農業における経営承継対策の必要性とプロセス
今回は、農業を承継していくための必要知識とも言える“農地の相続”についてお話ししてみたいと思います。
農業離れ等による農地の荒廃や食料自給率の低下は、国にとっては非常に大きな問題となり得るため、さまざまな措置がとられています。その中に、農地を相続した相続人が、農業を営む限りにおいて、一定の相続税額を猶予できるという「納税猶予」と呼ばれる特例が設けられています。
この特例には、条件によって20年以上、または一生、農業に従事することで納税猶予額を免除される規定などもありますので、農業を承継する上では知っておいていただきたい制度です。(ただし、法改正により変更がありますので、最新の情報を確認してください)
農業を承継していくための必要知識
さて、農業における後継者不足の問題が叫ばれて久しい現在ですが、今回は農業を承継していくための必要知識とも言える“農地の相続”についてお話ししてみたいと思います。(無論、事業承継と相続は異なりますが、承継の場面においても知っておくべき知識です。)
まず、農地を売買したり、贈与したりする場合には、基本的には農業委員会を経由して県知事等の許可が必要とされています。
しかし、持ち主が亡くなるなどして農地を“相続する”場合は、これらの許可は不要だとされています(ただし、相続発生から10ヵ月以内に、農業委員会へ届け出なくてはならない義務はありますので、ご注意ください。違反すると10万円以下の過料(罰金)がかかります)。
さらにここで重要なのが、農地を相続した際、場合によっては、その相続税を支払うことを先延ばしにでき、さらに免除されるという特例が存在しているということです。
納税猶予という特例
農業離れ等による農地の荒廃や食料自給率の低下は、国にとっては非常に大きな問題となり得ます。そのために、先ほどもお話ししました農地の売買・贈与に対する制限など、さまざまな措置がとられています。
その一つに、農地を相続した人が、農業を営む場合等において、一定の相続税額を猶予できるという「納税猶予」と呼ばれる特例が設けられているのです。
どのような農地を相続しているかによって、納税猶予が行われる期限・条件は異なりますが、単に猶予があるだけでなく、市街化区域農地等であれば、申告書の提出期限から20年間農業を継続するなどの条件を満たせば、納税猶予額が免除されるという規定もあります。
「これだけ先行きの不透明な時代に、20年間、農業を続けていく覚悟があるか」ということはよく考えなくてはいけませんが、農業を承継していくことをお考えであれば、このような特例を頭に入れておいていただければと思います。