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本人と家族の安心を第一に、相続の将来設計をお手伝い

親身に話を聴き解決策を提案する相続の専門家

上北洋介

上北洋介(うえきた ようすけ)さん
上北洋介さんの相談風景

#chapter1

税額とは関係なく発生する、相続トラブルの予防策をアドバイス

 「相続税がかかるほどの財産はない、子どもたちの仲は良好……などの理由で、相続に興味を持たない方もいらっしゃいます。ところが司法統計では、遺産分割が調停などのトラブルに発展する確率は、財産の額とは比例していません。また両親が亡くなった途端に子どもたちの関係が変わるというケースもあります。トラブルを避けるためには、言葉で伝えたからと安心せず、形にしておくことをおすすめします」。学園前司法書士事務所の上北洋介さんは、相続の案件に多数取り組んできた経験から、意識を高める必要性について強調しています。

 「相続に関する備えは、将来の安心を設計するためのものです」と上北さん。相続税が非課税となる場合は、かえって被相続人同士で話し合うタイミングを失いがち。できるだけ財産を残す側が道筋をつけることが大切だといいます。

 上北さんはまず悩みや不安について聞いた上で、どのような選択肢があるのかを提示。土地や家屋の状況、家族の人間関係など、環境は人によってさまざまです。上北さんは遺言の書き方をアドバイスしたり、意向を聞き取って文章を考えたり、相続税がかかる可能性が高ければ、税理士と提携して有効な方法を提案。また不動産売却の希望があれば、土地家屋調査士や不動産業者と連携をとることもあります。

#chapter2

信頼関係を培い、何でも話してもらえるような存在を目指して

 金融系に勤めていた経験から、相談は「聞く」のではなく「聴く」ことを心がけています。「たとえ相続とは直接関係なくても、話をさえぎらず、長時間にわたっても、うなずきながら聴くようにしています。そうすれば安心感が生まれ、本音も言いやすいですから。経緯がわからないと判断しにくい場合もあるため、時には立ち入ったこともお尋ねします。それだけに、親身になって耳を傾けるという姿勢は何よりも大切ですし、信頼関係はそうした積み重ねによって生まれると考えています」

 もうひとつのモットーは、メリットとデメリットの両方を丁寧に提示し、納得した上で選択できるように導くというところです。「たとえばお子さんが2人いて、一方には相続させたくないというケース。遺言にどう記載するか、調停に持ち込まれた場合はどうするか、相続させたくない理由を明かすのか否かなどについてご説明します。法的な拘束力はありませんが、遺言にビデオレターを加えて気持ちを伝えるという方法もおすすめです。作成や手続きが終わった後、安心しましたと言ってもらえると、やりがいを感じます」

 遺言の作成方法もさまざまですが、上北さんは公正証書の作成を勧めています。自筆の遺言の場合、相続人の間で「有利な内容にさせたのでは」「本人のものと字が違う」「そばにいて書かせたのでは」などの疑惑から、裁判につながるケースが多いからです。公正証書なら公証人と証人が意思確認をするので、書かされたということは考えにくいし、公証人が作成するため、裁判などで覆る可能性が低くなります。

上北洋介さんの作業風景

#chapter3

プロ同士が連携して立ち上げた「相続ワンストップ!」を強みに

 依頼者の中には、遺言と任意後見制度を併用する人も少なくありません。この制度は、財産を残す側が、認知症などで本人の意思が伝えられなくなったときに備え、元気なうちに手続きしておくというものです。財産管理を誰に任せるか、財産管理の内容など、詳細に意思を残しておくことができます。


 「単身で暮らしている高齢の方で、親族が遠方にいる場合などに、私が財産管理を代行して月々の収支を報告する『見守り契約・財産管理契約』もニーズが高まっています。コースはさまざまですが、キャッシュカードをお預かりしての入出金代行や年金・保険手続、法律相談なども受け付けます」。この契約は、任意後見制度との併用も可能です。

 「2011年、相続に関連するプロが集まり『相続ワンストップ! 』というチームを立ち上げました。税理士、社会保険労務士、弁護士などが連携し、ひとつの窓口で、相続の全てをカバーしていこうという試みです。生前贈与、相続税申告、登記、調停といった手間のかかる手続きも、チームで解決していきますから、安心してお任せいただけます」

 相談しやすさ、しっかりしたメニュー提示、地域密着で「目指すは奈良全域ナンバーワン」という上北さん。相続に理解を促すセミナーも増やしていく予定です。

(取材年月:2013年2月)

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