第3回:親の介護と自分の未来
「子どものお世話」と「親のお世話」
「お世話」には一見どちらも“ケア”という共通点がありますが、その性質や目的、心の持ち方には大きな違いがあります。
~幼少期における子どものお世話~
・目的:成長と自立を支える
・時間軸:将来に向かって能力や生活力を伸ばしていく
・関わり方:教える・導く・育てる(教育的な側面)
・感情:期待・希望・未来への楽しみ
・終わり方:自立することで世話が減っていく
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~介護期を迎える親のお世話~
・目的:安心と尊厳を守り、最後までその人らしく生きることを支える
・時間軸:これまでの人生を支え、残りの時間を穏やかに過ごしてもらう
・関わり方:支える・寄り添う・尊重する(介護や終活の側面)
・感情:感謝・労わり・見送りの準備
・終わり方:人生の最終段階をともに歩み、看取りへつながる
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大きな違いのポイント
1.方向性の違い
・子ども:未来に向かって成長
・親:過去を背負い、安心して終わりに向かう
2.お世話をする人の感情
・子ども:希望・期待・責任
・親:感謝・寂しさ・覚悟
3.お世話のゴール
・子ども:親から離れ、自立すること
・親:親から離れていくのではなく、最期まで寄り添うこと、いつまでかは不明
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このように、同じ「お世話」であっても
・子どもには未来を託すお世話
・親には過去を尊重し守るお世話という大きな違いがあります。
親の尊厳と気持ちを大切にすること
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理由
・できることを奪わない
介護の中で全部を代わりにやってしまうと、本人の自立心や誇りを損ねてしまうことがあります。
・本人の意思を尊重する
「どうしたいか」「何を大事にしたいか」を聞き取り、その選択を可能な限り尊重することが安心につながります。
・心のつながりを大切にする
食事や入浴などの身体的なケアと同じくらい、会話や寄り添いといった心の支えが重要です。
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補足的として
1.無理をしない(介護する側の心身の健康も守る)
→ 自分が疲弊してしまうと、良いケアができなくなる。
2.感謝を伝える
→ 「育ててくれてありがとう」という気持ちが、親の心の支えになる。
3.最後までその人らしく生きてもらう
→ 「安心して人生を閉じられる」ように支えること。
「親の世話で一番大切なのは、親の尊厳と気持ちを守りながら寄り添うこと」



