理科実験・読み聞かせで思考力を育てる幼児教育のスペシャリスト
杉田昌穂
Mybestpro Interview
理科実験・読み聞かせで思考力を育てる幼児教育のスペシャリスト
杉田昌穂
#chapter1
奈良・学研都市の閑静な住宅街にある「青穂塾」。幼児教室を持ち、有名私立中・高への進学実績多数と聞き、いわゆる「スパルタ塾」を想像すると、実際の授業内容に驚くことでしょう。「私の塾では読み聞かせと理科の実験・観察、野外体験を重視しています。既存の問題集を解いたり、詰め込みで暗記させたりするようなことは一切ありません」
塾長の杉田昌穂さんがモットーにしているのは、勉強を楽しんでできる子を育てること。様々な体験を通じて子どもの好奇心とやる気を引き出し、自ら進んで取り組む姿勢を育むことです。
「勉強でつまずくのは、教科書の文字の羅列を見て『つまらない』『覚えられない』と感じるところから。でも、体験を通して学んだことはずっと記憶に残りますし、何より子どもは、面白いと思えることには夢中で取り組みます。そしてその努力する姿勢は、一生続くんです」
コツコツ取り組む姿勢を無理なく身につけさせるため、入塾は幼稚園の年中クラスまで。「小さいころからコツコツやっていると、無理なくレベルの高いことができますから」と杉田さん。そこには、子どもが本来持っている可能性をできるだけ伸ばしてやりたいという愛情がうかがえます。入塾お試し期間は6か月あり、この間に「じっくりと青穂塾の授業を確かめてもらいたい」と言います。小学校入学後は「私立中・国立中受験」「国立中・公立中高一貫校受験」「個別指導」の3コースに分かれますが、体験重視の方針は変わりません。現在は、大阪府枚方市から通う生徒も含め、3歳から中学3年生までがアットホームな雰囲気の中で学びを楽しんでいます。
#chapter2
幼児の学習は読み聞かせから入ります。国語力が飛躍的に伸びる時期に、豊かな感受性、表現力、想像力を育んで小学校での勉強に向けての基礎作りをするためです。小学校に上がってからの国語の授業も、本を1冊読み込む中で語彙(ごい)や表現力を学ばせる手法をとっています。
小学2、3年時に1年間で7回の野外実習を実施するほか、理科の実験・観察も、通り一遍のものとは異なります。例えば、小学1年にさせるオタマジャクシがカエルになるまでの観察では、産みつけられたばかりでまだ卵黄が見えている段階の卵から観察させます。「卵黄が外から見えているのは産み付けられてから1日だけ。半日ほどでどんどん卵割が進み、見慣れた黒い丸になるんです。実はこれは高校の生物で学ぶことで、小1の課程では後ろ足が先に、次に前足が生えるというのが分かっていればいいんです。でも、面白いでしょう?」と杉田さん。ベストの状態の卵を確実に持ち帰れるよう、1か月間、毎日山を駆け回ってポイントを探し当てたそうです。
ほかにも、庭ではキアゲハの成長を観察するため、卵を産み付けさせるニンジンの種まきから生徒と一緒に行い、実なりの違いを実感させるためジャガイモとサツマイモも植えています。室内に並んだヨーグルトカップでは、小学3年が温度や日光の当たり具合を変えて種を発芽させる実験中。実はこれ、「対照実験」といって中学入試に必ず出題されるものなのですが、子どもたちは純粋に面白がって観察し、その様子を低学年や幼児も興味深そうに見ているのです。「知ることって面白い」と体感させる工夫を杉田さんは惜しみません。むしろ、ご本人も楽しんでいるのが、子どもたちにも伝わっているようです。
#chapter3
祖父、両親、姉が教師という教育一家に育った杉田さん。特に祖父は郷土史研究の分野で著名な方で、歴史学者もよく訪ねてきていたそうです。そんな環境下、大学では文学部で日本史を専攻、教育実習にも行った杉田さんでしたが、子どもの頃から大好きだった理科にも携わり続けたいと、塾教師の道を選んだそうです。
「初めは京都で難関中を目指す生徒を対象にした家庭教師をしていたのですが、どうしても受験特訓になってしまうのが嫌になって。指導要領の枠や入試対策にとらわれず、本当の意味の勉強をさせてやりたいと思って30年前、枚方市の樟葉に塾を構えました」
今の場所に移ったのは2015年の夏。周囲に自然が豊富で、庭に実験用の畑を作るスペースもある点が気に入っていると笑顔を見せます。そして、「青穂塾」メソッドの魅力にはまっている生徒やその保護者は、通塾に時間がかかるようになってもやっぱり、通い続けているのです。
勉強を好きになることが子どもの自主性を育み、将来、社会に出た時の力をつけることにつながる。ある意味、学校よりも学校らしい取り組みが、この小さな塾で行われています。
(取材年月:2016年7月)
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Profile
理科実験・読み聞かせで思考力を育てる幼児教育のスペシャリスト
杉田昌穂プロ
教師
青穂塾(せいすいじゅく)
読み聞かせ、野外体験を重視し、勉強を楽しめる子どもへと育みます。物事に興味を持ち、小さな頃からコツコツ取り組む姿勢を身につけた子どもは、自然と高度な課題にも取り組み、努力を続けるようになります。
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