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身近なツールから社員に先端テクノロジーを浸透させ、中小企業にDXへの第一歩を

社員の意識変革から中小企業のDX化を推し進めるプロ

利光哲哉

利光哲哉 としみつてつや
利光哲哉 としみつてつや

#chapter1

生成AIや画像/映像などスマホの機能を活用した業務の効率化を提案

 「〝DX=業務システム導入/改善〟ではありません。その本質は、AIやVR/MRなど先端技術を活用して業務に革新を生み、組織を成長に導くことです」と話すのは、「利光コンサルティング」の利光哲哉さん。システムコンサルタントとしての豊富な経験をもとに、中小企業のDX推進をサポートしています。

 特に地方の中小企業では、社内に専門の人材がおらず、AIやデータの分析/活用が浸透していないと指摘します。
 「会計/販売や生産管理などの業務システムや営業支援ツール等を導入/クラウド化する企業は多いですが、業務のデジタル化にとどまっている傾向にあります。DXは業務のシステム化/効率化が目的ではなく、人の作業=人が主役になります。業務のシステム化を考える前に、社員一人一人がAIなどに触れることから始め、社員のためのDXの意義をひも解きます」

 第一歩は、スマホの活用です。例えば、営業活動で訪問先の入退出時に写真を撮ることで、写真(画像)に撮影時間や位置情報が記録されます。説明時間の算出や訪問回数などの入力の負担を軽減したり、会議内容を録音することで生成AIに内容を要約させたりできます。また、生成AIにメール文や社内文書の作成/添削を行わせることで品質を向上させられます。身近な道具でAI活用の業務効率化を図る施策を提案します。
 「社給のスマホは、電話やメールなど連絡手段のみにとどまっていませんか。多様なセンサーを搭載した高機能なスマホは、導入コストを抑えられ、誰でも操作しやすいのがメリット。このスマホで生成AIが動作します。生成AIは、経営や法律、マーケティングなどさまざまな専門領域をカバーし、作業の相棒や壁打ち相手としての役割を担えます。スマホは、日常作業で効果的な活用法があります」

#chapter2

富士通でのコンサルティングや大学の産学連携で、さまざまな業種に対応

 グループ企業を含め、30年以上経験を積んだ富士通では、システムエンジニアを経て、コンサルタントに。利光さんは、企業規模を問わず、金融や流通、教育、農業など幅広い業種で、経営の見える化や業務革新をサポートしました。

 ビッグデータやIoT、AIなどデータ利活用のスペシャリストとして、大学で講師や研究活動も。岐阜大学では、産学連携で製造装置メーカーと共同研究を行い、AI活用をテーマにDX推進を手掛けました。成果の一つが、トラブル対応の効率化です。それまでは、営業や設計、検査など関連部署が電話やメールでやり取りし、問題解決に時間がかかっていたとか。

 利光さんのもとで、スマホやタブレットで使えるビジネスチャットツールを導入し、全社員が画像や映像で状況を共有。スマホ上のAR機能により、同様の事例を経験した人が指示を出せる体制を整え、時間短縮を図りました。
 「日常作業で気になったことがあれば、情報を共有する習慣が生まれ、トラブルの未然防止に役立っています。また、映像や画像で記録することで、マニュアルや、トラブル対応のチャットボット作成にもつながりました」

 AI活用を成功させるには、学習データの蓄積も重要と言います。
 「明日からAIを使おうとなっても、学習データがなければ精度が低くなります。DXでは文字や数字のデータばかりではなく、画像や映像、音声などのマルチメディアデータを扱います。日常業務でデータの蓄積/データ一元管理することで、実情に即したDXが実現できます」

利光哲哉 としみつてつや

#chapter3

「自分たちがラクになる」仕組みづくりで、組織の成長につなげる

 2023年5月、利光さんは、出身地である大分県にUターンして「利光コンサルティング」を立ち上げました。
 「地方大学には地域経済の活性化に貢献する役割があり、地方の中小企業と多く関わりました。世界に通用する高い技術力を誇る企業でも、全社的なDX化はまだまだ進んでいません。売り上げに直結しない人事や総務などのバックオフィス業務も、効率化すればコストダウンにつながり、利益を押し上げます。すぐには効果が見えにくいですが、ゆくゆくは組織の成長につながると知ってほしいですね」

 スマホのほか、ExcelやWordなど、身近なツールで先端技術を使うことが、一歩を踏み出すきっかけになると強調します。
 「スマホのカメラでも、搭載されている機能のうち、使っているのは1割程度という人は多いです。既存ツールの新たな機能に目を向けるだけでも、業務のプロセスは変わります。ベンダーのように、業務に合うようにシステムを作り込むのではなく、AIに業務を適用させ、標準化する視点がポイント。自分たちで使いながら追加や修正を重ねて日々改善できるため、まずはやってみることがスタートです」

 「遊び心を持って仕事に向き合うこと」をモットーにする利光さん。
 「本来、先端テクノロジーは、私たちの生活を向上させてくれるものです。『こんなこともできるのか』と好奇心を持って、自由なアイデアを出し合い、便利/楽になる仕組みを考えましょう」と呼び掛けます。

(取材年月:2023年9月)

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中小企業のDXを進めるため、スマホなど身近なツールを使った先端技術の利活用を提案。社員一人一人が業務プロセスの変革に取り組む環境を整え、組織の成長を支えます。大手ITベンダーや大学での支援実績も豊富。

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