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「共に生きる」の理念のもと、障がい者(児)やその家族がやりたいことをできる社会を目指す

地域障がい者(児)や家族が普通の生活ができるように支援するプロ

住里良実

住里良実 すみさとよしみ
住里良実 すみさとよしみ

#chapter1

訪問介護やデイサービス、放課後等デイサービス、ショートステイで日常を支え、移動支援で外出を可能に

 「私たちは『共に生きる』を理念に、障がい者(児)のみなさんと共に成長し、人生を共に歩んでいくことを目指しています。アットホームな雰囲気の中、一人一人に合った自立を後押しすることで、ご家族の方々もやりたいことができるようになればと願っています」

 そう語るのは、障がい者(児)を対象にした福祉事業を展開する「音希」理事長の住里良実さん。利用者の自宅に赴く訪問介護や、通所型のデイサービス、放課後等デイサービス、短期滞在型のショートステイで食事や入浴といった日常を支えるほか、病院に付き添う通院介助なども行っています。

 「小学校から高校までは特別支援学校がありますが、その後は就職に必要なスキルを養う就労移行支援、軽作業などに就く就労継続支援A型・B型のような事業所に行くか、家でケアを受けるしかありません。重い障がいがある人は、行き場やサポートが限られているのが現実と言えるでしょう」

 軽度の障がい者(児)に対しては、グループホームのような共同生活の場が増えてきましたが、重度の障がい者(児)が利用できるサービスは限定的です。本人や家族の行動が制限されることが、やむなしとされています。

 「当方の取り組みで特に知っていただきたいのが、移動支援です。障がいがあることで、冠婚葬祭に出席したり遠出したりするのを我慢するのは、おかしな話です。ベッドがある新幹線車両を使って、床ずれをしないよう定期的に体の位置を変えるなどの配慮をしながら、テーマパークに家族旅行をしたこともあります。私どもがお力になりますので、外出することをあきらめないでほしいですね」

#chapter2

3人で始めたNPOも、利用者のニーズに応えるうちに大きな組織へと成長

 住里さんが福祉の道に進んだのは、母親が一人暮らしの高齢者のもとを訪問していたことがきっかけです。車の運転ができない母に同行し、救急でない場合に病院へ送迎していました。

 「手伝いをしている時に、介護に関する知識をつけようと介護福祉士を取得しました。資格を登録すると障がい者(児)を支援しているNPOから連絡があり、3年ほど働きました」

 頼まれたら断れない性格という住里さんは、3人の子育てをしながら長時間勤務も辞しませんでしたが、健康への不安から退職することを決断されました。
 「利用者さんから『ただでさえヘルパーが不足しているのに困る』という言葉をいただいたり、同業者から『今の勤め先は辞めたいけど仕事は続けたい』との声が寄せられたり、周りから押されるように私がNPO法人を立ち上げることになりました」

 2007年に「音希」を設立。当初、実務などはスタッフに任せる予定でしたが、介護従事者としてのプロ意識と、持ち前の正義感でニーズに応え、3人で始めた組織も約50人のスタッフを抱えるまでに。地域の障がい者(児)にとって欠かせない存在になりました。

 「『こういうことができませんか?』と相談され、対処しているうちに今日に至りました。私自身は何もできない人間ですが、悩んでいるとみなさんが助けてくれるんです。利用者の保護者が亡くなられた際に入所できる施設づくりを検討していると、候補物件を紹介してくださったり、資金集めについてアドバイスしてくださったり、ありがたいことです」

住里良実 すみさとよしみ

#chapter3

理念に共感してくれる仲間を増やし、支援が行き届く仕組みを作りたい

 「音希」の利用者は20代30代が中心で、社会や集団生活に適応できるよう、保護者から「しつけ」を求められることもあります。

 「障がい者(児)に教えるのは時間がかかりますが、その過程で私たちもたくさんの気づきがあります。当方が掲げる『共に生きる』には、共に学ぶという意味も含まれています」と住里さん。

 理念に共感するスタッフが多く、決められた業務をこなし、与えられた役割を果たすだけではなく、スタッフが自分で考え、行動することを大事にしていると言います。

 「シフト時間内であれば、利用者さんに無理がない範囲で、相手のためになることをしていいとスタッフに伝えています。知識や技術は後からついてきます。目の前の人に全力で寄り添うことを、一緒に楽しめる仲間を増やしたいですね」

 住里さんが懸念しているのが、福祉制度のあり方です。例えば、コロナ陽性者を診る医療機関には診療報酬が上乗せされますが、福祉機関は点数が変わらないため受け入れを拒むケースがあり、一定の事業者に依頼が集中してしまうのだとか。
 「少しでもお役に立てればと、手を挙げたあげた事業者に負担がかかる現状に疑問を感じます。NPOとして利益を追求せずに活動してきましたが、しかるべき対価を得て、手が差し伸べられていない方々に還元する、基金のようなフォロー体制も必要なのではと思っています」

 支援を十分に得られない人に向けた新しい仕組みを作り、若い世代に託したい。「それまではプロ根性でやり抜きます」と熱く語ります。

(取材年月:2022年12月)

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住里良実

地域障がい者(児)や家族が普通の生活ができるように支援するプロ

住里良実プロ

障がい者(児)福祉サービス

特定非営利活動法人 音希

重度の障がい者(児)に対し、訪問介護やデイサービス、放課後等デイサービス、ショートステイの福祉サービスや、外出などの移動支援サービスを提供。障がい者(児)やその家族がやりたいことができる社会を目指す。

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