PROFESSIONAL
STORIES

Mybestpro Interview

中小企業とショップのブランディングとは

京都の街に貢献するデザインのプロ

小泉達治

有限会社コイズミデザインファクトリー、代表の小泉達治さん
打ち合わせルームには遊び心もちらほら

#chapter1

中小企業をグラフィックやWeb、プロダクトなど、多岐にわたるデザインでサポート

 「近年、中小企業の悩みは業種を問わず解決策が明確ではないものが多くなっています」と話すのは、「コイズミデザインファクトリー」代表の小泉達治さん。
 ロゴやカタログ、ポスターのほか、ホームページやネットショップ、スポーツグッズ、雑貨など、グラフィックやWebサイト、プロダクトと、さまざまなジャンルのデザインに対応。企業やショップ、商品の認知度・販売拡大につなげるブランディングや、商品やテキスト本の制作なども手掛けています。

 「中小企業の悩みの中で、人員や経理上の悩みは表面化しやすく、その解決方法も明確ですが、それ以外の場合は原因も解決方法も見えてきません。しかし、多くの場合そこには『デザイン』という概念が関わっており、商品、販促企画、広報、販売方法など、ビジネスの流れすべての段階で大きな意味を持っていると考えます」

 中小企業は、会社自体のブランディングすらほとんどできていないことが多いと指摘する小泉さん。自社の強みや特徴を引き出し、アピールすることの意義自体に気づいていないか、もしくは気づいていても「どうすればいいのか分からない」というのが現状。これらの問題は、「デザイン」という概念で改善できることが多いのではないかと言います。

 「大手企業の場合は資金力があるので、解決策がたくさんある。でも中小企業にそんな資金は無い。この現実が、中小企業のブランディングが進みにくい大きな要因です」とも。中小企業が抱える問題を、「デザインを通じて解決したい」というのが小泉さんの思いです。

#chapter2

業績アップを目指すには、経営全体にデザインの力を取り入れることが重要

 会社の業績を上げるために何をすべきかを考えたとき、コスト削減や人員の整理、業務の効率化など見えてくる課題は山ほどあり、これらに対する施策は数多く打ち出されています。
 一方で、ブランディングやデザインなどが担う役割や重要度については理解が浅く、後回しになりがちです。経営者や企業の中心人物は営業や経理部門の出身者であることが多く、デザインや企画担当者が、事業のかじ取りに参加できることはまれなケースなのだそう。

 「発言力も弱いため、『デザイン』や『ブランディング』といった概念が経営方針に反映され難いのが現状です。欧米では以前から、経営にも『デザイン』の概念を取り入れる動きがあります。日本の中小企業の経営戦略においても、『ブランディング(デザイン)』の考え方が重要になっています」と小泉さん。

 「販売商品のデザイン」や「広報」「販促企画」が業績に直結するという考え方は定着していますが、実はそれだけでなく「販売方法」や「経営戦略」など、ビジネスの全てにもっと「デザイン」の概念を注入すべきだと力を込めます。

 「『デザイン』という概念を一つの商品を売るためだけでなく、企業運営全体でも意識することが大切」と呼び掛けます。

女性スタッフが幅広い業務をこなします

#chapter3

ものを売るには、コンセプトなど売り手が一貫性を持つことが最も大事

 デザインが大事だからといって、やみくもにいろいろなデザイナーに発注すればいいというものでもありません。

 企業によっては社内にデザイナーがいたり、古くから付き合いのあるデザイン事務所があったり、印刷会社や広告代理店のデザイナーに任せているなど、デザインを頼む方法も取り巻く状況もさまざまです。ところがこの状況こそが、最も問題を含んでいると小泉さんは考えています。

 「『デザイナーに依頼しても、メーカー側の思いがユーザーに伝わるような商品デザインにならない』『社内で分担しても、SNSで商品の魅力を思うように伝えられない』など『デザイン』という概念が大事なことは分かっていても、それがうまくまわっていないと感じている企業が多い」というのです。

 その大きな原因は、「デザインや販促に一貫性がないから」と小泉さん。商品のブランディングやデザインから販売促進に関わるパッケージデザイン、広告や印刷物などのグラフィックデザイン、そしてその商品を売るためのWebサイトやオンラインショップ、さらにその拡散を担うSNSなど、それらすべてに一貫性があり、イメージが統一されたものでなければ「十分な効果は発揮されない」と提言します。

 コンセプトを共有し、一貫性を保つために小泉さんがすすめるのは「できるだけ関わるデザイナーの数を絞る」ということ。一つのデザイン会社で完結させることが、企業のイメージに一貫性を持たせるとになると言います。中小企業のブランディングを応援したいという小泉さん。今、最も大切だと感じているのは「イメージの一貫性」です。

(取材年月:2023年1月)

リンクをコピーしました

Profile

専門家プロフィール

小泉達治

京都の街に貢献するデザインのプロ

小泉達治プロ

デザイン

有限会社コイズミデザインファクトリー

ブランディングや商品企画、グラフィックデザイン、WEB・オンラインショップ構築、テキスタイルデザイン、プロダクトデザイン、イラスト、写真・動画を社内制作。企業のデザインをコンサルティングする実績多数。

\ 詳しいプロフィールやコラムをチェック /

掲載専門家について

マイベストプロ京都に掲載されている専門家は、新聞社・放送局の広告審査基準に基づいた一定の基準を満たした方たちです。 審査基準は、業界における専門的な知識・技術を有していること、プロフェッショナルとして活動していること、適切な資格や許認可を取得していること、消費者に安心してご利用いただけるよう一定の信頼性・実績を有していること、 プロとしての倫理観・社会的責任を理解し、適切な行動ができることとし、人となり、仕事への考え方、取り組み方などをお聞きした上で、基準を満たした方のみを掲載しています。 インタビュー記事は、株式会社ファーストブランド・マイベストプロ事務局、または京都新聞が取材しています。[→審査基準

MYBESTPRO