0歳から18歳まで。子どもに長く寄り添える環境作りのプロ
國友基子
Mybestpro Interview
0歳から18歳まで。子どもに長く寄り添える環境作りのプロ
國友基子
#chapter1
1974年、延岡市内に開園したゆりかご保育園(現・ゆりかごWEC学院)を皮切りに、県内で認定こども園や児童館、京都府に姉妹園を運営している「ゆりかご福祉会」。先代の「保育は文化の伝承である」を信条に、能楽や華道など伝統文化をカリキュラムに組み込み、感性豊かな子どもの育成に尽力しています。
伝統を重んじる一方で、変革にも寛容。認定こども園の普及を図るため、内閣府が2015年に改めて制定した「子ども・子育て支援新制度」にも、いち早く対応しました。
「私どもの園を、幼稚園と保育園の機能を備えた幼保連携型認定こども園に移行できることがうれしかったですね。『子どもたちに、たくさんのことを体験させてあげられる!』とワクワクしました」と笑顔を見せるのは、理事長の國友基子さん。
「幼い子どもたちを預かる上では、健康や安全を守り、手厚く養護する保育の要素は欠かせません。ですが、学校に通い、社会に出て自立する将来を見通すと、早い時期から質の高い教育を提供することが大切だと考えていました」と語ります。
教え導くことの重要性を説く背景には、自身の幼少期が影響しているそうです。
「父は転勤族で、小学校の頃は転校を繰り返していました。引っ込み思案で、知らない子たちに囲まれドキドキしていた登校初日、私に寄り添い励ましてくれるのはいつも先生でした。その姿に憧れ、私も教育者になって『心身ともにたくましい子どもを育てたい』と願うようになりました」
時は流れ、先代である母が保育園を開くとともに保育の世界に飛び込みます。
#chapter2
保育園で働き始めると、放課後にたびたび遊びに来る卒園生を目にするようになります。夕方まで先生や友達と過ごせる園とは違い、小学校は保護者が留守であっても、授業が終わると家に帰されてしまい行く所がないからです。
小学生が安心して過ごせる場所が必要だと感じた國友さんは、民間児童館の立ち上げに奔走します。
「親御さんからの要望はありましたが、当時はまだ『子どもは外で遊ぶもの』というのが当たり前の時代でした。児童館という箱ものを建ててまで、子どもを集める必要はないと反対する声が大半でした。関係各所への説明、子育て世帯への署名活動を行い、ようやく開館にこぎつけた、思い入れの強い施設です」
1993年、保育園と同じ敷地内に乳幼児や小中高生などが通えるゆりかご児童館を設立。運動会では、園児と児童館の生徒がマーチングバンドを結成するなど、小さい子どもたちとお兄ちゃん、お姉ちゃんたちが交流を深めます。小学生を対象にしたゆりかご児童クラブには150人あまりの児童が登録し、地域の子どもと保護者のよりどころとなっています。
「以前は、卒園を一つのゴールとして捉える節がありました。でも、児童館に来る18歳までの子どもを見ているうちに、私たちが保育園で携わるのは人生のほんの一部だと気が付きました。それではあまりにも短いし、心もとない。当方では子どもたちの5年後、10年後まで見守り、学ぶ力、生きる力を身に付けた上で送り出したいですね」
#chapter3
長きにわたり保育事業に取り組んできた國友さん。「誰ひとり取り残さない支援」を実現したいと、新たな企画を進めています。
「2023年から、園と療育施設を利用する併行通園の子どもたちに向けたプログラムを導入する予定です。具体的には、一般的に5歳から専門機関で行う療育的指導を、3歳から園での生活に取り入れます。早期教育を重ねることで、普通学級進学を目指すのが特徴です。保育園、療育施設、小学校の支援学級が手を取り、三位一体となって課題のある子どもをサポートしていきたいと思っています。」
発達につまずきがあると聞くと、対応が難しい印象を持つかもしれませんが、速さやタイミングが異なるだけで、「基本的な発達過程は健康発達児と同じ」と國友さんは言います。
「課題のある子どもにとってわかりやすい伝え方は、健康発達児にとってもわかりやすい。みんながきちんと理解しながら学習を重ねてくので、それぞれが自分のペースで成長していくんです」
さまざまな個性を持つ子どもたちと接する中では、教えるよりも教えられることの方が多く、得るものが大きいそうです。
「親は子どもに問題があると知ると、往々にして自分を責めてしまいます。でも、完璧な人なんていませんよね。至らないところがあってこその人間です。だから大丈夫。課題があっても、家庭環境が複雑でも、子どもはちゃんと幸せになれます。私たちはその手伝いをするだけです。子どもの力を信じましょう」とメッセージを送ります。
(取材年月:2022年2月)
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Profile
0歳から18歳まで。子どもに長く寄り添える環境作りのプロ
國友基子プロ
社会福祉法人理事長
社会福祉法人ゆりかご福祉会/学校法人ゆりかご未来学院(日向こども園 、日向南こども園)
卒園をゴールとせず、その先の人生を見据えた「学ぶ力」を身に付けられる幼保連携型認定こども園を運営。隣接する児童館がもたらす世代間交流が子どもの世界を広げ、他者と分かち合う共感力を育みます。
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