンラインゲームなどが普及した現代でも、ここでの遊びは追いかけっこやドッジボールが中心。元気に走り回る姿に、地域の人たちから「昭和の子どもみたいだね」と声をかけられることもしばしば。「体をめいっぱい動かすので『体力が自慢』という子も多くて、運動会やマラソン大会でも大活躍です」とうれしそうに話します。

 人見知りで、親に背中を押されて入ってくる子。鬼ごっこの鬼になるのがイヤで、集団遊びができない子。そんな子たちも、他者との交わりあいから学び、心身を育んでいきます。

#chapter2

生きづらさを感じる子どもたちに出会い、早い段階から支援する重要性を実感

 子どもと親の様子に常に心を配る漆間さん。その原点は、生きづらさを感じていた子どもたちとの出会いにあります。
 「大学時代に家庭教師をしていたのですが、どのお部屋も散らかっていて。適切な養育を受けられない『ネグレクト(育児放棄)』といえる状況の家庭や学習障害・発達障害で生きづらさを抱える子どもたちにたくさん出会いました」

 20代半ばには、高校の講師として、荒れた生活を送る子どもたちとかかわります。「当時の私は子育ての経験もありませんし、今のように情報もあふれていません。力になってあげられないことばかりでした」。無力感を覚える一方、「生まれたときからこの状態の子どもはいない。もっと早い段階からかかわっていけば、闇へと落ち込む前にきっと助けられる」という思いが芽生えます。

 2009年、現在の活動の前身となる「子育て支援サークル ワクワクピース」を発足。乳幼児のお母さんを対象に、育児に役立つセミナーを開くようになります。
 「子どもとじっくり向き合える今という時間を大切にするために、知ってほしいことや、やってほしいことがたくさんあります。ママたちが勉強したり、交流を深めたりする機会が必要だと気づきました」

 ワクワクピースはその後、サークルの親子とともに歩みを進めていきます。「まだ赤ちゃんだった子たちが小学校に上がる頃、ママたちから『これからも、私たちが集える場所がほしい』といった要望が寄せられるようになりました。子どもたちの成長を見守りたいと考え、2013年にNPO法人化して学童保育をスタートしました」

漆間文代 うるまふみよ

#chapter3

子ども食堂や学習支援、農業体験のほか、社会を生き抜く力を身に付けるスクールも展開

 感染症の拡大で子どもたちを取り巻く環境も変わるなか、漆間さんは2021年に新たな取り組みを始めました。

 その一つが、子ども食堂です。緊急事態宣言下の一斉休校では、子どもたちの給食がなくなることが社会問題にもなりました。漆間さんも現場で「あの子、やせてしまったな」と感じることがあったといいます。お母さんたちが出勤できず、給与が減っている現状も耳にしました。
 「学校側からの要請もあり、『100円さえ握りしめてくれば、ご飯が食べられる』という場所を作りました。近くの農家さんからは『持って行っていいよ』と、お米や野菜などを寄付してもらいました。私たちを信頼し、期待してくださっているのだと感謝でいっぱいです」

 ほかにも、学校教育に抵抗感があったり、なじみにくかったりする子どもに向けた学習支援にも着手。種まきや苗の植え付け、お世話、収穫までを行う農業体験も開始しました。
 「今後は、子どもたちが社会で生き抜いていくための土台づくりにも力を入れていきます。自分たちが手がけた農作物に値段をつけ、実際に販売してお金を稼ぐことで経済の仕組みを学ぶスクールや、就労をサポートする体制を整えていきたいですね」

 世の中に目を向け、子どもたちやお母さんのニーズを敏感に読み取る漆間さん。次々と企画を立ち上げ、形にしていく原動力は、「子どもたちからもらうパワー」だと笑顔を見せます。より長く、より手厚く、この先も支援の輪が広がっていきそうです。

(取材年月:2022年2月)

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漆間文代

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漆間文代プロ

子育て支援

NPO法人子育て応援ワクワクピース

学童保育は外遊び中心で「体力自慢」が多い。人との交わりのなかで、コミュニケーション能力も育まれる。乳幼児のママ向けにはヨガや料理教室といった場を提供。「登校渋り」の子にはフリースクールで支援する。

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