東洋医学の知識を伝えてより健康に導く鍼灸のプロ水沼国男

東洋医学の知識を伝えてより健康に導く鍼灸のプロ

水沼国男

董氏楊氏奇穴を取り入れた鍼灸の施術治療で、患部に触れずにさまざまな体の悩みを改善に導く

　鍼灸院は多数ありますが、董氏楊氏奇穴（とうしようしきけつ）という鍼灸の施術を取り入れ評判なのが、鍼灸師の水沼国男さんです。水沼さんは明治国際医療大学（旧明治鍼灸大学）で教育・臨床・研究に取り組み、高齢者総合福祉施設でも鍼灸に携わってきたベテランです。

　「董氏楊氏奇穴は、中国の漢の時代から施術されながら董家のみで口伝されてきたため、世間で知られていませんがとても優れた施術法です。奇穴と呼ばれる740余の独自のツボや経絡同士の関係を利用する“遠隔施術”が最大の特徴です」

　鍼は従来通りなら患部を刺激しますが、董氏楊氏奇穴鍼では、患部から離れたポイントを刺激するので、鍼を刺した状態で患部を動かしながら痛みの度合いや鍼の効果を確認できます。また、痛みや麻痺などで体を動かせず患部が出せない場合でも鍼で施術ができます。

　肩や腰などの施術をベッドに寝る必要なく、イスに座ったまま膝やひじを出してもらうだけの受けやすさから、鍼灸院の少ない京都市近郊の京北地域でも施術を始めたそうです。「鍼は怖いとおっしゃられる方も多いですが、その施術効果をぜひ体感してください。董氏楊氏奇穴なら、服を脱いで患部を出す必要がないので、女性でも受けやすいですよ」

　「また、鍼はシニアの腰痛や五十肩、肩こり、坐骨神経痛などの痛み症状の施術というイメージが強いですが、体の痛みに対しての鎮痛や抗炎症作用以外に、血流増加させて自然治癒力を高め、神経系の調整も促します。また、便秘、不眠や耳鳴り、高血圧、月経痛、不妊症など幅広い疾患、体のだるさややる気が出ないといった病院では原因が分からないさまざまな症状や未病も改善に導きます。ビジネスマンや主婦、学生さんなど、年齢性別を問わず多くの方に気軽に鍼灸の施術を受けてほしいですね。夜泣きや夜尿症などのお子さま、体のパフォーマンスを上げたいスポーツ好きや山歩きが趣味の方にもおすすめです。症状の予防効果も期待できるため、健康を維持・促進したい方もぜひご利用ください」

通院が難しい人も我慢しないで。地域のかかりつけ鍼灸院を目指し、訪問鍼灸施術や京都北部へ拠点づくり

　水沼さんは、自宅への訪問鍼灸施術にも力を入れています。というのも、通院が難しいシニアの現状を目の当たりにしてきたからです。さらに、高齢者総合福祉施設でも 20年以上鍼灸の施術を続け、ケアマネージャーの資格を持つため、介護の現場が抱える問題を、従来とは異なるアプローチで解決したいと思っていました。

　「2010年の厚生労働省の報告では、平均寿命と健康寿命の差が男性は9.13歳、女性は12.68歳と発表されています。この平均寿命と健康寿命の期間は日常生活に制限のある不健康な状態。この期間をできる限り短縮し、自分の家で笑顔で過ごせるようサポートする“地域のかかりつけ鍼灸院”を目指しています」

　介護のリハビリは運動疾患の改善に限定されますが、鍼灸は腰痛などの痛みの緩和から、便秘、不眠まで幅広く体の不調をカバーできるのが強みです。

　「介護ではご本人だけでなく、介護している家族も疲れているもの。自宅への往診では一緒に鍼灸を受けてほしいです。また、通院しにくい小さいお子さんを持つお母さんにも、親子で利用していただきたいですね。家族全員の不調の相談や鍼灸診療も対応し、ファミリードクターになることも目標です」

　施術を受けやすい董氏楊氏奇穴を取り入れてからは、鍼灸院が少ない京都北部（京北地域、美山町、舞鶴市など）への拠点づくりにも、ますます熱心になりました。「体の痛みや不調を我慢している過疎地に住む年配の方々も、元気に過ごしていただきたいと思っています」

鍼灸の施術と同時に、オーダーメイドでセルフケアも提案。本来の東洋医学を伝え社会全体も元気にしたい

　水沼さんの鍼灸院は、地域のかかりつけを目指す訪問鍼灸施術以外にも、東洋医学の考えに基づき、オーダーメイド・セルフケア・予防を重視する診療スタイルも特徴です。
　
　「鍼灸の施術で痛みや症状が緩和されても、生活習慣を根本的に改善しなければ、また痛みや症状が出てきてしまいますからね。当院のセルフケアコースでは、食事や睡眠などの生活習慣を見直し、普段の生活の中で自分で実践できるケアをアドバイス。一人一人の体調や生活習慣に合わせたオーダーメイドにもこだわっています。自分自身の体の声を聞き、セルフケアできる方法をぜひ身につけてほしいです」

　「現代の日本は、医療技術は日々進歩しているにも関わらず、患者さんの数は減っていません。医療費や介護費がかさめば国の負担になり、自分たちの負担としてもかえってきます」と水沼さん。「本来の東洋医学」を伝え、個人はもちろん社会までも、より健康に変えていこうと努力をおこたりません。

　大学では東洋と西洋の両方の付属病院があったため、TPOに応じて、両方の長所を取り入れた統合医療に応じられるようになることも夢だそうです。

（取材年月：2020年1月）

鍼灸の技術と東洋医学の知識を生かし、施術と予防で健康づくりをサポート。体の不調を我慢しないで

董氏楊氏奇穴を取り入れた鍼灸の施術治療で、患部に触れずにさまざまな体の悩みを改善に導く

通院が難しい人も我慢しないで。地域のかかりつけ鍼灸院を目指し、訪問鍼灸施術や京都北部へ拠点づくり

鍼灸の施術と同時に、オーダーメイドでセルフケアも提案。本来の東洋医学を伝え社会全体も元気にしたい

専門家プロフィール

Other Interview