アンガーマネジメントとコーチング、ハラスメント対策のプロ井上泰世

アンガーマネジメントとコーチング、ハラスメント対策のプロ

井上泰世

感情のコントロールは、管理職やリーダーに不可欠。より良い人間関係を構築し、仕事の生産性もアップ

　アンガーマネジメントとは、イラッとしても自分で感情がコントロールできるようになるための心理トレーニングです。1970年代のアメリカが発祥とされ、日本でも広まりつつあります。「病院や福祉、学校、教育現場、もちろん一般企業でも、このスキルは大いに役立ちます」と、アンガーマネジメントとコーチングの研修で、豊富な実績を誇る井上泰世さん。

　アンガーマネジメントを学ぶと、感情のコントロールが上手になり、相手や自分のイライラに巻き込まれたり、ふりまわされたりすることなく、物事に柔軟に対応できるように
なります。企業においては、窓口や接客、販売、営業など、対人関係の職種に欠かせないスキルです。また、社内の人間関係や組織づくりにも効果的です。社員一人ひとりの対人ストレスが減り、会社全体の生産性も上がるそうです。

　「特に組織のトップや職場のリーダーの方ほど、周りへ及ぼす影響力が大きいので、ぜひアンガーマネジメントを身につけていただきたいです。また、人を育てる立場の方は合わせて、コーチングのスキルも研修で得たいもの。両者を応用した『叱り方研修』も人気ですよ」

　研修は、グループワークやディスカッションなどの演習を挟みながら進める参加体験型。講師自らコーチングの手法を用い、受講者の内側から気づきを引き出す工夫が随所に凝らされ、自然に学びが身につくと評判です。

「パワーハラスメント防止が企業に義務づけられる風潮の中で、その実効策としてもアンガーマネジメント研修が注目されています。コミュニケーションやメンタルヘルス研修の中に取り入れるのもおすすめです」

研修前にはアンガーマネジメント診断がおすすめ。自分の怒りの特徴を客観的に把握でき、効率的に学べる

「アンガーマネジメント研修の前に、あらかじめアンガーマネジメント診断（2000円/税別）を受けると、より効果を発揮します」と井上さん。

　自分の怒りの特徴や傾向を、偏差値をもとに客観視でき、自分では普通だと思っていた怒り方が、世間一般に比べると過剰だったと気づきます。現状と課題を知ることで『自分事』として認識するため、研修への参加も積極的になるそう。自分の怒りの特徴に合ったトレーニング法を学ぶことで、イライラ予防の効果を上げやすく、カッとなったとしても感情を爆発させずにすみます。

「アンガーマネジメント研修は、1回90分～6時間程度で、感情コントロールのコツをつかめ、すぐに職場や日常生活でも実践できる内容です。また、継続的に研修を行うことで、学びが定着しやすくなり、さらなる効果も期待できます。時間をかけて、少しずつ着実に“アンガーマネジメント体質”をつくり、職場全体でも皆が自然にアンガーマネジメントを実践できることが理想です」

　怒りが強い、根深いなどの理由で、なかなか自分が変われない場合は、個別セッションも受けられます。マンツーマンのきめ細やかな対応で、確実に自分が変わっていくことを実感できるそうです。

アンガーマネジメントとコーチングの豊富な実績。価値観が多様化する現代社会でますます必要になる

　アンガーマネジメントとコーチングで一目置かれる井上さん。もともとはコーチ兼カウンセラーとして2003年に独立しましたが、子育てでついイライラしてしまう自分に戸惑った経験から、当時日本で知られていなかったアンガーマネジメントに興味を持ちました。

「社会問題となっているパワハラや虐待も、当人は望んで行っているわけではありません。けれども、感情コントロールができずに、つい厳しく接してしまう…。私自身、子育ての中で同じ思いでした。コーチングの個人セッションでも、人間関係の不満や憤りといった感情が邪魔をして、前に進めないケースを目の当たりにし、アンガーマネジメントの重要性を感じていきました」

　その思いが募り、日本アンガーマネジメント協会で2012年に開講された、アンガーマネジメントファシリテーター養成講座の第1期生に。修了後、ひと足早く関西を中心に、アンガーマネジメントの研修や講座を開催し、同協会において、2014～16年に初代関西支部長を、2016～18年には本部講師も歴任しました。

　一方、コーチングでは、15年以上プロコーチとして個人セッションを行い、累計約2800時間と豊富な実績を誇ります。研修や講演会の講師としても全国各地で多数登壇されています。

　「近年、働き方改革やLGBTが話題となり、社会における価値観はますます多様化しています。自分と相手の価値観が違うと、ぶつかり合いやすいですが、価値観が個々で違うのは当然のこと。お互いの価値観を尊重して認め合い、理解して心を通じ合わせたい。そして、違うからこそお互いを活かし合えると考えるのが、アンガーマネジメントです。コーチングと共に、ぜひ研修で両方のスキルを手に入れてご活用ください」

（取材年月：2018年12月）

アンガーマネジメントとコーチングで、人を活かす組織づくりと、心が通じ合う関係づくり

感情のコントロールは、管理職やリーダーに不可欠。より良い人間関係を構築し、仕事の生産性もアップ

研修前にはアンガーマネジメント診断がおすすめ。自分の怒りの特徴を客観的に把握でき、効率的に学べる

アンガーマネジメントとコーチングの豊富な実績。価値観が多様化する現代社会でますます必要になる

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